◆ふくいの巨木 23.藤鷲塚のフジ

 ●藤鷲塚のフジ         ・県指定天然記念物
    樹 種  フジ(マメノキ科)
    幹回り  70 cm
    樹 高  18 m
    樹 齢  約800年
    所在地  坂井郡春江町藤鷲塚
    所有者  白山権現

 福井空港西約500mの藤鷲塚集落中央部を南北に通る道沿いに、県指定天然記 念物と表示した白い角柱が立てられている。藤は柱のすぐ西にある。
 マメ科の藤は、自分では地面から立ち上がれない。この藤も数本の樹に絡み 付いて長い年月を生きてきた。しかし、藤を支えてきた樹は、藤が太るにつれ て生育を阻害され、やがて枯れるか倒れるかのどちらかである。昔、藤鷲塚は 沼沢地だったので地盤が柔らかいせいもあって、藤に巻き付かれた幹回り5 m もある欅(ケヤキ)がジェーン台風の時、藤に引きずられて倒れた。藤柵は、 の時欅に巻き付いていた藤を這わすために作ったもので、その後藤の成長に合 わせて拡張し、現在は権現の境内一ぱいに広がっている。
 藤は日本の風土に合っているのか長命で、日本各地に老木、名木が多い。日 本では、ノダフジとヤマフジの2種が自生しているが、花の色、姿の優雅さは ノダフジが優っている。ここの藤もノダフジである。50cm近い淡紫の総状花序 を年によっては千本も着ける。
 付記 近くにある寺の記録によると、藤鷲塚の地名は、鷲を埋葬した所から 付けられた。約5キロ離れた川合鷲塚の鷲とは、ペアであったと書かれている。

(文:榎本二郎 写真:吉澤康暢)



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