◆ふくいの巨木 22.本堂のアベマキ
●本堂のアベマキ
樹 種 アベマキ(ブナ科)
幹回り 3 m
樹 高 31 m
樹 齢 約200年
所在地 福井市本堂安居
所有者 高雄神社
福井市本堂町の安居(アゴ)小中学校に隣接した高雄神社の境内に入ると、ま
ず目に付くのが真すぐに伸びた2本の大杉、その少し北にアベマキがある。3
本の巨木は樹高幹回り共、余り違いはないのに、目立たないのは杉に比べて地
味なアベマキの灰黒色の樹肌と、地上10 m位にあった2本の大枝が切断されて
枝張りが狭められたせいかも知れない。特に太い東側の大枝は中学校のテニス
コートに大きく張り出していたと考えられる。アベマキの樹皮はコルク質で、
不規則な深い切れ込みがある。このコルク層からコルクを採ったこともあるが、
元来は薪にする樹であった。そのせいか、アベマキの巨木は余り見かけない。
此処のアベマキが生き残ったのは、神社という条件が幸いしたのであろう。
アベマキのアベとは痘痕(ホウソウ)の意で、アバタマキからの名と言われる。
別名をコルククヌギと呼ばれる通り櫟(クヌギ)と良く似ている。特徴であるア
バタも櫟との中間種もあって区別は難しい。ただ、アベマキの葉裏には毛がは
えていてやや白く見える。
ここ高雄神社には本殿の脇のモミの巨木(幹回り4.18 m)や杉等が葉を茂ら
せているが、一段下がった前苑は、杉、アベマキの大木以外は殆ど樹木がなく、
明るい空間が広がっている。地区住民の行事に使われるのであろうか、広場は
雑草も落葉も見当たらず、奇麗に掃除されている。
(文:榎本二郎 写真:吉澤康暢)
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