◆ふくいの巨木 20.谷口のクロマツ

 ●谷口のクロマツ
    樹 種  クロマツ(マツ科)
    幹回り  3.8 m
    樹 高  約20 m
    樹 齢  約300年
    所在地  吉田郡永平寺町谷口
    所有者  小林竜二

 京福電鉄の下志比(シモシヒ)駅で下車し、駅横の広い道を山手に向かって歩 いていくと、枝ぶりのよいクロマツが目に入ってくる。(マツの太さが3 m以 上のものは、奥越地方にはない。)
 このクロマツの東側に伸びている枝は、特に長く伸びるだけでなく、たれ下 がり土蔵の屋根まで覆っている。西側の枝は家の屋根全体を覆っていて、小林 家がクロマツの傘の下にあるようにも見える。
 クロマツの根元は、日陰のためにコケやノキシノブが多く着生し、樹皮は大 きいうろこ状になっており、老木の風格を一層高めている。
 小林さんの話によると、昔、お説教に来られたお坊さんが、クロマツの苗を 持ってこられて、植えたのがこのように大きくなったと伝えられている。昭和 56年の豪雪までは、クロマツの横にゴヨウマツがあったが、豪雪のため倒れて しまった。今は、クロマツだけになり、よく成長して石垣をこわすため、その 修理に苦労しているが、このマツを大切に保護していきたいと話されていた。 クロマツは、海岸に生育しているが、海岸から離れるとアカマツに変化し、山 奥の岩場などではゴヨウマツに変化し、高山ではハイマツへと変化している。 マツ類は建設用材としてなくてはならないものであるが、今は外国の松材に押 されている。

(文:小林則夫 写真:吉澤康暢)



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