◆ふくいの巨木 19.安楽寺のイチョウ
●安楽寺のイチョウ ・芦原町指定天然記念物
樹 種 イチョウ(イチョウ科)
幹回り 3.8 m
樹 高 26 m
樹 齢 300年以上
所在地 坂井郡芦原町北潟西
所有者 安楽寺
北潟湖は低い丘陵に囲まれていて、丘陵の基部が居住地になっている。安楽
寺のある北潟西も、丘の下部に細長く伸びた集落で、イチョウの樹は寺の山門
をくぐったすぐ近くにある。雌木でまっすぐ伸びた幹や枝には、蔦や苔類の着
生もなく生育状態は良好で、秋には沢山のギンナンを着ける。
イチョウの仲間は、ジュラ期には多くの種類が地球上に繁茂していたが、現
在はイチョウただ1種だけが残っていて、生きた化石と言われている。古い時
代に中国から渡来し、社寺の境内や街路樹として広く植えられている。多くの
特徴を持った樹で、長枝(チョウシ)は螺旋状に葉を着け、短枝(タンシ)(長さ
2〜3cm)は束生(ソクセイ)の葉と、4〜5月に花を着ける。 風媒花(フウバ
イカ)で精子を持った雄木の花粉によって雌木の花は受精し結実する。 食用に
するギンナンは種子の胚乳である。また、乳と言われる気根を幹から下方に出
すが、これを母乳の出が悪い人が催乳に使用するところもある。
材質は緻密なので、碁、将棋盤、器具等、広範囲の用途がある。イチョウは
樹高が最大50 mにも成る高木で、秋の鮮やかな黄葉と合わせて、遠くからも其
の存在を知る事ができる。
真言の古刹安楽寺には、鎌倉から室町にかけての仏像、仏画等、多くの文化
財が残されている。 (註、各国の公孫樹の呼名 中国・・・銀杏・鴨脚、英
・・・GINKGO、独・・・GINKGOBAUM、日本・・・鴨脚樹・銀杏・公孫樹)
(文:榎本二郎 写真:吉澤康暢)
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