◆ふくいの巨木 18.女形谷のエドヒガン

 ●女形谷(オナガダニ)のエドヒガン
   ・県指定天然記念物 (県の指定名称「女形谷のサクラ」)


    樹 種  エドヒガン(バラ科)
    幹回り  5.1 m
    樹 高  15.5 m
    樹 齢  約400年
    所在地  坂井郡丸岡町女形谷北庄司
    所有者  白山神社

 エドヒガンは春まだ浅い3月、淡紅色の花を着ける。この桜を母種にした交 配、園芸種に、ソメイヨシノ、コヒガンザクラ、シダレザクラ、年2回花をつ けるジュウガツザクラ等がある。桜は日本人の生活の中に深く入り込んでいて、 花曇り、花便り等、花とは桜をさすまでに浸透している。
 花見は春の行事として本州を抜け、北海道におよぶ。 松前城公園には、250 種類7000本の桜が植えられ、5月下旬まで賑わいを見せる。
  北陸自動車道に近い、山久保の三叉路を南へ200 m位に木工所があり、そこ から西に曲がると県指定天然記念物、エドヒガンが道端近くにある。
 幾百年を生きてきた女形谷の桜は、頭頂、大枝共に欠損し、幹にも大きな空 洞が見られるが、萌芽(ホウガ)した枝に毎年花を着ける。たくましい生命力で ある。
 珍しい読名の女形谷(オナガダニ)は昔御名谷と書かれ、継体天皇との係わり の深い土地だと付近の人は言う。御名とは男大迹王(オオトノオウ)の意で、近 くの天皇堂や、この辺りから出土する布目瓦(ヌノメカワラ)も、王一族がこの 付近に住まいされた証しであると伝えられている。
 日本人は、桜の花と共に樹皮や桜の材にも愛着が強く、家具や器具、楽器、 細工物等に好んで使用する。

(文:榎本二郎 写真:吉澤康暢)



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