◆ふくいの巨木 16.北金津のイチョウ

 ●北金津のイチョウ       ・金津町指定天然記念物
    樹 種  イチョウ(イチョウ科)
    幹回り  5.97、5.60 m
    樹 高  25 m
    樹 齢  300年以上
    所在地  坂井郡金津町北金津
    所有者  大鳥神社

 JR北陸線芦原温泉駅から西へ1キロ程行くと、大鳥神社の鳥居が道の北側 にある。イチョウは鳥居をくぐってすぐ左に1本、社殿の前にも1本ある。金 津町は“大鳥神社の大銀杏”の表示で、2本共天然記念物に指定している。ご 神木は社殿前のイチョウで幹回りがやや太い。どちらも雄木で共に気根(キコ ン)がある。
 イチョウの気根は、発育を阻害された短枝または潜伏芽が起因、その内部は 軟らかい細胞から成り多量の澱粉を含んでいる。また、気根を沢山付けた樹を 乳銀杏(チチイチョウ)と呼び、切口から出る乳白色の樹液は催乳効果があると 言われる。
 春、イチョウの雄木は、短枝に着く花から多量の花粉を飛ばし、雌木の胚珠 に付くと花粉室で精子を作って受精する。中国原産の樹で、日本では室町時代 から植えられたらしい。病虫害、熱に強く長命のため社寺に巨木が多い。
 材質は黄白色で光沢があり、緻密なので色々な物に使われる。
 大鳥と言うこの神社の名前は、祭神日本武尊(ヤマトタケルノミコト)の白鳥 説によるもので、全国に白鳥、大鳥の付く神社は多い。伝説によると、昔この 付近は水郷で、交通運搬のため舟を使うことが多く、住民は2本のイチョウに 舟や筏を繋いだと言われており、神社の境内からは貝塚や土器も出土している。 この場所が住民達の舟着き場、塵(ゴミ)捨て場という事になる。
 ちなみに、イチョウの呼名は中国名、鴨脚(ヤーチャオ)が起源とされている。

(文:榎本二郎 写真:吉澤康暢)



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