◆ふくいの巨木 15.北菅生のタブノキ

 ●北菅生(キタスゴウ)のタブノキ
    樹 種  カブノキ(クスノキ科)
    幹回り  7 m
    樹 高  17 m
    樹 齢  約400年
    所在地  福井市北菅生
    所有者  天満宮

 北菅生は国道 305号線沿いにあって、越前海岸の亀島と鮎川のほぼ中間にな る。山が海に迫っているこの辺りは平地が殆ど無い。町内も人がやっと擦れち がえる程度の道幅の所もある。背後の山まで、坂を登りつめた崖縁にタブノキ は生えていた。ここが天満宮の境内で、250平方 m程の平地。 この広場が、子 供達の数少ない遊び場になる。(標高約40 m)
 タブノキは、落雷によるものか頭頂部は欠損し、幹の根際に巨大な瘤がある。 永い年月の思い出が、その中に包み込まれているように思えた。タブノキの葉 は枝先に集まって着き、常緑なので防風樹としての効果が大きい。材質は平滑 緻密で光沢があり、家具、建材に適し波切りが良いので船の外側に使用した。
 天満宮が北菅生の氏神として祀られている由来は、昔岸近くの小島に道真公 の木像が深夜流れ着き“吾を救助せよ”と藤七老人の夢枕に立った。像は現在 の地に祀り、小島は藤七を夜起こした島という意味で夜起(ヨノコ)島と名付け た。北菅生の中央(海抜10 m位)に夜起島と刻んだ自然石があり、当時の島の 位置だと言い伝えられている。
 現在の海水面と、当時の水位との食い違いが気になる伝説でもある。
 (注:平成4年3月現在、町内の道路は随所で拡幅工事が行われ、近い将来
  は天満宮まで通行可能になる)

(文:榎本二郎 写真:吉澤康暢)


 
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