◆ふくいの巨木 12.角野のコウヤマキ

 ●角野(カクノ)のコウヤマキ
    樹 種  コウヤマキ(スギ科)
    幹回り  3.6 m
    樹 高  24 m
    樹 齢  不明
    所在地  大野郡和泉村
    所有者  吉川すみ

   九頭竜スキー場の入口にある角野大橋を渡ると、眼前のスギ林の中に1本だ け天をつくように伸びている樹が目につく。これがコウヤマキである。
 コウヤマキは、約8 mのところから3本に分かれて、それぞれがよく伸びて いる。幹が3本に分かれた周辺の枝は、白く枯れており、自然災害のきびしさ を示している。
 吉川さんは、山から持って来て庭木として植えたのが、このように大きくな ったのだと話されていた。
 福井県でのコウヤマキ分布は、岐阜県と和泉村との境界周辺の尾根に生育し ているが、このように大きいのは大変珍しい。日本ではその名前が示すように、 高野山に多く生育している。地質時代の第三紀には、世界中に広く生育してい たので化石としてよく出てくるが、今は日本にコウヤマキ1種が残っているだ けである。
 コウヤマキの樹皮は特有のもので一般にマキ肌といい、木造船、桶などの水 もれ防止によく使われていた。また、木材としては、水に強いことから、風呂 桶、水桶などによく使われたが、今はプラスチック製が多くなりあまりみられ なくなった。また、コウヤマキは、庭木としてよく植えられている。

(文:写真 小林則夫)


 
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