◆ふくいの巨木 11.平泉寺の菩提林(スギ林)

 ●平泉寺の菩提林(ボダイリン)(スギ林)
    樹 種  スギ(スギ科)
    幹回り  5 m(入口のスギ)
    樹 高  約28 m
    樹 齢  約600年
    所在地  勝山市平泉寺町平泉寺
    所有者  白山神社

 勝山の越前大仏まで来ると、南方向に越前勝山城が見える。その左手にスギ の並木が見えてくる。このスギの並木を、地元の人々は菩提林と呼んでいる。
 このスギ並木は、白山中宮平泉寺の参道で、ここから菩提林の名がついてい る。
 白山中宮平泉寺は、泰澄大師が白山へ登山参拝の養老元年(717)に開いた と伝えられている。白山登山口としては、昔から3ヶ所あった。平泉寺はその 中でもよく栄えた。特に室町時代には、六千坊があったと伝えられている。よ く栄えた平泉寺も、一向一揆(1574)で全山焼かれて灰となってしまった。そ の一部の発掘が平成元年から開始され、その当時の様子や規模の大きさなどが 判明しつつある。一向一揆の時に、焼けなかったスギが平泉寺に6本あると伝 えられている。それらはどれも巨木で、菩提林入口のスギもその1本である。
 菩提林のスギは、どれも大きく成長して、四方に枝を伸ばしている。下の力 枝(チカラエダ)はたれ下がり、地面に接するばかりになって、よくアシウスギ の特徴を出している。菩提林にかこまれた参道は、川原石が敷きつめられ、多 くのコケが生育して、昔の全盛時代がしのばれ、奥ゆかしい所から日本の道百 選に選ばれた。また、この菩提林にはブナが生育しているが、低いためかコブ が多い。ここには、半寄生のツクバネも多く生育している。

(文:小林則夫 写真:吉澤康暢)


 
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