◆ふくいの巨木 10.宝慶寺の大モミ

 ●宝慶寺(ホウキョウジ)の大モミ
    樹 種  モミ(マツ科)
    幹回り  5.5 m
    樹 高  約31 m
    樹 齢  約400年
    所在地  大野市宝慶寺
    所有者  宝慶寺

 大野市街から約8キロ m南に、永平寺の第二道場、宝慶寺がある。宝慶寺は 弘安元年(1278)寂円禅師によって開かれた寺である。
 この寺の参道の中途に大モミがある。この幹は約5 mと太いが、枝張りが悪 く樹勢がない。以前は樹勢もよく太い枝を四方に伸ばしていたが、今は太い枯 れた枝を残して、往時の元気のよさをしのばせている。樹勢がなくなったのは、 道が拡張され、舗装されたことによるものだろう。
 モミは森林を形成することはほとんどなく、山の尾根などにまばらに生育し ている。幹は曲がることもなくよく伸び、枝を水平に伸ばしている。庭や神社 などに植えられているが、日本海側には少ない。材木は白くて柔らかいために、 パルプ、器具材として利用されている。特に棺(ヒツギ)として利用されている。  宝慶寺には、スギの巨木が多く生育している。その中でも「義雲(ギウン)ス ギ」と呼ばれているスギは幹回り6 m、高さ約28 mで、大野市指定の天然記念 物になっている。
 寺の山門の手前には、ブナ林がある。このような低い場所でブナが森林を形 成して残っているのは貴重である。春の芽出し、秋の黄葉の時は大変美しい。

(文:小林則夫 写真:吉澤康暢)



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