◆ふくいの巨木(7.滝波山のヒノキ)

 ●滝波山のヒノキ
    樹 種  ヒノキ(ヒノキ科)
    幹回り  6〜7 m
    樹 高  約15 m
    樹 齢  不明
    所在地  大野郡和泉村(滝波山中腹)

 奥越山地の森林の主な樹種は、ブナ、ミズナラなどの落葉広葉樹で占められ るが、更に足を山奥に進めて、岐阜との県境の山地に入ると、尾根筋に点々と 大きなヒノキが立つのが見えてくる。こうしたヒノキは、北は毘沙門岳1,386m から能郷白山1,617m辺りにかけて特に目立っているが、中でも様々な姿のもの が根あがりとなって立つ屏風山1,354mや、福井の山では珍しく広い林が見られ る平家岳1,442 mの主要な樹種は、やはりヒノキといってもよいだろう。
 このように、主に岐阜との界の山地にヒノキが見られるのは、少々乾いた土 地を好むという性質にもよるのだろうが、この関係が極だって眺められるのが、 滝波山1,412 mである。 この山の900 mから1,100 mにかけての尾根では、県内 ではここだけの、ヒノキ、クロベ、コウヤマキ、キタゴヨウなどの針葉樹の混 交林が現れる。この現象は、太平洋側要素の福井県への広がりの例として注目 されている。
 また、この滝波山では特に大きなヒノキが見られ、その多くのものに掲載写 真のようにヤマグルマの寄生が見られる。ヤマグルマもヒノキ同様に岩まじり の尾根を好む樹であるが、ヒノキの樹肌は、更に良好な生育地になっているの だろう。写真のヤマグルマの直径は約20cm。

(文:写真 増永迪男)



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