◆ふくいの巨木(5.松ヶ崎の大エノキ)
●松ヶ崎の大エノキ ・県指定天然記念物
樹 種 エノキ(ニレ科)
幹回り 8 m
樹 高 27 m
樹 齢 約450年
所在地 勝山市荒土町松ヶ崎
所有者 渡宗雄
京福バスの松ヶ崎バス停で下車し、北の方を見ると、九頭竜川の河岸段丘上
に発達した松ヶ崎集落が目に入る。各家は多くの屋敷林に覆われているが、一
本の巨木が目につく。これが大エノキである。
この木の枝張りはよく、四方に約20 mに伸ばして元気がよい。西側の根元に
は大きなコブがあるが、これは道路改修の時に築山をけずり、根を切ったため
にできたものである。北側の根は板状になっており、幹にはコケやツタ等が多
く着生し、老木らしくなっている。
この大エノキは、昔からこの地域の人々の標木としてよく親しまれ、昔の一
里塚のエノキとの話もあるが確証はない。
一里塚とエノキについては、大野市の榎にあったエノキ、石川県寺井町吉光
のエノキなどがある。一里塚は天正年間に織田信長が街道に一里毎に塚を作り、
標木としてエノキを植えたと伝えられている。エノキを植えたことについては、
次のような話がある。「一里塚に松や杉を植えたら」と信長に伺ったところ、
「よの木」を植えてはと、それが「えの木」になり、一里塚にエノキを植える
ようになったと伝わっている。
昔は子供たちが、エノキの実を拾って食べ、その実を「ヨノミ」といってい
た。また、小鳥はこの実を種子共に食べるので、糞と同時に種子がこぼれてエ
ノキの分布を広げている。
(文:小林則夫 写真:吉澤康暢)
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