◆ふくいの巨木(4.西光寺の大スギ)

 ●西光寺の大スギ        ・勝山市指定天然記念物
    樹 種  スギ(スギ科)
    幹回り  9 m
    樹 高  約35 m
    樹 齢  約500年
    所在地  勝山市鹿谷町西光寺
    所有者  白山神社

 京福電鉄の発坂(ホッサカ)駅で下車して、南の方向、鹿谷(シカダニ)町の中 心へと歩いていくと鹿谷小学校付近で、右手の山すそにスギの大木が見えてく る。近づくにしたがい、神社の後方に堂々と立っているスギの大木に圧倒され る。幹には太いしめ縄がまかれ、村人たちが神木として大切に保護し続けてき た様子がうかがえる。
 このスギには、次のような伝説がある。
 昔、善仏坊が山に入り修行していた時、弘法大師が訪れて法を説き、その時 弁当をお食べになった。その時の箸を地面にさされた。この箸が根づいて成長 して大スギになったと伝えられている。そのことから、村人たちは「弘法スギ」 とも呼んでいる。
 このスギの幹は、高さ2 mのところから4本に分岐してよく伸びている。力 枝はたれ下がり、地面に接するばかりになっている。この枝にもコケが生育し て、いかにも老木らしい風格がある。また、枝張りもよく、約30 mとよく伸び て樹勢もよい。
 スギには、変種にアシウスギと呼ばれるものがある。この特徴は、雪の多い ところに生えて、下枝は雪におされて地面につき、そこから根をだして独立す る。幹は、下部から分かれることが多い。奥越の自生のスギはアシウスギで、 雪への適応種と考えられる。

(文:小林則夫 写真:吉澤康暢)



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