◆ふくいの巨木(2.打波の大カツラ)

 ●打波(ウチナミ)の大カツラ     ・県指定天然記念物
    樹 種  カツラ(カツラ科)
    幹回り  13.9 m
    樹 高  約28 m
    樹 齢  約1000年
    所在地  大野市下打波
    所在地  白山神社

 大野市の中心から国道158号線を和泉村へ走り、勝原の分岐点から左側へ進む こと約 3.5kmで、下打波に到着する。下打波の神社横に、カツラが堂々と生育 している。
 このカツラは、地上約5mのところから8本に分かれ、幹先には多くのコケ やシダが着生していて老木の風格を高めている。
 白山を開いた泰澄(タイチョウ)大師が白山へ向かう途中に、下打波に宿泊さ れお礼としてイザナギ、イザナミの2神体を刻まれ、それが白山神社のご神体 として祀られている。大師が食事をされた箸をさされたところ、発根し成長し たのがこの大カツラである。また、カツラの前にある小さな池は大師が手を洗 われた場所であると伝えられている。
 この神社境内には、オウレンが多く栽培されているが、古老の話によるとあ まり地下茎の発達がよくないので、ここでは種子を採集するのが目的で育てら れている。
 カツラは、渓流沿いに単木で生育しているが、分布は非常に少ない。刈込池 がある幅ヶ平には少々群生している。カツラは昔から、高級建築、家具に使わ れている。
 白山神社の背後地は、トチの原生林となっている。この場所は下打波地区の 保安林として長く保護されてきたから現在も残っている。
 (文:小林則夫 写真:吉澤康暢)

 
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