ナホトカ号重油流出事故について

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事故の概要

  1. ナホトカ号沈没地点
  2. 船首部漂着地点
  3. 重油漂着の範囲
     1997年1月2日未明、大しけの日本海(島根県隠岐島沖)において、 暖房用C重油約19,000 klを積んで上海からペトロパブロフスクへ航行中の ロシア船籍タンカー「ナホトカ」号(建造後26年経過)に破断事故が発生。
     船体は浸水し、31名の乗組員は救命ボートに避難。 しかし船長は行方不明となり、後日福井県の海岸に遺体が漂着した。
     船体は水深約2,500 mの海底に沈没したが、船体から分離した船首部分は強い北西季節風にあおられて数日間南東方向へ漂流し、 対馬海流を横断して1月7日13時頃、越前加賀海岸国定公園内の福井県三国町安島沖に座礁した。
     積み荷の重油は、約6,240 klが海上に流出。 また、海底に沈んだ船体の油タンクに残る重油約12,500 klの一部はその後も漏出を続けている。
     座礁した船首部分の油タンクに残っていた重油は、海上での回収作業および陸上からの仮設道を利用した回収作業により2月25日に回収を終えた。
     海上に流出した重油は福井県をはじめ、日本海沿岸の10府県におよぶ海岸に漂着し、環境および人間活動に大きな打撃を与えた。

    油流出事故に関する参考情報


    写真(97/01/10 三国町安島にて撮影)
    • 写真、マップ
      •  座礁した船首と油におおわれた海岸
      •  地元の人々のバケツリレーによる重油の回収作業
      •  作業員による重油の回収作業
      •  油ミストの測定(環境科学センター)
      •  大気環境測定車による炭化水素の測定(同)
      •  [MAP] 大気環境調査地点(緑丸の位置)

    経過(97/01/02〜;資料:新聞報道ほか)

    • 97/04/30 福井県重油災害対策本部解散。

    • 97/04/20 船首部撤去。

    • 97/04/12 福井県三国町安島沖に座礁した船首部の撤去作業開始。

    • 97/03/31 福井県三国町で重油回収作業を行ってきた三国ボランティア本部が解散。

    • 97/02/25 船首部での残油抜き取り作業完了。

    • 97/02/24 船首部での残油抜き取り作業再開。県水産試験場が生態系の潜水調査開始。

    • 97/02/23 船首部での作業再開に向けて仮設道の復旧工事。沈没船体から新たな重油流出確認。

    • 97/02/22 高波のため船首部での作業はできず。船首部への仮設道も高波で約15m流失。

    • 97/02/21 高波のため船首部での作業はできず。

    • 97/02/20 高波のため船首部での作業はできず。 重油漂着12市町村に回収作業のガイドラインを配布(福井県)。 島根県隠岐島沖の海底2,500mに沈没した船体に新たなタンクの亀裂が見つかり、 流出重油の合計量は推定約6,240klであることが判明。

    • 97/02/19 高波のため船首部での作業はできず。

    • 97/02/18 高波のため船首部での作業はできず。

    • 97/02/17 高波のため船首部での作業はできず。

    • 97/02/16 仮設道を使って船首部の残油回収続く。 福井市内で重油流出事故に関する環境保全技術検討会。

    • 97/02/15 仮設道を使って船首部の残油回収続く。

    • 97/02/14 仮設道を使って船首部の残油回収開始。

    • 97/02/13 仮設道を使っての船首部の残油回収に向けて、陸上での準備作業。

    • 97/02/12 荒天のため、三国町安島での油回収作業は休止。

    • 97/02/11 荒天のため、三国町安島での油回収作業は休止。

    • 97/02/10 船首部での油抜き取り作業ほぼ完了。仮設道も目標の175mまで完成。 「ナホトカ号油流出事故環境影響評価総合検討委員会」開催(環境庁)。

    • 97/02/09 船首部での油抜き取り作業続く。8日までの福井県内の重油回収量は約14,000kl(海水を含む)。

    • 97/02/08 船首部での油抜き取り作業再開。仮設道は170mまで造成。

    • 97/02/07 高波のため船首部での作業はできず。仮設道は165mまで再造成。

    • 97/02/06 船首部での油抜き取り作業を20日ぶりに再開。400klを抜き取る。 「タンカー油流出事故現地連絡協議会」福井で開催(水産庁、8府県水試)。

    • 97/02/05 波がおさまり、船首部で油抜き取り準備作業。

    • 97/02/04 高波のため、船首部での作業はできず。仮設道も15m流失。

    • 97/02/03 船首への仮設道は海岸から165mまで造成。 船首部での油抜き取りはうねりのためできず。 「重油回収技術対策連絡会議」設置(福井県)。

    • 97/02/02 船首への仮設道は海岸から155mまで造成。 船首部での油抜き取りはうねりのためできず。

    • 97/02/01 船首への仮設道は海岸から140mまで造成。 船首部での油抜き取りはうねりのためできず。

    • 97/01/31 2日ぶりに、三国町安島でのボランティア作業再開。 仮設道は125mまで造成。船首部では重油抜き取り準備作業。

    • 97/01/30 荒天のため、作業難航。国会議員団が三国町安島の現場を視察。

    • 97/01/29 荒天のため、三国町安島でのボランティアによる重油回収作業、船首部での作業は中止。

    • 97/01/28 仮設道は海岸から115mまで造成。船首部の調査行われる。

    • 97/01/27 仮設道は海岸から95mまで復旧。6日ぶりに、三国町安島での ボランティアによる重油回収活動再開。 「油流出事故災害補償対策プロジェクトチーム」設置(福井県)。

    • 97/01/26 高波により仮設道が25m流失。タンカー船長とみられる遺体が越前海岸に漂着。

    • 97/01/25 仮設道は海岸から110mまで造成。船首まであと75m。

    • 97/01/24 風がおさまり、船首部で重油の抜き取りに向けて調査再開。 仮設道は海岸から95mまで造成進む。三国沖にロシアの回収船到着。 重油は山形県にも漂着し、計8府県に漂着。

    • 97/01/23 高波は午後になり少しおさまり、座礁船首への仮設道の造成再開。 しかし、船首部での作業はできず。数日続いた高波で重油漂着地域は拡大し、 福井県内では63カ所に。座礁船首および沈没船体からの重油流出も続いているもよう。

    • 97/01/22 荒天のため、作業難航。海は大しけで座礁船首は約13m海岸方向へ移動。 船首への仮設道も高波で約15m流失。原子力発電所のオイルフェンスも一部流失。

    • 97/01/21 荒天のため、作業難航。福井県内では河野村にも重油が漂着し、 12の沿岸市町村すべてで重油が漂着。新潟県にも漂着し、重油漂着府県は7府県に。 農林水産大臣が福井県三国町の現場視察。

    • 97/01/20 荒天のため、作業難航。福井県内では三方町にも重油が漂着し、 重油漂着市町村数は、11に。政府が「ナホトカ号流出油災害対策関係閣僚会議」開催。

    • 97/01/19 荒天のため、作業難航。 若狭湾の重油は敦賀半島にも漂着し、福井県内の重油漂着市町村は、10市町村に。 京都府の丹後半島にも大量漂着し、沈没船体からの湧出重油の可能性も。 文化庁が三国町の名勝地区の状況調査。

    • 97/01/18 荒天のため、回収作業難航。海岸への重油漂着続く。 船首部での油抜き取り作業、海岸でのボランティアの回収作業は中止。 漁船による若狭湾内の漂流重油の回収も午前中で打ち切り。 運輸大臣が、船首部への仮設道建設現場を視察。

    • 97/01/17 漂流重油の先端は能登半島を越え、富山、新潟県方面へ。 座礁船首の重油抜取りは約700kl回収後、荒天予報で中断。 三国町の越前松島水族館ではイルカ水槽への重油混入を防げず、イルカ14頭が 県外へ疎開。環境庁、8府県の環境担当者が福井で環境対策関係府県連絡会議開催。

    • 97/01/16 海上の波がおさまり、船首の重油抜き取り作業開始。 本県では沿岸12市町村のうち、若狭湾に流入した重油が新たに漂着した小浜市、 美浜町を含め、計9市町村に重油漂着。 「環境保全技術対策プロジェクトチーム」設置(福井県)。

    • 97/01/15 荒天のため、船首部の海上作業、海岸での油回収作業はできず。 ロシア大使が現地を訪れて陳謝。環境庁が独自の調査開始。 重油は、新たに若狭湾沿岸各地のほか、能登半島北部海岸にも漂着。 流出した重油量は3700klではなく、約5000klと推定。

    • 97/01/14 能登半島沖を北上中の漂流重油は舳倉島に接近。被害拡大の恐れ。 高波のため回収作業は難航。座礁船首の重油抜き取りに向けて仮設道建設開始。 好天であれば海上での抜き取り作業も行うことを政府対策本部が決定。 これまでに被害を受けた鳥の総数は日本海沿岸7府県で計348羽。

    • 97/01/13 好天に恵まれ、海上、沿岸で重油の回収進む。 日本海には今なお95の重油塊が漂流。沈没船体付近には4つの新たな重油塊。 座礁船首は、重油抜き取りに向けてサルベージ会社が船底に穴を開ける。

    • 97/01/12 高浜原発のオイルフェンスに重油漂着。発電には影響なし。 福井沖では、海上保安庁の巡視船のほか、漁船約170隻が漂流重油回収作業。 回収した重油を入れるドラム缶が不足し、トロ箱も使用。 座礁している船首の撤去に向けて陸上からの作業道路建設を検討。

    • 97/01/11 重油は島根県にも漂着。タンカー沈没海域に南北20km、幅1.8kmの重油帯。 約2000mの海底から、船体に残る12500klの重油の一部が漏れている恐れ。 三国町で座礁した船首に残る2800klの重油も漏れ続けているもよう。 船首の調査は高波のため難航。海岸では4000人以上が重油回収作業。

    • 97/01/10 政府が運輸省に対策本部設置。重油は鳥取県にも漂着。原子力発電所が 集中する若狭湾でも海岸に接近中のため、各原発ではオイルフェンスで防御。 各地で懸命の油回収作業。油回収船「清龍丸」の作業は漂流重油が分散し難航。 三国港に水揚げされたエビ、カニ、カレイには重油の影響なし。

    • 97/01/09 重油は福井県嶺北沿岸一帯のほか、石川県、京都府、兵庫県にも漂着。 今後も続々と漂着の恐れ。国内最大の油回収船「清龍丸」が漂流重油を懸命に回収。 重油で汚れ、衰弱した海鳥を各地で確認。自衛隊、ボランティアも油回収に協力。 漂着重油は水を吸収し、タール状のエマルジョンになって3〜4倍に体積増大。

    • 97/01/08 海岸で懸命の油回収作業。沖合ではヘリコプターで処理剤空中散布。 重油は石川県を含め広範囲に漂着。油まみれの海鳥も確認。 若狭湾、越前沖に別の複数油塊が接近。

    • 97/01/07 09:30頃 三国町安島の海岸に重油漂着。13:30頃同じく安島の沖合 約150mに船首部分が座礁。高波のためえい航作業、油回収作業はできず。 付近の松林に油臭が充満。油の波が岩ノリ漁場の岩礁地帯を洗う。 船首部分に残るとみられる2800klも流出の恐れ。日本海での油流出事故としては S46年の新潟港沖のタンカー「ジュリアナ号」座礁事故(流出量7200kl)に次ぐ。

    • 97/01/07 午前零時 最大風速30mの北西風にあおられ、重油・船首部分は 対馬海流を越えて三国町安島沖約13kmに接近。海上は大しけで作業できず。

    • 97/01/05 夕方 重油・船首部分は福井港の北西約72kmに接近。 巡視船が処理剤散布を開始。午後から荒天になり、船首の沖へのえい航は中止。

    • 97/01/04 午後5時 重油は福井港の北西約90kmに接近。10m前後の北西風に乗り、 折れて流されたタンカーの船首部分も時速約2kmで南東へ移動。海上は荒れもよう。 本県では、7年前にも若狭湾で油汚染。(1990.01.25リベリア船籍のマリタイム・ ガーデニア号7027トンが経ヶ岬沖1kmで座礁し重油684klが流出。油塊が漂着。)

    • 97/01/03 午後 福井港の北西約137kmに帯状重油を確認。福井県に漂着の恐れ。 ナホトカは長さ約180mの船体が2つに折れて浸水し、同船に積まれていたC重油 約19000klのうち3700klが流出したもよう。(C重油の比重は約0.95) 1974(S49)年の三菱石油水島製油所事故の約7900kl流出に次ぐ事故になりそう。

    • 97/01/02 02:50頃 島根県隠岐島の北北東約106kmでロシア船籍のタンカー 「ナホトカ」(13,157トン、乗組員32名)が浸水したとの緊急通報。 09:30過ぎ漂流中の6隻の救命ボートから乗組員31名を救助。 メルニコフ・バレリー船長は行方不明。

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