アイドリング・ストップ運動推進事業について

趣旨
 近年の自動車交通量の増加や自動車の大型化は、窒素酸化物による大気汚染や騒音といった公害を引き起こすばかりでなく、二酸化炭素の排出による地球温暖化の大きな要因ともなっている。
 また、昨年12月に京都市で「気候変動枠組条約第3回締約国会議」(地球温暖化防 止京都会議:COP3)が開催され、日本の二酸化炭素等温室効果ガス排出削減目標が 6%と定められた。

 こうしたことから、県では、地球温暖化防止等の一環として、取り組めるものから直 ちに取り組むこととし、平成10年度には、駐停車中の不必要なアイドリングによる二 酸化炭素の排出を抑制するため、6月および12月を本運動の推進月間とするとともに、 下記の事業概要により、事業所、県民および行政が一体となってアイドリング・ストッ プ運動を推進する。

事業概要
1 推進月間
  6月と12月をアイドリング・ストップ運動推進月間とし、次の事業を行う。

街頭キャンペーン
  量販店や幹線道路での街頭キャンペーンを実施する。
ラジオ放送
  自動車の運転手に対し、夕方の帰宅時間帯のラジオ放送により普及啓発する。

2 事業所の協力
  コンビニエンスストアー等を推奨事業所、従事者が30人以上の事業所を実践事業所として、来客や従事者等に対する普及啓発について協力を依頼する。

推奨事業所
  店舗入口のドアに啓発用ステッカーを貼付し、来客に対する普及啓発を行う。
実践事業所
  啓発用ポスターを事務所に貼付するとともに、社有車にステッカーを貼付し、アイドリング・ストップを実践するとともに、来客等に対する普及啓発を行う。

3 広報誌等の活用
  グラフ福井等の県広報誌や電光掲示板等を活用し、広く県民に普及啓発する。

4 県の率先実行
  公用車にステッカーを貼付し、アイドリング・ストップを率先して実行するとともに、県民への普及啓発を行う。


<資料>

アイドリングストップの効果

アイドリング5分間当たり

 燃 料 消 費 量二酸化炭素排出量
乗 用 車(ガソリン車)  70    cc 165     g
小型トラック(2 トン車)  40〜 60cc 106〜159g
中型トラック(4 トン車)  65〜 85cc 172〜220g
大型トラック(10トン車) 110〜150cc 293〜403g
                                    (環境庁資料)

燃料消費量の削減効果(乗用車換算)
1人が実行すると
  70cc×365回(日/年)≒ 26リットル
                  (2,600円)
県民のすべてが実行すると
  70cc×365回(日/年)×57万台≒ 14,600キロリットル
                          (14億6千万円分)
                          (ドラム缶7.3万本)

二酸化炭素排出量の削減効果(乗用車換算)
1人が実行すると
 165g×365回(日/年)≒60kg
県民のすべてが実行すると
 165g×365回(日/年)×57万台≒34,300t

二酸化炭素排出量の削減割合
県全体排出量の削減率
 県全体二酸化炭素排出量800万t
 3.43万t÷800万t×100≒0.4%

運輸部門の削減率
 運輸部門二酸化炭素排出量180万t
 3.43万t÷180万t×100≒1.9%


アイドリングストップ運動のQ&A

Q1 「アイドリングストップ」って何?

A 自動車が走っていない時にエンジンをかけっぱなしにすること(アイドリング)は、できるだけやめようということ。
  不必要なアイドリングをやめれば、車の燃料が節約でき、排出ガスも減らせます。ドライバーがエンジンをかけたまま車を離れるのは、
 自動販売機や店での買い物
 郵便物の投函やクリーニング、銀行などの用事
 暖気運転
 同乗者が車内にいるとき
 自宅前で戸締まり、忘れ物などのため…
といった場合に多く見られるとのこと。

Q2 アイドリングストップを繰り返して、バッテリーはだいじょうぶ?

A 自動車のバッテリーの性能はよくなっているので、ドライバーが車から離れている時、荷物の積み降ろしをしている時、人待ち・客待ちの時などにエンジンを停止する程度であれば、問題ありません。
 なお、エンジンを止めている間のカーエアコンやカーステレオの使用は、控えた方が良いでしょう。

Q3 自動車の使用開始前の暖気運転は、ある程度必要では?

A 計器盤の水温計を見てください。  水温計がいったん所定の位置(一般に“C”と表示されています。)まで上がれば、それで暖気運転は完了です。

Q4 交差点などではどうしたらいいの?
  信号停止でエンジンを止めても、再度エンジンをかけた時に排ガスがたくさん出るのでは?

A エンジンの始動時には、一般に排ガスの量が増えます。この時の排出量は自動車の種類によって異なりますが、ディーゼル車における窒素酸化物(NOx)の排出量の調査では、20秒強のアイドリングに相当する量だったという結果が得られています。
 従って一律には言えませんが、周囲の状況も見ながら、例えば1分以上停止することが予想されるような場合には、アイドリングストップを考えてみてはどうでしょうか。

Q5 アイドリングストップって世界でもやっているの?

A アイドリングストップは世界で行われています。
 スイス、ドイツ、スウェーデンなどの国やアメリカのニューヨークでは、アイドリングが法令で規制されています。
 また、こうした国々では、アイドリングストップが市民の間に定着しています。

Q6 日本でもアイドリングストップは始まっているの?

A 平成9年1月に環境庁が実施した全国アンケート調査では、アイドリングストップについて何らかの取組みを行った自治体、商工団体、企業などの報告が約760件もありました。(トラック協会やバス協会など)

Q7 アイドリングストップは法律で決められているの?

A 道路交通法で運転者の遵守事項として、「車両等を離れる時は、その原動機をとめ、完全にブレーキをかける等当該車両等が停止の状態を保つため必要な措置を講じること。」(道交法第71条第5号)と定められています。
 また、県の公害防止条例でも自動車の合理的な使用として、「自動車を運転する者は、大気の汚染および騒音を防止するため、自動車の合理的な使用、適正な整備および適切な運転に努めなければならない。」(県公害防止条例第44条)として、不要不急の自動車の使用や空ふかしを控えるように定めています。
 なお、兵庫県では、条例においてアイドリング規制に違反した人に対する罰則規定(10万円以下の罰金)が設けられています。

Q8 福井でアイドリングストップをする必要があるの?
  大都市ですればいいのではないの?

A 地球の大気は一つです。
 地球温暖化の問題は、全世界の問題であり、昨年12月にも世界から165ケ国の代表者が集まり、地球温暖化防止京都会議を開催し、今後の取組みを決めたのです。
 皆さんの一人ひとりが直ちにできる地球温暖化防止の活動の一つとして、アイドリングストップ運動にご協力をお願いします。

Q9 二酸化炭素を出すのは工場が多いのではないの?
  アイドリングストップだけでいいのですか?

A 日本の二酸化炭素の排出割合をみると、

工場などの産業部門約40%
自動車などの運輸部門約19%
一般家庭の民生部門約13%
となっており、当然、工場等でも二酸化炭素の排出削減に取り組む必要があり、今後、法律によっても規制されることとなると思われます。
 また、運輸部門の中の割合を見ると、
自家用車約70%
営業車約20%
海運、鉄道、航空約10%
となっており、自家用車においてアイドリングストップ運動を進めることは、運輸部門での排出量削減に大きな役割を持っているのです。
 皆さんの一人ひとりが直ちにできる地球温暖化防止の活動の一つとして、アイドリングストップ運動にご協力をお願いします。

Q10 アイドリングストップ以外に地球温暖化防止のためには何をすれば良いの?

A 蛍光灯や電気機器はこまめに消すとか、冷暖房の設定温度を夏は28度以上、冬は20度以下にするなどの省エネに努めることなど、一人ひとりが日常生活で行う地球温暖化防止のための行動として、福井県が登録を呼びかけている「100万人の誓い:私が止める温暖化」として、次のような事項があります。

「100万人の誓い:私が止める温暖化」の12の誓い

  1. レジ袋やブックカバーを断わり、自分の買い物袋やカバンを利用する。
  2. 缶、ビン、スチロール、トレーなどは分別し、リサイクルする。
  3. 冷暖房の設定温度を夏は28度以上、冬は20度以下にする。
  4. 蛍光灯や電気機器はこまめに消し、使わないときには主電源を切り、コンセントも抜く。
  5. 近くの買い物などには歩くか自転車で行き、休日の外出には公共交通機関を使う。
  6. 洗面や歯磨きをするときなどは、こまめに水を止める。
  7. 食器洗いなどの給湯の温度は冷たく感じないギリギリの低めの温度に設定する。
  8. 日曜雑貨や台所用品などにはエコマークのついた商品を購入する。
  9. 食材をムダなく使い、省エネを心がけて調理するエコクッキングを行う。
  10. 環境家計簿をつけて、環境にやさしい日常生活となっているかをチェックする。
  11. 人を待つ時や荷物の積み降ろしをするときは、自動車のエンジンを切る。
  12. 3階程度の昇り降りはエレベーターを使わず、階段を使う。