平成12年度大気・水質の常時
監視結果と公害苦情の概要
(福井県)


1 大  気
 
(1) 大気環境
   大気汚染の常時監視を37観測局(一般観測局33、自動車排出ガス観測局4)で実施した。
その結果、本県の大気環境はおおむね良好な状態にあり、またいずれの項目も年平均値が横ばいの傾向で推移している。

@ 二酸化窒素、一酸化炭素の環境基準達成率は100%であった。
A 二酸化いおうの環境基準達成率は、三宅島の火山ガスによる濃度上昇が見られたため短期的評価で0%であったも のの長期的評価は100%であった。
B 浮遊粒子状物質の環境基準達成率は、短期的評価で21%、長期的評価で 100%であった。
C 光化学オキシダントの環境基準達成率は短期的評価で0%であるが、光化学スモッグ注意報等の発令には至らなかった。
 
(2) 有害大気汚染物質
   ベンゼンやトリクロロエチレン等の10項目について、福井市、敦賀市、武生市、鯖江市および三国町の5地点で大気調査を実施した。その結果、環境基準の定められているベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンの3物質については、すべての地点で環境基準を達成していた。
 
(3) 酸性雨
   福井市、敦賀市、勝山市、越前町の4地点で、酸性雨調査を実施している。
その結果、本県の降雨の年平均pHは4.4〜4.7の範囲にあって、酸性化しているものの全国とほぼ同一レベルにある。
 
 
2 水  質
 
(1) 公共用水域
   公共用水域の水質の常時監視を112地点(河川59、湖沼17、海域36)で実施している。その結果は、次のとおりである。

@ 人の健康の保護に関する環境基準(「健康項目」)は、「硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素」が御清水川で不適合であったが、他の項目はすべての地点で達成していた。
A 生活環境の保全に関する環境基準(「生活環境項目」)は、河川のBOD(生物化学的酸素要求量)でみると、深川(木の芽橋)で不適合であり、達成率は98%であった。
また、湖沼のCOD(化学的酸素要求量)でみると、三方五湖において、冬期、植物プランクトンが異常繁殖したため、例年に比べ環境基準の達成率が低下し、29%にとどまった。
一方、海域のCODは、小浜湾海域の1地点で環境基準に不適合であり、達成率は97%であった。
B 現時点では直ちに環境基準とせず、引き続き知見の集積に努めるべきもの
(「要監視項目」)7項目について、38地点(河川33、湖沼5)で測定した
結果、すべて指針値以下であった。
C 環境ホルモン調査として、6地点で大気中の2物質を、河川と湖沼の19地点で底質中の1物質を測定した結果、いずれも平成10年度に国が実施した全国一斉調査結果の検出濃度範囲内であった。
 
(2) 地下水
   平成12年度までの調査により、環境基準を超える地下水汚染が31地区で確認されている。このうち、平成12年度に新たに確認された地下水汚染は4地区であった。
また、この31地区を汚染原因別にみると、トリクロロエチレン等による人為的汚染が27地区、砒素による地質由来が5地区となっている。

〔平成12年度に確認された地下水汚染〕
@ 武生市塚町・三ツ屋町で砒素が環境基準を超えて検出された。
A 鯖江市水落町で六価クロムが環境基準を超えて検出された。
B 永平寺町光明寺でテトラクロロエチレン等が環境基準を超えて検出されたが、その後、汚染原因と考えられる不法投棄物を撤去したこと等により、最近の測定結果では、環境基準を下回る状況にある。
C 高浜町東三松で硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素と砒素が環境基準を超えて検出された。

〔地下水の定期モニタリング〕
@ 平成11年度までに地下水汚染が確認された27地区における定期モニタリングの結果は、別紙のとおりである。トリクロロエチレン等による地下水汚染地区20の各最高濃度井戸について、最近2年間の平均濃度でみると、過去の最高濃度の4〜95%であった。
A 7地区においては、地下水汚染物質濃度が環境基準以下となったが、当面、モニタリングを継続する。
 
 
3 公害苦情
   (1) 公害苦情件数
県および市町村が受けた公害苦情件数は470件で、前年度に比べ116件(32.8%)増加している。

(2)公害の種類別苦情件数
@ 典型7公害に関する苦情は、390件(全苦情の83.0%)で、前年度に比べ104件(36.4%)増加している。
種類別では、野焼き等による大気汚染に係る苦情件数の増加が大きい。(132件→185件)
A 典型7公害以外の苦情は、80件(全苦情の17.0%)で、前年度に比べ12件
(17.6%)増加している。
種類別では、廃棄物の不法投棄に関する苦情が46件(典型7公害以外の苦情の57.5%)と最も多くなっている。




平成12年度 大気環境の常時監視結果
1.環境基準達成状況
測 定 項 目 二酸化硫黄 二酸化窒素 浮遊粒子状
物質
一酸化炭素  光化学
オキシダント
炭化水素
環境基準
の達成率
短期的評価※1 0% ――― 21% 100%
(100%)
0%
(0%)
環境基準なし
長期的評価※2 100% 100%
(100%)
100% 100%
(100%)
―――
有効測定局数 ※3 24 27
(4)
33
(4)
16
(1)

(4)
(注)
短期的評価とは、測定を行った日についての1時間値の1日平均値もしくは8時間平均値または各1時間値を環境基準と比較して評価を行うこと。
※2
長期的評価とは、1年間の測定を通じて得られた1日平均値のうち、高い方から数えて2%の範囲にある測定値(例えば、年間の有効測定日が365日の場合には、7個の測定値)を除外した後の最高値を環境基準と比較して評価を行うこと。
※3
有効測定局とは、年間の測定時間が6,000時間を超えるもの。
※4 ( )の数字は「自動車排出ガス測定局」にかかるもので、外数。
2.光化学スモッグ注意報等の発令状況
  ・注意報等の発令日数  0日




平成12年度 有害大気汚染物質の測定結果
(単位:μg/m3)
                  測定地点
項目
福井市 敦賀市 武生市 鯖江市 三国町 環境基準
(年平均値)
(参考)11年度全国値
平均 最小 最大
ベ   ン   ゼ   ン 2.2 2.1 2.0 3.0 1.3 3 2.5 0.44 8.3
トリクロロエチレン 2.1 2.0 1.7 1.4 1.2 200 1.8 0.018 60
テトラクロロエチレン 0.30 0.12 0.12 0.13 0.32 200 0.77 0.030 10




平成12年度 酸性雨測定結果
    測定地点
項目
福井市 敦賀市 勝山市 越前町 (参考)5〜9年度全国値
平均 最小 最大
pH 4.5 4.4 4.7 4.5 4.8〜4.9 4.4 5.9




平成12年度 公共用水域の常時監視結果
1.環境基準の達成状況
水  域  名 測定地
点数
健康項目 生  活  環  境  項  目
BOD
(COD)
pH 浮遊物質量 溶存酸素量 n-ヘキサン
抽出物質
全窒素 全 燐
河川 九 頭 竜 川 30 100%
(硝酸性窒素・亜硝酸性窒素は97%)
98% 100% 98% 100%
笙   の   川
井 の 口 川
耳           川
北           川
南           川
類型未指定河川 13
湖沼 北   潟   湖 100% 29% 94% 82% 100% 0% 7%
三 方 五 湖
海域 九頭竜川地先 100% 97% 100% 67% 100% 100% 94%
越前加賀海岸地先
敦   賀   湾
小   浜   湾
世 久 見 湾
矢   代   湾
内   浦   湾
若 狭 湾 東 部
合                計 112
2.要監視項目の調査結果 
測  定  項  目 調 査 地 点 数 指 針 値 を 超 過 し た 地 点
河     川 湖    沼
フェ ニ ト ロ チ オ ン 33
イ ソ プ ロ チ オ ラ ン 33
イ プ ロ ベ ン ホ ス 33
ク ロ ル ニ ト ロ フェ ン 33
ニ    ッ    ケ    ル 33
モ   リ   ブ   デ   ン 33
ア   ン   チ   モ   ン 33
3.公共用水域概況図




平成12年度 環境ホルモン調査結果
1.大気調査

2.底質調査




平成12年度 地下水質の測定結果
1 平成12年度に確認された地下水汚染
2 定期モニタリング調査結果の概要




平成12年度 公害苦情件数
1 公害の種類別苦情件数の推移
         年 度
種 類
10 11 12 12年度
構成比(%)
典型7公害 大気汚染 75 91 136 132 185 39.4
水質汚濁 92 74 50 50 74 15.7
土壌汚染 0 0 1 0 0 0.0
騒   音 42 44 32 44 49 10.4
振   動 17 4 2 3 5 1.1
地盤沈下 0 0 0 0 0 0.0
悪   臭 57 46 34 57 77 16.4
小     計 283 259 255 286 390 83.0
典型7公害以外 80 84 60 68 80 17.0
合       計 363 343 315 354 470 100.0
対前年度増減数 -11 -20 -28 39 116
対前年度増減率(%) -2.9 -5.5 -8.2 12.4 32.8
2 公害の発生源・発生場所別苦情件数の推移
            年 度
 発生源
10 11 12 12年度
構成比(%)
農     林    漁     業 30 13 14 23 35 7.4
建        設        業 30 43 38 50 71 15.1
製        造        業 94 90 101 94 122 26.0
運  輸  ・  通  信  業 5 10 7 9 9 1.9
卸売・小売業、飲食店 24 24 16 24 23 4.9
サ   ー   ビ   ス   業 44 36 27 46 45 9.6
家     庭    生     活 24 24 19 14 43 9.1
そ         の       他 81 87 69 75 83 17.7
不                   明 31 16 24 19 39 8.3
合                    計 363 343 315 354 470 100.0

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