福井県感染症情報

介護現場で流行対策が必要な主な感染症


ノロウイルス(感染性胃腸炎)

潜伏期間(感染から発症までの時間)は24〜48時間で、主症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛であり、発熱は軽度である。通常、これら症状が1〜2日続いた後、治癒し、後遺症もない。また、感染しても発症しない場合や軽い風邪のような症状の場合もある。現在、このウイルスに効果のある抗ウイルス剤はないため、通常、対症療法が行われる。特に、体力の弱い乳幼児、高齢者は、脱水症状を起こしたり、体力を消耗したりしないように、水分と栄養の補給を十分に行うようにする。脱水症状がひどい場合には病院で輸液を行うなどの治療が必要になる。止しゃ薬(いわゆる下痢止め薬)は、病気の回復を遅らせることがあるので使用しないことが望ましい。 このウイルスの感染経路はほとんどが経口感染である。              −平成17年3月1日厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」より一部抜粋−

インフルエンザ

インフルエンザウイルス(A,B,C型がある)が病原。A型はさまざまな亜型を持つうえに、抗原変異を起こすことがあり、大流行を起こすこともある。高熱や全身の関節痛・筋肉痛、咳、鼻水など、普通感冒よりも強い症状が出る。2001年11月より予防接種法の2類疾病に分類され、@65歳以上の高齢者、A60歳以上65歳未満で心臓、腎臓、呼吸器、免疫機能などに障害がある人には、市町村より予防接種が行われることになった。
予防策として、うがい、手洗いの励行、湿度の保持など。高齢者におけるワクチン
は重症化、死亡を防ぐ点で効果がある。

疥  癬

「ヒゼンダニ」というダニが人の皮膚に寄生・産卵し、かゆみを伴う皮膚病。人から人に感染する。感染者一人あたりのダニの数は普通1,000匹以内だが、これが100万〜200万匹に増殖すると、感染力が極めて強い「ノルウェー疥癬」と呼ばれ、皮膚にカキ殻のような厚い角質ができる。感染経路は接触感染(畳、こたつ、雑魚寝、寝具を介した間接接触)。ノルウエー疥癬は鱗屑に大量の虫体がおり、接触しなくても感染者がでることがある。

結  核

結核菌が肺に病巣をつくる。現在は錠剤で治癒可能で、予防はBCGワクチン(牛型結核菌を培養し弱毒化したもの)の接種で行う。感染したかどうかやBCG接種が必要かを診断する方法の一つにツベルクリン反応検査がある。これは、結核菌のタンパク質を部分精製したものを皮内注射し、48時間後に皮膚の赤く腫れた部分の長径を計測するもの。10mm以上の場合を陽性(感染した、またはBCGにより抗体がある)と判断。
咳や痰、微熱などの症状が長く続いていないかに注意し、疑わしい場合は肺のレントゲン検査などを実施し、結核を早期発見し、感染拡大を未然に防ぐことが重要。

腸管出血性病原性大腸菌(O157)感染症

ベロ毒素を出す腸管出血性大腸菌(O157)が食べ物などを汚染し、それを口にすることで起こる腸管感染症。人から人に二次感染もする。下痢、激しい腹痛、血便などがあるほか、重い合併症を起こし死に至るケースもある。
感染拡大防止策として、原因食品、感染経路の調査。集団感染を防ぐためには、調理関係者の手指、調理器具の清潔、食品の十分な加熱(75℃で1分以上)に留意する。

B型肝炎、C型肝炎

B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスが病原体。肝機能を低下させ、肝硬変や肝細胞がんにつながる。治療法はインターフェロン投与など。B型は1985年にワクチンが開発され、C型ワクチンは開発中。感染拡大防止策として、B型肝炎の場合は、血液、だ液、精液などの付着した器具等は感染源にならないように処置する。焼却、破棄しない場合は、十分な水洗後加熱滅菌あるいは薬物消毒を実施。濃厚接触者にはワクチンを投与する。C型肝炎にも同様な消毒処置が必要。手洗いを十分に行う。

MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)

メチシリン(抗生物質)が効かない黄色ブドウ球菌。ちなみに黄色ブドウ球菌とは、人や動物の皮膚、消化管内などに常在し、化膿症や肺炎などさまざまな感染症の原因となるが、通常は無害。MRSAの病原性は、通常の黄色ブドウ球菌とほぼ同じ程度。
感染経路は、接触感染。細菌は、患者よりのだ液、喀痰、膿汁、ただれた皮膚、便、まれに尿に含まれる。介護従事者の手指により媒介され伝播することもある。適切な消毒法を用いて、感染対策を行う。

緑 膿 菌

黄色ブドウ球菌と同様に、人の皮膚、土や水の中に常在する。普段は無害だが、化膿症や肺炎、中耳炎などを引き起こす。緑膿菌に対する抗菌薬が各種開発されているが、これに対し耐性を持つ緑膿菌(薬剤耐性緑膿菌、多剤耐性緑膿菌)もあり問題となっている。感染経路としては、保菌者や患者から手指や医療器具、日常品を介して感染する。