12. KCJ004  02/16 16:01  3172  第4部 戦略の効果的実施

第4部 戦略の効果的実施

第1節 実施体制と各主体の連携

 生物多様性国家戦略は、「生物多様性条約」を受けて、生物多様性の保全と
持続可能な利用に関する我が国の基本方針と施策の展開を示したものである。
したがって、その実施は政府が中心となって行うものであるが、生物多様性の
保全と持続可能な利用は、国民の社会経済生活の全般にかかわるため、政府の
みならず、地方公共団体、事業者、国民がそれぞれ環境基本法に規定された責
務を踏まえ、国家戦略に示された方向に沿って、共通の認識の下に、互いに協
力して行動することが肝要である。また、地域における取組の促進が生物多様
性の保全と持続可能な利用のために特に重要であることに配慮する必要がある
。
 国は、関連する閣僚会議や関係省庁連絡会議等の場を通じて緊密な連携を図
り、国家戦略に示された施策を総合的かつ計画的に実施する。
 地方公共団体は、国家戦略に示された方向に沿いつつ、地域の自然的社会的
条件に応じて、国に準じた施策やその他の独自の施策について、これを総合的
かつ計画的に進めることが期待される。
 事業者及び国民においても、生物多様性の保全と持続可能な利用の重要性を
認識し、事業活動の実施及び日常生活に際して、生物多様性の保全と持続可能
な利用に十分配慮するとともに、国家戦略に示された方向に沿って、自主的積
極的に行動することが期待される。
 国民や事業者により組織され、環境保全活動を行う非営利的な民間団体は、
公益的な視点から組織的に活動を行うことにより、環境保全に大きな役割を果
たしている。これらの団体は、生物の調査や自然教育の推進への貢献など、今
後、生物多様性の保全と持続可能な利用の分野でもより一層の活躍が期待され
る。
 国は、これらの主体と連携して施策を実施するとともに、これらの主体が行
う生物多様性の保全と持続可能な利用のための活動を支援すること等により、
第2部に示された長期的な目標の達成に向け努力する。
 また、世界の生物多様性の保全と持続可能な利用の促進を図るため、「生物
多様性条約」の実施促進に関して、先進諸国と協力するとともに、開発途上諸
国に対して支援を進める。

第2節 各種計画との連携

 国家戦略の実施は、環境の保全に関しては環境基本計画の基本的な方向に沿
って行う。
 生物多様性の保全と持続可能な利用に密接に関連する国の基本方針又は計画
としては、「自然環境保全法」に基づく自然環境保全基本方針、「種の保存法
」に基づく希少野生動植物種保存基本方針、「林業基本法」に基づく森林資源
基本計画等がある。これらの基本方針及び計画は、生物多様性の保全と持続可
能な利用に関しては、国家戦略に示された方向を踏まえて実施するとともに、
国家戦略と相互の連携を図るものとする。
 また、生物多様性の保全と持続可能な利用に影響を及ぼすおそれのある国の
計画については、生物多様性の保全と持続可能な利用に関しては、国家戦略の
基本的な方向に沿ったものとなるものであり、このため、これらの計画と国家
戦略との相互の連携を図る。

第3節 戦略の進捗状況の点検及び戦略の見直し

 生物多様性条約関係省庁連絡会議は、国家戦略に基づく施策の円滑な推進を
図るため、毎年、その実施状況を点検し、その結果を公表する。点検結果は、
条約の規定に基づく締約国会議への報告に反映する。
 国家戦略の達成状況の評価については、生物多様性の評価手法の検討等を行
いつつ、環境基本計画の目標に係る指標の開発状況を踏まえて、検討する。
  5年後程度を目途とし、国民各界各層の意見を十分に聴取した上で、国家戦
略の見直しを行う。
−−−−−−−−−−−−−−−−end−−−−−−−−−−−−−−−−−