事業概要 図書内容 調査予測評価手法 参考文献 審査意見・見解 経過

福井市新ごみ処理施設整備事業

環境の保全の見地からの審査者の意見と事業者の見解

1 計画段階環境配慮書
2 環境影響評価方法書



1 計画段階環境配慮書

福井県知事の意見事業者の見解
 福井市新ごみ処理施設の事業実施想定区域には二次林が分布し、隣接して福井市クリーンセンター(以下「現施設」という。)および東山健康運動公園が存在するとともに、その西側には田園および住宅等市街地が広がっている。
 一方、本事業は、現施設が平成37年度までの稼働予定であることから、隣接地において処理量を見直した新たなごみ処理施設の整備を目指すものであり、環境にやさしい市民に親しまれる施設整備を基本方針の一つとしている。
 このため、計画段階環境配慮書(以下「配慮書」という。)で検討されている事項に加え、以下の事項を十分考慮し、事業計画がより環境に配慮されたものとなるよう検討するとともに、方法書以降の手続きにおいて環境影響評価を適切に行うことが重要である。
 
T.全般的事項
1 配慮書では事業計画で検討中とされている事項が多いことから、今後、事業計画の検討に当たっては、環境影響の回避・低減のため十分な配慮を加えるものとし、環境影響評価方法書(以下「方法書」という。)において、その検討経緯を明らかにすること。  配慮書において検討中としていた事項のうち、方法書では、対象事業実施区域を明らかにするとともに、配慮書において複数案として設定した建物配置及び煙突高さについての検討経緯並びに環境影響の回避・低減のための配慮の検討経緯を示しました。なお、煙突の高さについては、方法書段階では決定していませんが、準備書作成までに煙突高さを確定し、その条件に基づいて予測評価を行い、準備書にその結果を示す予定です。
 また、その他の事業計画のうち、検討中としていた処理方式及び環境保全目標についても、現在策定中の新ごみ処理施設整備基本計画の策定委員会において検討した結果とその経緯を方法書に記載しました。
2 環境配慮事項として選定された大気質および景観への影響は、煙突等施設の配置や高さ等構造に依存する。また、施設配置によって工事内容や土地改変の程度が異なることから、動植物等の環境要素への影響も含め多角的に評価する必要がある。このため、煙突等施設の配置や構造の具体化に当たっては環境影響を総合的に考慮し、可能な限り回避・低減させるよう努めること。  配置については、土地の安全性や景観等の観点から検討を行い、事業性や経済性とともに環境影響を総合的に考慮し、可能な限り回避・低減するよう配慮し、その内容を方法書に記載しました。
 また、煙突高さについては現施設の煙突高さや自主基準値等から再度検討を行いました。なお、煙突の高さについては、方法書段階では決定していませんが、準備書作成までに煙突高さを確定し、今後実施する予測・評価の結果を踏まえ、更なる環境影響の回避・低減に努めてまいります。
U.個別事項
1 大気質
 事業実施想定区域の周辺には、学校その他の環境の保全についての配慮が特に必要な施設や住居地域が存在する。
 このため、本ごみ処理施設の稼働に伴う大気質への影響が回避・低減されるよう、ごみ処理方式および排ガス処理等について最良の技術による環境対策設備を採用するとともに、施設の適切な維持管理を図ること。
 また、煙突の高さおよび配置等に関して、大気汚染物質の拡散状況、逆転層などの短期高濃度条件の影響について十分考慮した適切な環境保全措置を検討すること。
 ごみ処理方式及び排ガス処理等の検討にあたっては、今後、具体的な検討を行ってまいりますが、本施設の稼働に伴う大気質への影響ができる限り回避・低減されるよう現時点で最良の目標値を設定しました。また、これを達成できるよう、最良の技術による環境対策設備を採用するとともに、施設の適切な維持管理についても配慮してまいります。
 また、煙突の高さ及び配置等に関しては、今後の手続きにおいて、大気汚染物質の拡散状況、逆転層などの短期高濃度条件の影響について明らかにし、その結果も踏まえ十分考慮した適切な環境保全措置を検討してまいります。
2 景観
 本ごみ処理施設は、現施設の西側に位置し、周囲を林地で囲まれた現施設に比べ、周囲の住居等からより容易に視認されうる可能性がある。
 このため、住居等からの身近な景観への影響について考慮し、影響が回避・低減されるよう、建物および煙突の配置、構造および色彩ならびに敷地内の緑化などの環境保全措置を地域景観との調和に留意して検討すること。
 加えて、本事業に伴い現施設の西側の樹林を伐採する場合には、現施設の周辺の住居等からの視認についても留意し、適切な環境保全措置をとること。
 景観に関しては、景観資源や眺望点からの景観のほか、周囲の住居・田園等からの景観地点も設けることとし、周囲の樹林を伐採した場合について、本ごみ処理施設及び現クリーンセンターの視認状況など身近な景観への影響についても把握できるよう調査地点を設定しました。
 今後、準備書においてフォトモンタージュ等により具体的な景観予測を行うこととしており、その結果を踏まえ住居・田園等からの身近な景観への影響について回避・低減されるよう煙突の配置、構造及び色彩並びに敷地内の緑化施設の計画に関して、必要な環境保全措置を検討してまいります。
3 選定している環境配慮事項以外の環境要素
 配慮書では、環境配慮事項として選定していない施設の稼働に伴う騒音や悪臭、敷地の存在による動植物や生態系への影響、工事の実施に伴う水質等への影響などについても、方法書以降の手続において環境影響評価の対象とするとしているが、対象項目の選定および調査等の実施に当たっては、次の事項に留意すること。  
(1)今後具体化する施設の仕様等や工事方法などの事業計画に応じ、影響要因および環境要素を見直し、必要に応じ環境影響評価項目の追加等を行うこと。  施設の仕様等や工事方法などの事業計画を踏まえ、方法書において、配慮書で選定した大気質、景観のほか、騒音、振動、悪臭、水質、動物、植物、生態系、人と自然との触れ合いの活動の場、廃棄物等及び温室効果ガス等の項目の追加を行いました。
(2)事業実施想定区域は、現施設の隣接地であり、二次林が広がる地域ではあるが、動植物や生態系に係る調査等を専門家その他の環境影響に関する知見を有する者の助言を受け、適切な手法を用いて実施し、その影響を回避・低減する環境保全措置を十分に検討すること。  動植物や生態系に係る調査等を実施するにあたっては、地域に詳しい専門家等へのヒアリングを実施し、その結果も踏まえ調査、予測・評価の手法を検討しました。
 また、今後の方法書に基づく調査、予測・評価の結果も踏まえ、影響を回避・低減するための環境保全措置を検討してまいります。
(3)新ごみ処理施設の稼働に伴う廃棄物および温室効果ガスの排出について、適切にその予測および評価を行い、できる限りの排出量削減策を検討すること。  新ごみ処理施設の稼働に伴う廃棄物等及び温室効果ガス等を環境影響評価項目として選定し、その予測及び評価方法について記載しました。
 また、方法書に基づく調査、予測・評価の結果も踏まえ、影響を回避・低減するための環境保全措置を検討してまいります。
(4)環境影響評価手続中において、新ごみ処理施設稼働後の現施設建屋等の取扱が具体化した場合には、その環境影響の回避・低減についても考慮すること。  環境影響評価手続中において、新ごみ処理施設稼働後の現施設建屋等の取扱いが具体化した場合には、その環境影響の回避・低減についても考慮します。




2 環境影響評価方法書


福井県知事の意見
 本事業に係る環境影響評価方法書に対する環境の保全の見地からの意見については、次のとおりです。
1 環境影響評価の項目について
 環境影響評価手続き中において、より具体化した事業計画や現施設の解体等の関連する事業により新たな影響要因が明らかとなった場合、および環境影響に関する新たな事実が判明した場合には、環境影響評価の項目を見直すこと。
2 環境影響評価の調査、予測および評価の手法について
(1) 大気質、騒音、低周波音および悪臭について、地形や周辺住居等の分布を十分考慮し、調査地点や予測手法等を選定すること。
(2) 施設の稼働に伴う大気質および悪臭の予測に当たっては、施設の運転管理方法を踏まえた適切な排ガス等の条件を設定すること。
(3) 掘削等工事の実施に伴う水の濁りの調査に当たっては、降雨時の流量および濁りの推移を的確に把握できるよう時期や頻度等を設定すること。
(4) 動植物や生態系について、調査状況に応じた調査手法の見直し、調査結果を踏まえた予測、評価および環境保全措置の検討が適切に行われるよう必要に応じて専門家から助言を受けること。
(5) より具体化した事業計画を踏まえ、影響を受けるおそれがある動物の生態に応じた調査および予測手法となるよう必要に応じて調査等を見直すこと。
(6) 希少猛禽類など行動範囲が広域となる種については、調査範囲を方法書の範囲に限定することなく広く把握するよう努めること。
(7) 景観について、遠景域に存在する不特定多数の人々が訪れる眺望点からの景観への影響も考慮し、調査地点等を選定の上、工場棟位置、煙突等施設の配置、構造および色彩ならびに敷地内の緑化などの環境保全措置を検討し、予測および評価を行うこと。
(8) 工事の実施に伴う廃棄物等については、予測期間を工事期間全体とすること。
(9) 施設の稼働に伴う温室効果ガス等について、各種の電気・余熱利用等手法について情報収集を行い、利用可能な環境保全措置を検討し、予測等に反映すること。
3 環境影響評価準備書の作成等について
(1) 環境影響評価項目の選定について、影響要因の見直しなどにより追加した項目を含めその選定・非選定理由を記載すること。
(2) 調査および予測の地点および時期等については、その選定の妥当性が確認できるよう、予測の前提条件を明記するなど、より具体的に選定理由を記載すること。
(3) 現地調査結果の記載に当たっては、調査の手法とその結果が関連できるように整理すること。
 なお、希少な動植物種の生息または生育状況の記載に当たっては、当該動植物の生息・生育地、特に営巣地が特定されないようにするなど、保護の観点に十分配慮すること。
(4) 環境保全措置の検討に当たっては、環境影響の回避・低減を総合的に評価するものとし、環境保全措置に係る最新情報を収集の上、煙突高さや施設配置、排ガス処理施設等の事業計画に係る複数案の比較検討、実行可能なより良い技術が取り入れられているかどうかの検討等を通じて、講じようとする環境保全措置の妥当性を検証し、これらの検討の経緯を明らかにできるよう整理すること。
(5) 準備書は専門的な内容が多く、また、膨大な図書になる可能性があることから、作成に当たっては、図表や平易な用語を用いることなどにより、できる限りわかりやすい内容となるよう配慮すること。
(6) 住民等が準備書について十分に理解し意見が述べられるよう、その周知等に努めること。


事業概要 図書内容 調査予測評価手法 参考文献 審査意見・見解 経過



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