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(仮称)南越前・敦賀風力発電事業


1 方法書

福井県知事の意見
 (仮称)南越前・敦賀風力発電事業に係る事業実施区域周辺は、イヌワシおよびクマタカ等の希少猛禽類が生息する自然環境が豊かな地域であり、山中峠から木の芽峠にかけては、動植物の生物地理学的な境界線として重要な地域である。
 また、当該地域は、古くから交通の要衝であったことから、鉢伏山城跡など旧所・名跡が存在し、文化的・歴史的に重要な地域である。
 一方、風力発電事業の実施に伴う、騒音・低周波音、バードストライクおよび景観への影響については、同事業の実施事例が低経年であることから、十分な検証ができていないが、全国的に課題が報告されているところである。
 このような地域特性および事業特性を踏まえ、騒音・低周波音、動植物(特に鳥類)および景観への影響について、十分考慮する必要がある。
 このため、方法書に記載されている事項に加え、以下の事項に十分配慮し、環境影響評価を適切に行うことが重要である。
1.環境影響評価の項目について
(1) 切土工事により発生した土約2万m3を対象事業実施区域内において埋め立てることとしていることから、当該埋立地の造成等による影響および存在を影響要因として抽出し、環境影響評価を実施すること。
 なお、環境影響評価準備書(以下「準備書」という。)において、埋立地の場所および規模を明らかにすること。
2.環境影響評価の調査、予測および評価の手法について
(1) 工事用資材等の搬出入による窒素酸化物の予測地点については、大気質の拡散の特性を踏まえ、適切に選定すること。
(2) 建設機械の稼動による窒素酸化物および粉じん等に係る風況の調査地点については、地形の影響を考慮し、風力発電機を設置する尾根で把握すること。
(3) 窒素酸化物の評価については「大気汚染に係る環境基準」との整合性が図られているかどうかを評価することとしているが、現地調査の調査期間は通年ではないことから、調査結果の代表性の検討を行った上で予測・評価を行うこと。
 なお、その検討結果を準備書に記載すること。
(4) 施設の稼動による騒音および低周波音の調査、予測および評価に当たっては、国の「風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会」の検討内容、既存風力発電事業における事後調査結果等の最新の知見を収集するとともに、専門家その他の環境影響に関する知見を有する者(以下「専門家等」という。)の助言を受けて、適切な手法を選定すること。
(5) 水の濁りの調査および予測地点については、濁りの影響が河川に及ぶおそれがある場合には、その河川も含めること。
(6) 動植物および生態系の調査に当たっては、現地調査を基本とし、専門家等の助言を受けて、以下により適切に実施すること。
 @ 動物の重要な種および注目すべき生息地、植物の重要な種および重要な群落、地域を特徴づける生態系の選定に当たっては、文献等による調査および現地調査の結果を踏まえるとともに、その選定理由を明らかにすること。
 A 調査時期については、調査対象種の生態等を十分考慮すること。特に季節変化に伴い移動する鳥類については、2週間間隔で確認される生物種が変化するため、調査時期を考慮すること。
 B 希少猛禽類については、生息状況を網羅できる調査定点を設定するとともに、通年の調査を実施すること。特に対象事業実施区域が生息域となっている可能性が高いイヌワシおよびクマタカについては、「猛禽類保護の進め方(改訂版)(平成24年12月環境省自然環境局野生生物課)」に基づき、営巣地を特定するなど、行動圏、生活史を含む生態の調査を十分に行うこと。
 C 植生については、地形の改変による直接的な影響のみならず、改変に伴い、木の芽峠以南で著しく増加しているニホンジカの侵入による食害、造成地に侵入しやすい外来植物による競合や交雑の影響のおそれがあることから、事後調査において影響の程度を把握するため、事業実施前にこれらの種の生息および生育状況を把握すること。
(7) 鳥類の衝突に関する影響の予測および評価に当たっては、「鳥類等に関する風力発電施設立地適正化のための手引き(平成23年1月環境省自然環境局野生生物課)」に記載されている手法のみならず、既存風力発電事業における事後調査結果等の最新の知見を収集するとともに、専門家等の助言を受けて、適切な手法を選定すること。
(8) 景観の調査、予測および評価に当たっては、「国定・国立公園内における風力発電施設の審査に関する技術的ガイドライン(平成25年3月環境省)」を参照し、適切な手法を選定すること。
 特に、対象事業実施区域およびその周辺には、木ノ芽古道や南越前町指定史跡の木ノ芽峠城塞群など旧所・名跡が存在することから、これらも主要な景観資源として、環境影響評価を実施すること。
 なお、調査時期については、積雪、紅葉、落葉等の季節および日の出・日の入等の時間を含めて把握すること。
(9) 主要な人と自然との触れ合いの活動の場については、対象事業実施区域およびその周辺に越前加賀海岸国定公園、中部北陸自然歩道および今庄365スキー場等が存在することから、関係市町や地元住民から、広く情報を収集するとともに、必要に応じて現地調査を実施すること。
3.環境影響評価準備書の作成について
(1) 調査および予測の地点および時期等については、その選定の妥当性が確認できるよう、予測の前提条件を明記するなど、より具体的に選定理由を記載すること。
(2) 現地調査結果の記載に当たっては、調査の手法とその結果が関連できるように整理すること。
 なお、希少野生動植物種の生息または生育状況の記載に当たっては、営巣地を明らかにしないなど、保護の観点に十分配慮すること。
(3) 環境保全措置の検討に当たっては、環境保全措置についての複数案の比較検討、実行可能なより良い技術が取り入れられているかどうかの検討等を通じて、講じようとする環境保全措置の妥当性を検証し、これらの検討の経過を明らかにできるよう整理すること。
(4) 準備書は専門的な内容が多く、また、膨大な図書になる可能性があることから、作成に当たっては、図表や平易な用語を用いることなどにより、できる限りわかりやすい内容となるよう配慮すること。



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