事業概要 図書内容 調査予測評価手法 参考文献 審査意見・見解 経過

北陸新幹線(南越(仮称)・敦賀間)環境影響評価

1 方法書
2 準備書
3 評価書


1 方法書についての環境の保全の見地からの審査者の意見と事業者の見解

知事の意見事業者の見解
 北陸新幹線(南越(仮称)・敦賀間)に係る事業実施区域周辺は、自然豊かで風光明媚な山地が 多く、これを起源とする河川は、生活用水や農業用水および鮎漁などの内水面漁業に広く利用されている。
 また、鉢伏山から栃ノ木峠にかけては、動植物の生物地理学的な境界域として重要な地域である。
 さらに、計画されている南条、敦賀間の長大トンネルの出入口付近は、古くから交通の要衝として栄え、 狭あいな地形に在来線鉄道や高速自動車国道等が集中している。
 このため、環境影響評価の実施に当たっては、特に、トンネル工事およびその付帯工事に伴う動植物、 水環境への影響を、また、交通の集中に伴う騒音、振動による生活環境への影響を十分考慮する必要がある。
 これらのことから、方法書に記載している事項に加え、以下の事項について十分配慮し、環境影響評価に 適切に反映させることが重要である。 なお、環境影響評価の実施中に、環境への影響に関して新たな 事実が判明した場合等においては、必要に応じ選定項目および選定された手法を見直し、または、追加的に 調査、予測および評価を行う必要がある。
 環境影響評価の実施に当たっては、トンネル工事、 切土工又は既存の工作物の除去、工事施工ヤード及び工事用道路の設置、資材及び機械の運搬に用いる車両の運行、 建設機械の稼働等に伴い環境に影響を及ぼすと想定される環境要素に対し、調査、予測を行うとともに、環境への影響を 回避・低減させる措置を検討しました。
 また、事業者の実行可能な範囲で回避又は低減されているか否かを検討するとともに、国等の環境保全施策との整合性が 図られているかについて評価しました。
 更に、「予測の不確実性の程度」、「環境保全措置の効果の程度」を勘案し、必要に応じて事後調査計画を検討しました。
 なお、環境影響評価の手続きを進めていく際に、環境への影響に関して新たな事実が判明した場合等においては、必要に応じ 選定項目および選定された手法を見直し、または、追加的に調査、予測および評価を行っていくこととします。
1 環境影響評価の項目等について
(1) 工事の集中や地形の状況等によっては、建設機械や資材等の運搬車両から発生する窒素酸化物による 大気汚染が生ずるおそれがあるため、必要に応じ、その影響について対象とすること。 1)事業実施区域の位置、事業特性、大気質の状況等を十分に勘案し、二酸化窒素(窒素酸化物)等について 現地調査を実施しました。
 その調査結果によりますと、対象地域周辺は環境基準を達成しており、また、使用する工事機械等からの窒素酸化物の寄与は 小さいものと考えられることから、予測評価項目として選定しておりません。なお、調査結果については、 浮遊粒子状物質も含めて、資料編に示しております。
 さらに、事業実施段階において、工事用車両の計画的・効率的な運行や、運転者に対する交通安全教育等を行うことにより、 環境影響の回避又は低減のための配慮は行われるものと考えられます。
(2) 建設機械の稼働、資材等の運搬車両の運行および列車の走行に伴い発生する騒音、振動が、 重要な動物の生息に影響を及ぼすおそれがあるため、その影響についても対象とすること。
 なお、列車の走行については、光による影響についても対象とすること。
2)建設機械の稼働、資材等の運搬車両の運行及び列車の走行に伴い発生する騒音、振動について、 低騒音型・低振動型機械を用いることを前提に予測・評価を行いました。
 なお、列車の走行による光については、計画路線が重要な動物が生息する地域のほとんどを トンネルで通過するため、影響はないものと考えております。
(3) 切土工およびトンネルの工事については、地下水脈が分断され地下水位が変動することに よって、地表の植生や水資源等に影響を及ぼすおそれがあるため、その影響についても対象とすること。
 なお、この場合、地形や地盤の特性を十分踏まえて行うこと。
 また、トンネル工事に伴って斜坑、横坑、立坑を設置する場合にも、同様の影響について配慮すること。
3)トンネル工事に際しては、地下水位低下により地表の植生や水資源等に影響が認められる場合には、 代替水源の確保等を行うなど、水資源や地表の植生への環境影響の回避・低減に努めます。
(4) トンネル工事等により発生する土石等の処分地を設ける場合には、その設置に伴う水環境、 土壌、動植物および景観等への影響について十分配慮すること。 4)トンネル工事に伴い発生する土石等の処分地については、 水環境、土壌、動植物および景観等の環境要素についてその影響を極力抑えるよう十分配慮し、処分地の選定を行います。
(5) 工事施工ヤードおよび工事用道路の設置に伴い発生する濁水による河川等の水質ヘの影響に ついても十分配慮すること。
 また、バッチャープラントを設置する場合には、その排水についても同様に配慮すること。
5)工事施工ヤードおよび工事用道路の設置については、その影響を極力抑えるよう今後計画してまいります。
 また、本工事においてバッチヤープラントを設置する予定はありません。
(6) 発破作業を実施する場合には、当該作業に伴う騒音、振動による生活環境および重要な 動物への影響について対象とすること。 6)坑口付近の工事、特に土被りの小さい区間については、基本的には発破を使用しないよう考えていますが、 やむを得ず使用する場合は、周辺地域に及ぼす影響を極力抑制するよう、発破を行う時間帯の制限、 防音扉の設置等の適切な措置を講じてまいります。
(7) 建設工事に当たって、薬液注入工法を用いる場合には、薬液による水環境および土壌への 影響について対象とすること。 7)本工事においては、基本的には薬液注入工法を使用しないよう考えていますが、やむを得ず使用する場合は、 周辺地域に及ぼす影響を極力抑制するよう、「薬液注入工法による建設工事の施工に関する暫定指針について」(建設省)に基づき、適切に施工してまいります。
2 調査、予測および評価の手法について
(1) 既設の在来線鉄道、道路等が集中する地域および静穏を要する施設(学校、病院等) が近傍に存在 する地域においては、特に、騒音、振動の十分な現地調査を行い、列車の走行や建設機械の稼働等による 騒音、振動の影響について、定量的に予測、評価すること。 1)騒音・振動の現地調査地点は、環境保全上配慮を要する地域の状況、既存の騒音測定地点の位置、 鉄道・道路等の主要な交通網を勘案して、適切に選定しました。
 また、列車の走行や建設機械の稼動等による騒音、振動の影響については、定量的に予測・評価を行いました。
(2) 水質については、日野川水系、木の芽川等の漁業権の状況や農業用水の取水点および水道水 源の状況等を把握した上で調査地域を選定するとともに、定量的な予測、評価に努めること。 2)水質の調査地点は、事業実施区域下流の状況及び既存の水質測定地点の位置等を勘案し、 適切に選定して、予測・評価を行いました。
(3) 計画路線周辺に地下水を利用した水道水源や温泉源泉が存在することから、それらへの影響 を把握するため、河川流量や地下水の水位および地質についても調査すること。 3)文献その他の資料及び現地調査により、河川の流量、地下水位並びに地質構造等の把握に努めました。
(4) 文化財については、法令で指定されているもの以外に、地域住民等にとって文化的、歴史的 価値の高いものもあると考えられることから、関係機関や地域住民から広く情報を収集するとともに、必要 に応じて現地調査を実施すること。
 また、埋蔵文化財についても十分な調査を実施すること。
4)文化財については、幅広く情報を収集するとともに、必要に応じて現地調査を行いました。
 なお、埋蔵文化財については、事業の実施にあたり、教育委員会と協議を行い、その保全又は保存に努めます。
(5) 動植物および生態系の調査は、現地調査を基本とすること。
 また、重要な種、群落および注目すべき生息地の選定に当たっては、「植物版レッドリスト(平成9年 環境庁)」、「両生類及び爬虫類のレッドリスト(平成9年環境庁)」、「哺乳類及び鳥類のレッドリスト (平成10年環境庁)」および「植物群落レッドデ−タブック(1996年(財)日本自然保護協会)」も参考 とするとともに、現地調査を実施し、その結果をもとに適切に選定すること。
 なお、現地調査の時期については、調査対象種の生態等を十分考慮すること。
5)動植物及び生態系の調査は、文献その他の資料及び現地調査により情報収集を行いました。
 重要な種、群落及び注目すべき生息地の選定は、環境庁レッドリスト、その他の文献等を調査し、適切に選定しました。
 なお、現地調査の時期については、調査対象種の生態等を考慮し、効果的な時期を設定しました。
(6) 人と自然との触れ合いの活動の場については、文献調査に加えて、関係機関や地域住民から 広く情報を収集するとともに、必要に応じて現地調査を実施すること。
 また、計画路線周辺に「長距離自然歩道」や「越前戦国街道」が存在することから、これらについても 十分な調査を実施すること。
6)文献その他の資料及び現地調査により情報収集を行いました。
 また、現地調査にあたっては、関係機関や地域住民から広く情報を収集しました。
「長距離自然歩道」、「越前戦国街道」については、事業対象地域との位置関係を明示し、 十分な調査を行いました。
(7) 日野山周辺はすぐれた自然景観であるため、景観について、工事期間中も含めて調査、予測、 評価すること。 7)日野山周辺と事業対象物(構造物)との景観については、 主要な眺望点・眺望景観等を把握するとともに、北陸地方の季節特性を踏まえて予測対象時期を秋期とするなど、 適切に調査、予測及び評価を行いました。
 なお、工事期間中においても、出来る限り配慮します。
(8) 評価に当たっては、「福井県環境基本計画」および関係市町村の環境に関する計画・指針等 との整合を図ること。 8)「福井県環境基本計画」および関係市町村の環境に関する計画・指針等との整合を図り、評価しました。
3 その他
(1) 事業計画の検討に当たっては、騒音、振動等の低減に努めるとともに、動植物の生息・生育環境 および生態系の保全や生活、生産環境の分断等について十分配慮すること。 1)事業の実施による騒音、振動等の影響を可能な限り低減させるため、 工事の実施においては低騒音型・低振動型機械の導入等を講ずるとともに、 土地又は工作物の存在及び供用では防音壁の設置や、普通スラブ(防振用)構造の採用等を講ずることにより、 騒音、振動の低減に努めました。
 また、動植物の生息・生育環境及び生態系の保全と、生活、生産環境の分断等については、 改変部を最小化した構造の選定を講ずることにより、配慮しました。
(2) 傾斜地における樹木の伐採により、表土が雨水等で土壌侵食を受けやすくなり、伐採後の 植生回復が困難になる等のおそれがあるため、事業計画の検討に当たっては、このことに十分配慮すること。 2)雨水等による浸食防止等の効果や景観等から、可能な限り緑化を行うなどの適切な対策を講じてまいります。
(3) 環境影響評価準備書の作成に当たっては、関係機関等と十分協議するとともに、入手可能な 最新の文献その他の資料により把握した結果を記載するなど、地域特性が的確に把握できるようにすること。
 また、要約書の作成に当たっては、県民にわかりやすい内容となるよう配慮すること。
3)環境影響評価準備書の作成に当たっては、関係機関等との十分な協議の基で行いました。
 また、地域特性の把握にあたっては、最新の文献その他の資料を収集し、欠落・不備のないよう配慮しました。
 また、要約書は、地域住民にとって、分かりやすいものとなるよう努めました。


2 準備書についての環境の保全の見地からの審査者の意見と事業者の見解

知事の意見 事業者の見解
 北陸新幹線南越(仮称)・敦賀間は、総延長31.1kmのうち、約8割がトンネルで、残りの2割はできる限り住宅地を避けた路線計画となっており、この建設事業に伴う環境影響については、準備書において講じることとしている環境の保全のための措置を確実に実施することにより、おおむね低減が図られると評価できる。
 しかしながら、事業の実施に当たっては、環境影響評価法の趣旨に基づき、可能な限り環境への影響を回避・低減するよう努めることが重要である。
 特に、本事業実施区域周辺は、クマタカ、オオタカ等の希少猛禽類および多様な昆虫類が生息するとともに、多種の植物が生育する生物相の豊かな地域であり、その中で長期間にわたり建設工事が実施されることから、自然環境の保全に十分な配慮が必要である。
 また、トンネル工事に当たっては、排水が流入する河川でアユ等の漁が営まれていることから、水質の保全について適切な措置を講じるとともに、多量に発生する掘削土については、有効利用を図ることが必要である。
 さらに、新幹線路線周辺には、列車の走行、工事の実施に伴う騒音・振動の影響を受ける住宅等が存在することから、これらの影響の一層の低減を図る必要がある。
 これらのことから、以下の個別事項について、十分検討し、事業に反映することが必要である。
 なお、現段階で工事施工ヤードの具体的な位置・規模など一部事業計画が未定なものについては、環境影響の不確実な点があることから、事業計画が決まった段階において、改めて関係機関と協議の上、適切な措置を講じる必要がある。
事業に係る環境の保全について適正な配慮の実施に資することを目的として作成しております。
事業の実施に当たっては、本評価書に基づき、事業に係る環境への影響を可能な限り回避・低減に努めてまいります。
特にクマタカ・オオタカ等の希少猛禽類については、専門家の意見を聴取し、また、その他の自然環境についても、関係機関と協議の上、十分な配慮を講じてまいります。
トンネル工事に当たっては、雨水・排水路の適切な配置および汚濁水処理装置の適正配置を実施するとともに、現況の河川環境の維持に努め、河川その他の水環境を保全してまいります。また、掘削度については、適切に有効利用を図るように努めてまいります。
列車の走行、工事の実施に伴う騒音・振動等の影響については、住居、学校及び病院等の保全施設に配慮し、必要に応じて一層の低減を講じてまいります。
なお、事業計画の未定なものについては、環境影響の不確実な点があることから、事業計画が決まった段階において、改めて関係機関と協議の上、必要に応じて、適切な措置を講じてまいります。

1 騒音・振動
(1) 列車の走行に伴う騒音・振動により、生活環境保全上の支障が生じないよう、新幹線路線に近接して集落がある地域(武生市庄田町、平林町、中平吹町、南条町上平吹、脇本、敦賀市大蔵、余座等)では、防音壁の嵩上げ、軌道構造の変更、最新技術の導入など、万全の措置を講じること。 1)新幹線路線に近接する集落地域では、列車の走行に伴う騒音及び振動により生活環境保全上の支障が生じないよう、必要に応じて、防音壁の嵩上げ、軌道構造の変更、最新技術の導入を図るとともに、関係自治体との協力のもと、土地利用対策など、万全の措置を講じてまいりたい。

(2) 高架橋工事等に伴う建設機械の稼働による騒音・振動の影響を低減するため、当該工事箇所の近傍に住宅が存在する地域(武生市庄田町、平林町、中平吹町、南条町上平吹、脇本、敦賀市大蔵、余座等)では、準備書で示されている配慮事項を遵守するとともに、防音壁の設置等の適切な措置を講じること。 2)当該工事課所の近傍に住宅が存在する地域では、高架橋工事等に伴う建設機械の稼動による騒音及び振動の影響を低減するため、評価書で示されている工事の平準化や工事規模に合わせた工事機械の適正配置を行うとともに、低騒音型機械の導入や、工事機械の点検・整備による性能維持を図ってまいります。また、必要に応じて、防音壁等による適切な措置を講じてまいります。

(3) トンネル工事に伴う掘削土等の運搬車両の運行による騒音・振動の影響を低減するため、工事着手までに、車両の分散化など低減対策を考慮した運行計画を作成し、県および関係市町に報告すること。
   特に、学校・病院等静穏の保持を要する施設が存在する地域、交通量が少なく平素静穏な地域(南条町東谷、今庄町大桐、敦賀市葉原等)、また現況の道路交通騒音レベルの高い地域では、特段の配慮を行うこと。
 また、工事中においては、道路交通騒音・振動の調査を実施し、必要に応じ運行計画を見直すなど、適切な措置を講じること。
3)トンネル工事に伴う掘削土等の運搬車両の運行による騒音及び振動の影響を低減するため、工事着手までに、車両の分散化など低減対策を考慮した運行計画を作成し、県および関係市町に報告いたします。
運行計画を作成する際は、学校・病院等静穏の保持を要する施設が存在する地域および現況の道路交通騒音レベルの高い地域等の状況を勘案し、必要に応じて特段の配慮を行うよう留意します。
また、工事中においては、道路交通騒音および振動について調査を実施し、必要に応じて運行計画を見直すなど、関係機関と協議し、適切な措置を講じてまいります。

2 水環境
(1) トンネル工事の排水が流入する日野川水系の河川および木の芽川では、漁業権が設定されていることから、アユ等の水産資源に影響を生じないよう、汚濁水処理装置を設置するとともに、その適切な維持・管理を行うこと。
   また、トンネル工事に伴う湧水が地質由来の有害物質を含有している場合があるため、工事中、適宜、水質調査を行い、有害物質の有無を確認し、必要に応じて適切な措置を講じること。
1)日野川水系および木ノ芽川において漁業権が設定されていることから、トンネル工事の排水を河川に放流する際にはアユ等の水産資源に影響を生じないよう、工事規模に合わせた汚濁水処理装置を設置し、その点検・整備による性能維持管理を適切に行います。
また、トンネル工事に伴う湧水については、工事中、適宜、水質調査を行い、有害物質の有無を確認し、必要に応じて関係機関と協議し適切な措置を講じてまいります。

(2) 新幹線路線周辺には、生活用水として地下水や湧水を利用している地域が存在していることから、トンネル工事および切土工事の実施に当たっては、これらの利水に極力影響を生じないよう、適切な工法を採用すること。
   また、事後調査として実施する地下水の観測に当たっては、水位に加え、濁りおよびpH等の水質についても、適宜、実施すること。
2)トンネル工事および切土工事の実施に当たっては、生活用水の利用に極力影響を生じないよう、適切な工法を採用します。
また、事後調査として実施する地下水の観測に当たっては、濁りおよびpH等の水質についても、適宜、実施します。

(3) 日野川橋りょうの下流約2kmには、伏流水を水源とする上水道浄水場および工業用水井戸が存在していることから、橋りょう工事に当たっては、利水に影響が生じないよう、十分な濁水対策を講じること。
 特に、渇水期など河川流量が少ない時期においては、万全の措置を講じること。
3)日野川橋りょうの工事に当たっては、上水道および工業用水への影響が生じないよう、十分な濁水対策を講じてまいります。
なお、渇水期などの河川流量が少ない時期においては、万全の措置を講じてまいります。

3 地盤沈下
 地下水による消雪方法は、地盤沈下を生じさせるおそれがあるため、閉床ゲタ式貯雪型の高架橋を採用するなど、地下水を用いない降雪対策を講じること。 1)当該事業計画では、地盤沈下を生じさせないよう、閉床ゲタ式貯雪型の高架橋を基本とします。

4 動植物・生態系
(1) 希少猛禽類のクマタカおよびオオタカについては、「猛禽類保護の進め方(環境庁野生生物課)」に基づき、行動圏を十分把握・分析し、保護対策を検討すること。なお、営巣木調査に当たっては、専門家の意見を聴きながら詳細に実施し、必要に応じて工事施工ヤードおよび工事用道路の位置、工法等を見直すこと。その際、夜間工事に伴う光の影響についても十分配慮すること。
 また、上記の検討および調査の結果については、適宜、県に報告すること。
1)希少猛禽類のクマタカ及びオオタカ等については、「猛禽類保護の進め方(環境庁野生生物課)」に基づき行動圏を把握・分析し、保護対策を検討しております。
本調査においてクマタカ及びオオタカ等の希少猛禽類の営巣木が確認されていませんが、行動圏の把握・分析等を考慮すると、近隣に営巣木がある可能性も否定できません。そのため、専門家の意見を聴きながら、工事実施前に営巣木調査を実施するとともに、必要に応じて、工法、工事の実施時期等を見直しするなど、適切な措置を講じてまいります。また、夜間工事に伴う光の影響についても配慮してまいります。
また、上記の検討及び調査の結果については、適宜、県に報告します。

(2) 工事施工ヤードの設置が予定されている今庄町大桐、敦賀市樫曲等の地域では、水域に重要な動植物の生息・生育が確認されていることから、地形の改変による直接的な影響に加えて、工事施工ヤードからの排水等の間接的な影響についても、予測・評価を行うこと。 2)動物及び植物については、工事施工ヤードからの排水等による影響を追加して予測・評価しております。
工事施工ヤードからの排水等による動植物への環境影響は、汚濁水処理装置による適切な措置を講じ、現況の生息・生育環境を維持するよう努めます。また、必要に応じて排水路の設置を行うため、影響を小さいものと考えております。

(3) 現地調査で確認されている動植物のうち、「福井県のすぐれた自然1999  動物編・植生編」に記載があるものについては、重要な種、注目すべき生息地、重要な群落として位置付け、予測・評価を行うこと。 3)動物及び植物については、重要な種及び群落の選定基準に「福井県のすぐれた自然 動物偏・植物偏」(平成11年 福井県)、「改訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物 −レッドデータ・ブック−爬虫類・両生類、維管束植物」(平成12年 環境庁)、「レッドリスト 昆虫類、甲殻類等、陸産貝類、クモ形類・多足類等」(平成12年 環境庁)を加え、予測・評価しております。

(4) 評価時点から工事着手までに相当期間が経過した場合、植生の遷移、動物の生息状況の変化等の可能性があるため、工事着手前に、適宜、調査を実施し、必要に応じて適切な措置を講じること。 4)評価時点から工事着手までに相当期間が経過し、植生の遷移、動物の生息状況に、変化等の可能性が懸念された場合には、工事着手前に、適宜、調査を実施し、必要に応じて適切な措置を講じます。

5 景観
 準備書において景観の予測・評価が行われていない主要な眺望点(村国山、日野山、天筒山等)、および新幹線路線が通過する集落(武生市中平吹町、敦賀市余座)で住民が日常目にする眺望について、予測・評価を行うこと。 1)景観については、主要な眺望景観として現地調査を実施した武生市、南条町付近の村国山や日野山及び敦賀市付近のトンネル温泉、天筒山、敦賀インター出口を予測対象の眺望店として追加し、フォトモンタージュ法により予測・評価しております。
なお、住民が日常目にする眺望については、現段階で詳細な構造物形式等が未定であることから、近景での視覚的な予測・評価は困難であると考えております。今後、事業計画の熟度を高めていく過程で、周辺景観と調和及び融和を図った橋梁形式等を検討するなど、近景からの視点を含めた景観配慮の設計を行ってまいります。

6 廃棄物等
 掘削土、伐採木等の建設工事に伴う副産物の処分については、工事着手までに、関係機関と協議の上、有効利用を基本とした処理計画を作成し、県および関係市町に報告すること。
 また、排水の水質調査において有害物質が検出された場合、掘削土の溶出試験を実施し、適正に処分すること。
 なお、この処理計画において、仮置場および処分地を設置する場合には、必要に応じて水環境、動植物等への影響およびその保全対策について検討を行い、県に報告すること。
1)建設工事に伴う副産物の処分については、工事着手までに、関係機関と協議の上、有効利用を基本とした処理計画を作成し、県及び関係市町に報告します。
また、排水の水質調査において、有害物質が検出された場合には、掘削土の溶出試験を実施し、適正に処分します。
仮置場及び処分地の設置に当たっては、必要に応じて水環境、動植物等への影響及びその保全対策について検討を行い、県に報告いたします。

7 その他
 事業の実施に当たっては、環境への影響の一層の低減を図る観点から、環境負荷の小さい最新の工法および技術を採用すること。
 また、工事中または供用後において環境に影響を及ぼす新たな事実が判明した場合には、県および関係市町に報告するとともに、適切な措置を講じること。
1)随時、最新技術の情報収集に努め、本事業に関して有益な最新工法・技術が実用化されたものについては、事業実施段階で、必要時応じて採用を検討してまいります。
また、事後調査等より環境に影響を及ぼす新たな事実が判明した場合には、速やかに関係機関に報告し、適切な措置を講じます。


3 評価書についての環境の保全の見地からの審査者の意見および事業者の対応

環境大臣の意見
1.騒音・振動関係
(1) 列車走行に伴う騒音について、環境基準の類型指定後の詳細設計に際しては 沿線の状況を踏まえた予測評価及び必要な対策の検討を行い、その上で、音源対策を基本として 必要な対策を採用し、環境基準の達成を図ること。 なお、土地利用対策を含む総合的な対策の検討及び実施に当っては関係機関との十分な連携を図ること。 さらに、その検討結果を適切に公表すること。
(2) (1)の予測に際しては、住民や環境保全上配慮を要する施設であって中高層の ものについては高さ方向の騒音影響の検討も実施すること。
(3) 今後、環境影響評価の前提となった車両、走行条件等に変更があり、騒音及び振動が 増加するおそれがある場合には、その影響を改めて予測・評価し、必要な対策を講じること。 また、その検討結果を適切に公表すること。
(4) 工事用車両の運行及び建設機械の稼働に伴う騒音・振動、供用後における列車の 走行に伴う騒音・振動等沿線環境に係る監視を関係機関と連携しつつ適切に実施し、必要な対策を講じること。
(5) (1)〜(4)の措置を講じる旨を評価書に記載すること。
2.自然関係
(1) 計画路線周辺は自然豊かな地域であるとともに希少な野生動植物が確認されていることから、 計画が具体的に確定し詳細な構造及び施工計画を検討するに当たっては、希少な動植物について、 専門家等の意見を踏まえ、必要とされる調査を実施し、工事実施時及び供用後に分けて環境影響の予測・評価を行い、 その結果を公表するとともに、生息・生育環境に対する影響が最小限になるよう適切な保全対策を講じること。 また、その旨を評価書に記載すること。
(2) 事業地近傍において、クマタカ等猛禽類の繁殖の可能性があることから、 事業の実施に当たっては、猛禽類に詳しい専門家等の指導・助言を得ながら、生息状況の事後調査を行い、 繁殖活動等に支障を来すおそれがある場合には、工事工程等への十分な配慮、営巣地周辺への接近の極力回避等の 保全措置を適切に行うこと。また、非繁殖期についても、工事による生息への支障が生じないように 工法を検討すること。また、その旨を評価書に記載すること。
(3) 生態系への影響の指標となる注目種を選定した考え方と予測・評価の関連性が 不明確であるなど生態系の環境影響評価手法が整理されておらず、注目種により指標された生態系の予測の 不確実性が高いと考えられることから、工事着手前に生態系に係る地域、類型毎の事後調査を実施すること。 この場合、専門家等の意見を聞いて調査計画を立案した上で、適切に調査を実施し、その結果を公表すること。 なお、事後調査により、生態系に影響を及ぼす可能性がある場合には、専門家等の意見を聞いて適切な 環境保全措置を講じること。また、その旨を評価書に記載すること。
(4) 工事中に新たに希少な野生動植物が確認された場合は、専門家等から意見の聴取を行い、 これらの生息・生育環境に対する影響が最小限になるよう措置を講じること。 また、その旨を評価書に記載すること。
(5) 工事用道路及び工事施工ヤードなどの仮設設備のうち、工事完了後に供用の見込みの ないものについては原状回復を回ること。 また、その際、植栽に用いる植物種及び工法などについては、必要に応じて専門家等の意見を踏まえ、 周辺の植生状況等環境にも配慮して適切に実施すること。また、その旨を評価書に記載すること。
(6) 列車の走行が計画路線周辺の動物及び生態系に及ぼす影響について、 専門家等からの指導を得た上で供用前後にモニタリングを実施し、その影響の程度の把握に努めるとともに、 その結果を公表すること。また、影響を及ぼす可能性がある場合には、専門家等の意見を踏まえ、 適切な保全措置について検討すること。また、その旨を評価書に記載すること。


国 土 交 通 大 臣 の 意 見 事 業 者 の 対 応
1.騒音・振動関係
(1)列車走行に伴う騒音について、環境基準の類型指定後の詳細設計に際しては沿線の状況を踏まえた予測詳細及び必要な対策の検討を行い、その上で、音源対策を基本として必要な対策を採用し、環境基準の達成を図ること。なお、土地利用対策を含む総合的な対策の検討及び実施に当たっては関係機関との十分な連携を図ること。さらに、その検討結果を適切に公表すること。 (1)列車走行に伴う騒音について、環境基準の類型指定後の詳細設計に際しては沿線の状況を緒まえた予測評価及び必要な対策の検討を行い、その上で、音源対策を基本とした必要な対策を採用し、環境基準の達成を図るよう努めます。また、土地利用対策を含む総合的な対策の検討及び実施に当たっては関係機関との十分な連携を図り、その検討結果を関係機関と協議の上、適切に公表します。
(2)(1)の予測に際しては、住居や環境保全上配慮を要する施設であって中高層のものについては高さ方向の騒音影響の検討も実施すること。 (2)(1)の予測に際しては、住居や環境保全上配慮を要する施設であって中高層のものについては、現在、予測手法が存在しませんが、今後、供用開始までにその予測手法の確立に努めるとともに、高さ方向の騒音影響の検討も実施いたします。
(3)今後、環境影響評価の前提となった車両、走行条件等に変更があり、騒音及び振動が増加するおそれがある場合には、その影響を改めて予測・評価し、必要な対策を講じること。また、その検討結果を適切に公表すること。 (3)今後、環境影響評価の前提となった車両、走行条件等に変更があり、騒音及び振動が増加するおそれがある場合には、その影響を改めて予測・評価し、必要な対策を講じます。また、その検討結果を関係機関と協議の上、適切に公表します。
(4)工事用事両の運行及び建設機械の稼働に伴う騒音・振動、供用後における列車の走行に伴う騒音・振動等沿線環境に係る監視を関係機関と連携しつつ適切に実施し、必要な対策を講じること。 (4)工事用車両の運行及び建設機械の稼働に伴う騒音・振動、供用後における列車の走行に伴う騒音・振動等沿線環境に係る監視を関係機関と連携しつつ適切に実施し、必要な対策を講じます。
(5)(1)〜(4)の措置を講じる旨を評価書に記載すること。 (5)(1)〜(4)の措置を講じる旨を、(1)については評価書p.187に、(2)については評価書p.187に、(3)については評価書P.187,P.205に、(4)については評価書P.186,P.187,P.204,P.205,P.206にそれぞれ記載しました。
2.自然関係
(1)計画路線周辺は自然環境豊かな地域であるとともに希少な野生動植物が確認されていることから、計画が具体的に確定し詳細な構造及び施工計画を検討するに当たっては、希少な動植物について、専門家等の意見を踏まえ、必要とされる調査を実施し、工事実施時及び供用後に分けて環境影響の予測・評価を行い、その結果を公表するとともに、生息・生育環境に対する影響が最小限になるよう適切な保全対策を講じること。また、その旨を評価書に記載すること。 (1)計画路線周辺は自然環境豊かな地域であるとともに希少な野生動植物が確認されていることから、計画が具体的に確定し詳細な構造及び施工計画を検討するに当たっては、希少な動植物について、専門家等の意見を踏まえ、必要とされる調査を実施し、工事実施時及び供用後に分けて環境影響の予測・評価を行い、その結果を公表するとともに、生息・生育環境に対する影響が最小限になるよう適切な保全対策を講じてまいります。
また、その旨については、評価書p.372,P.380,P.394,P.396に記載しました。
(2)事業地近傍において、クマタカ等猛禽頬の繁殖の可能性があることから、事業の実施に当たっては、猛禽顆に詳しい専門家等の指導・助言を得ながら、生息状況の事後調査を行い、繁殖活動等に支障を来すおそれがある場合には、工事工程等への十分な配慮、営巣地周辺への接近の極力回避等の保全指置を適切に行うこと。また、非繁殖期についても、工事による生息への支障が生じないように工法を検討すること。また、その旨を評価書に記載すること。 (2)事業地近傍において、クマタカ等猛禽類の繁殖の可能性があることから、事業の実施に当たっては、猛禽類に詳しい専門家等の指導・助言を得ながら、生息状況の事後調査を行い、繁殖活動等に支障を来すおそれがある場合には、工事工程等への十分な配慮、営巣地周辺への接近の極力回避等の保全措置を適切に行います。また、非繁殖期についても、工事による生息への支障が生じないように工法を検討してまいります。
また、その旨については評価書p.372に記載しました。
(3)生態系への影響の指標となる注目種を選定した考え方と予測・評価の関連性が不明確であるなど生態系の環境影響評価手法が整理されておらず、注目種により指標された生態系の予測の不確実性が高いと考えられることから、工事着手前に生態系に係る地域、類型毎の事後調査を実施すること。この場合、専門家等の意見を聞いて調査計画を立案した上で、適切に調査を実施し、その結果を公表すること。なお、事後調査により、生態系に影響を及ばす可能性がある場合には、専門家等の意見を聞いて適切な環境保全措置を講じること。また、その旨を評価書に記載すること。 (3)今後、生態系全体を解析する手法に開しては、学術的知見の動向を肥撞の上で検討を行い、工事着手前に生態系に係る地域、類型毎に事後調査を実施します。その際、専門家等の意見を聞いて調査計画を立案した上で、適切に調査を実施し、その結果を企表します。なお、事後調査により、生態系に影響を及ばす可能性がある場合には、専門家等の意見を聞いて適切な環境保全措置を講じます。
また、その旨については評価書p.447に記載しました。
(4)工事中に新たに希少な野生動植物が確認された場合は、専門家等から意見の聴取を行い、これらの生息・生育環境に対する影響が最小限になるよう措置を講じること。また、その旨を評価書に記載すること。 (4)工事中に新たに希少な野生動植物が確認された場合は、専門家等から意見の聴取を行い、これらの生息・生育環境に対する影響が最小限になるよう措置を講じます。
またその旨については評価書p.372,P.394に記載しました。
(5)工事用道路及び工事施工ヤードなどの仮設設備のうち、工事完了後に供用の見込みのないものについては原状回復を図ること。また、その際、植栽に用いる植物種及び工法などについては、必要に応じて専門家等の意見を措まえ、周辺の植生状況等環境にも配慮して適切に実施すること。また、その旨を評価書に記載すること。 (5)工事用道路及び工事施工ヤードなどの仮設設備のうち、工事完了後に供用の見込みのないものについては原状回復を図ります。また、その際、植栽に用いる植物種及び工法などについては、必要に応じて専門家等の意見を踏まえ、周辺の植生状況等環境にも配慮して適切に実施します。
また、その旨については評価書 p.394に記載しました。
(6)列車の走行が計画路線周辺の動物及び生態系に及ばす影響について、専門家等からの指導を得た上で供用前後にモニタリングを実施し、その影響の程度の把握に努めるとともに、その結果を公表すること。また、影響を及ぽす可能性がある場合には、専門家等の意見を踏まえ、適切な保全措置について検討すること。また、その旨を評価書に記載すること。 (6)列車の走行が計画路線周辺の動物及び生態系に及ばす影響については、現在の知見では影響の程度を把握することが困難な状況です。したがって、今後、専門家等からの指導を得た上で供用前後にモニタリングを実施し、その影響の程度の把握に努めるとともに、その結果を関係機関と協議のうえ適切な時期に公表します。また、影響を及ぽす可能性がある場合には、専門家等の意見を措まえ、適切な保全措置について検討します。また、その旨については評価書p.456に記載しました。


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