事業概要 図書内容 調査予測評価内容 参考文献 審査意見・見解 経過

北陸新幹線環境影響評価

環境の保全の見地からの審査者の意見と事業者の見解


知事の意見 事業者の見解
 新幹線鉄道は大量高速輸送手段として大きな役割を果たしてきたが、一方では、 東海道新幹線の一部沿線地域などにおいて騒音、振動などの生活環境上の問題をも発生させてきた。
 本県は水や緑などの豊かな自然に恵まれた比較的静穏な地域である。路線計画によれば、ルートはその 大部分を九頭竜川をはじめとする大小の河川が運んだ堆積物よりなる低平な平地を通過することとなって いる。
 これらの平野部においては、その所々に比較的軟弱な厚い堆積層を有する地域が存在するとともに、 わずかな地形の起伏を利用した農業用水路網が整備され、主として水田としての土地利用が図られている。
 北陸新幹線の建設にあたってはこうした本県の地域環境の特性を踏まえて、適切な対策を講ずることが 重要である。
 とりわけ、構造物等の具体的設計にあたっては地域分断や騒音、振動、日照阻害など沿線住民が直面する 諸問題をはじめ、土地利用の実態等を総合的に勘案し、将来にわたって本県の良好な環境を保全するよう 十分な配慮が必要である。
 また、北陸新幹線が本格着工となるまでの間においては、環境保全対策上必要な技術開発に努める とともに、開業後においても沿線地域住民の生活環境への影響等を把握して、好ましくない影響が 認められた場合には、十分な対策および補償等を行うことが必要である。
 以上の基本的な事項をもとに、以下のことを意見として申し述べる。
T 生活環境の保全対策
1 騒音防止対策
 路線計画によればルートの大部分は比較的住環境の良好な地域を通過することとなっているが、元来、 静穏なこれらの地域に居住する住民にとっては、騒音による心理的影響を大きく受けることが考えられる。
 また、感覚公害としての騒音問題の特性を考慮すれば、これらの心理面での影響をあらかじめ十分配慮 することが重要であると考えられる。
 このため、開業時に直ちに「新幹線鉄道騒音に係る環境基準について」(昭和50年7月29日環境庁 告示第46号)に定める環境基準を達成することはもとより、沿線地域の生活環境の保全を図るため、 以下の諸対策を総合的に講ずる必要がある。
T 生活環境の保全対策
1.騒音防止対策
(1) 騒音防止を図るうえでは、音源対策が基本であり、音源において80ホン以下 を達成することはもとより、東北新幹線や上越新幹線などでの技術的知見を踏まえ、高架橋等の構造物を 堅固にするほか、防音壁等の技術開発に努めるとともに、設計段階において、細心の配慮を払うこと。 (1) 騒音については音源対策、土地利用対策及び障害防止対策等の総合的な施策により、環境保全 目標を満足するよう努めたい。
 音源対策については、今後とも技術開発を推進し、成果の得られたものは逐次導入を図るよう努めたい。
 土地利用対策については、沿線の地方公共団体に、これを積極的に講ずるよう要請してきたところで あるが、生活環境の保全を図るため有効であるので、特段の配慮をお願いしたい。
(2) 着工前において必要に応じ、現況の補完調査を実施すること。
また、試運転段階において、沿線地域の特性を勘案したうえで騒音について適正かつ詳細な調査を行い、 防止対策の見直しを検討すること。
(2) 沿線地域の騒音の現況を把握するための調査は、今後とも必要に応じて継続したい。
 また、試運転段階においても騒音測定を適宜実施し、騒音レベルの確認を行い、環境保全目標が満足 できないものについては所要の対策を講ずる。
(3) 学校、保育所、病院、社会福祉施設その他特に静穏の保持を要する施設の存在 する地域および主として住居の用に供する地域においては、騒音のより一層の低減を図るため特段の配慮を すること。 (3) 学校、病院等特に静穏の保持を要する施設については、路線選定上可能な限り配慮しているが、 音源対策、土地利用対策及び障害防止対策等の総合的な施策により、環境保全目標を満足するよう努めたい。
(4) トンネル出口における空気圧音、いわゆる「ドン音」については、トンネル出口が 集落の近くに位置していることが多く、適切な緩衝対策を実施し、その発生防止に万全を期すこと。特に、福井市二上町、鯖江市吉谷町、同中野町、同下新庄町においては、トンネル出口に近接して住居が存在することから、その対策にあたっては特段の配慮をすること。 (4) 坑口付近における空気圧音(ドン音)の発生が予想されるトンネルについては、所要の対策を 講ずる。
(5) 河川の架橋両端部について、十分な音源対策を実施すること。 (5) 橋りょうの構造形式に配慮する等の音源対策及び土地利用対策を含む総合的な施策により、 環境保全目標を満足するよう努めたい。
(6) 上記の諸対策を講じてもなお騒音による影響が生ずる地域にあっては、住宅等 に対し防音工事を実施するなど障害の防止に万全を期すこと。
 障害防止対策工事の実施にあたっては、関係住民に具体的工事方法等を誠意を持って説明し、地元の理解 と協力を得ること。
 なお、障害防止対策はあくまでも暫定措置であることから、音源対策について引き続き調査、研究を行う こと。
(6) 音源対策及び土地利用対策等の具体的な施策を講じた後も、なお環境保全目標を満足することが 困難な地域については、関係住民の十分な理解と協力を得て、家屋防音工等の障害防止対策を講ずる。
 なお、音源対策については、今後とも技術の開発に努めたい。
2 振動防止対策
 振動防止対策については、開業時に直ちに「整備五新幹線に関する環境影響評価指針」(昭和54年1月 23日鉄施第107号)に定める環境保全目標の70デシベル以下を達成することはもとより、沿線地域の 生活環境の保全を図るため、以下の諸対策を総合的に講ずる必要がある。
2.振動防止対策
(1) 振動は騒音にもまして、発生源対策が重要である。
 構造物の設計に際しては、支持基盤等について十分確認するため、あらかじめ詳細なボーリング調査を 行い、地盤構造に適したものとすること。
 また、東北新幹線や上越新幹線などでの技術的知見を踏まえ、高架橋等の構造物を堅固にするほか、 防振技術の開発に努めるとともに、設計段階において、細心の配慮を払うこと。
(1) 構造物の設計・施工にあたって地質の条件等を配慮することにより、環境保全目標を満足し うるものと考えている。
 今後とも技術開発を推進し、成果の得られたものは逐次導入を図るよう努めたい。
 また、騒音対策と連携した土地利用対策を行うことが振動対策上も有効であるので、特段の配慮をお願い したい。
(2) 着工前において必要に応じ、現況の補完調査を実施すること。
また、試運転段階において、沿線地域の特性を勘案したうえで振動について適正かつ詳細な調査を行い、 必要に応じ、防止対策の見直しを検討すること。
(2) 沿線地域の振動の現況を把握するための調査は、今後とも必要に応じて継続したい。
 また、試運転段階においても振動測定を適宜実施し、振動レベルの確認を行い、万一環境保全目標を満足 できないものについては所要の対策を講ずる。
(3) 学校、保育所、病院、社会福祉施設その他特に静穏の保持を要する施設の存在 する地域においては、振動のより一層の低減を図るため特段の配慮をすること。 (3) 学校、病院等特に静穏の保持を要する施設については、路線選定上可能な限り配慮しており、 また、地質の条件から判断して、問題はないものと考えている。
(4) 振動の影響を受けやすい事業場等について、その実情を把握し、適切な対策を 講ずること。 (4) 路線に近接して特殊な事業場等が存在する場合は、その実情を把握し、関係者と協議したい。
(5) 上記の諸対策を講じてもなお振動による影響が生ずる地域にあっては、住宅等 に対し防振工事を実施するなど障害の防止に万全を期すこと。
 障害防止対策工事の実施にあたっては、関係住民に具体的工事方法等を誠意を持って説明し、地元の理解 と協力を得ること。
(5) 振動については、地質に適合した構造物の設計及び土地利用対策等により環境保全目標を満足で きるものと考えているが、万一環境保全目標を満足できない場合は、関係者と協議のうえ、家屋防振工等の 障害防止対策を講ずる。
3 水質汚濁防止、地盤沈下および水資源対策
(1) トンネルからの排水については、あらかじめ水量および水質を測定し、その排水が公共用水域に 及ぼす影響を調査するとともに、その放流先等について県、関係市町および地元関係者と十分協議すること。
3.水質汚濁防止、地盤沈下及び水資源対策
(1) トンネルからの排水については、必要に応じて水量及び水質の調査を行い、適切な対策を講ずる とともに、その放流先等については、詳細な計画が決定した時点で関係機関及び地元関係者と協議する。
(2) 雨水および融雪水の排出にあたっては、その放流先等について地元関係者と 十分協議すること。 (2) 新幹線施設からの排水等の放流先については、詳細な計画が決定した時点で関係機関及び地元 関係者と協議する。
(3) 路線は低平で地盤の比較的軟弱な地域を一部通過するため、構造物の設計、 施工にあたっては地盤沈下等による農業用水等の利水障害および家屋等に対する障害が生じないように 万全の措置を講ずること。 (3) 構造物の設計、施工にあたっては、地盤条件を考慮し、周辺に影響を与えないよう配慮する。
(4) 福井市南部地域(足羽川以南)においては、昭和41年から昭和49年にかけて、 地盤沈下が認められた。
 このため、福井県では昭和50年10月に「福井県地盤沈下対策要綱」を制定し、福井市南部地域約15 平方キロメートルを対象地域として、地下水の新規採取の抑制や水利用の節水合理化等を進めてきた。
 その結果、福井市南部地域における地下水位は年々上昇傾向を示し、地盤沈下は昭和52年以降沈静化 している。
 したがって、特に福井市南部地域においては、地下水の採取を避けるよう設計段階で十分な配慮をする こと。
(4) 県内の新幹線施設で、地下水を大量に採取する計画はないが、地下水を採取する必要が生じた 場合は、関係機関と協議し適切に対処する。
(5) 金津町柿原トンネルの掘削は更新世(未固結)の細呂木層と芦原砂層 (主に帯水層)との境界面にほぼ沿って進められる予定であることから、掘削に伴う自由面地下水の分断、 流去が予想される。
 また、福井トンネル付近においては、この区間の地質は透水性が小さいものの地下水位が地表面下3〜 12mと高いことから、トンネルの設置により、地下水位が低下すると予想される。
 したがって、特にこれらの地域においては、工事着手前に各種の地下水調査を実施し、施工にあたり 適切な対策を講ずること。
 沿線地域において利水障害が発生した場合には、早急に原因を究明するとともに所要の対策、補償を 講ずること。
(5) 水資源に与える影響については、水利用状況等の調査を今後とも必要に応じて継続し、施工 法等についても十分検討したい。
 なお、工事に起困して水枯渇等の発生することが明らかになった場合は、「公共事業に係る工事の施行 に起因する水枯渇等により生ずる損害等に係る事務処理について」(昭和59年9月19日  中央用地対策連絡協議会)に基づき対処する。
4 日照阻害防止対策
(1) 本県は太平洋側地域に比べ特に冬期の日照時間が少ないことを考慮し、日照阻害による住宅への影響 を極力少なくするよう配慮すること。
 日照阻害を受ける住宅については、「公共施設の設置に起因する日陰により生ずる損害等に係る費用負担 に関する申し合わせ」(昭和51年3月3日、中央用地対策連絡協議会)に基づき、工事実施計画の認可後速やかに、阻害の範囲および日陰時間を算出し、その結果および補償の方法等について関係住民に説明し、理解を得たうえで、十分な措置を講ずること。
4.日照阻害防止対策
(1) 路線選定にあたっては、日照阻害による影響が極力少なくなるよう配慮している。
 日照阻害を受ける住宅の居住者に対しては、十分な理解と協力を得て、「公共施設の設置に起因する日陰 により生ずる損害等に係る費用負担に関する申し合わせ」(昭和51年3月3日 中央用地対策連絡協議会) に基づき対処する。
(2) 県内路線の約6割は農用地域内を通過することを考慮し、日照阻害による 農作物への影響を極力少なくするよう配慮すること。
 日照阻害による農作物の生育不良、病害虫の発生等の実態について、県、関係市町および地元関係者と 協議のうえ調査を実施するとともに、被害の補償方法等について、上記関係者と十分協議すること。
(2) 日照阻害による農作物への影響のうち、稲作については、既設新幹線の例に準じて対処したい。
 稲作以外の農作物については、明らかな影響があらわれた場合は関係者と協議したい。
5 テレビジョン電波障害防止対策
(1) 構造物による電波障害については工事完了後、また、列車走行による電波障害については試運転開始 時に、日本放送協会など専門機関の助言と協力を得て、速やかにテレビジョン受信品位状況調査を行い、その結果を関係住民に説明すること。
 なお、受信品位の判定にあたっては、関係住民の十分な理解を得ること。
5.テレビジョン等電波障害防止対策
(1) 工事完了後における機造物及び列車走行によるテレビジョン電波受信状況調査の実施にあたっては、 専門的知識を有する日本放送協会等の技術的な協力を得ることとし、また、テレビジョン電波の受信品位の 判定にあたっても、同機関の協力により住民の理解を得るよう努める。
(2) テレビジョン電波障害により生ずる損害については、「公共施設の設置に起因 するテレビジョン電波受信障害により生ずる損害等に関する費用負担に関する申し合わせ」(昭和54年 10月23日、中央用地対策連絡協議会)に基づき、補償の方法等を関係住民に説明し、その理解を得た うえで、十分な措置を講ずること。 (2) テレビジョン電波受信障害については、関係住民の理解と協力を得て、「公共施設の設置に起因 するテレビジョン電波受信障害により生ずる損害等に係る費用負担に関する申し合わせ」(昭和54年10 月23日 中央用地対策連絡協議金)に基づき対処する。
(3) テレビジョン以外の電波障害についても、上記に準じて対処すること。 (3) 沿線におけるテレビジョン以外の電波障害については、東海道新幹線以来現在までの実績から みて、本路線の沿線においても、影響の発生はまずないものと考えられる。
6 地域分断対策
 新幹線の路線が通過する地域においては、物理的な分断による影響にとどまらず、地域に根ざした近隣 関係への支障など社会的、心理的な影響が大きいものと考えられる。
 これらの影響を軽減するため、原則として高架橋方式を採用することとし、地元住民等と十分協議の うえ、以下の対策を講ずる必要がある。
6.地域分断対策
 新幹線の路線が通過する地域については、現状機能を極力維持するよう配慮する。
(1) 特に、新幹線の路線により集落を分断される地域および高速自動車道、国道、 在来線鉄道等が近接する地域においては、高架橋方式を採用することとし、生活環境の保全について十分 配慮すること。 (1) 新幹線の路線が通過する集落については、現状の機能を極力維持するよう設計、施工上で適切な 配慮をしたい。また、生活環境については、環境保全目標を満足するよう努めたい。
(2) 近隣関係の維持に必要不可欠な生活道路、通学路を確保すること。 (2) 新幹線の路線が通過する地域の道路等については、現状の機能を極力維持するよう設計、施工上 で適切な配慮をしたい。
(3) 地域分断がもたらす心理的影響を軽減するため、構造物の設計、施工の段階で 景観上の配慮を十分に行うこと。 (3) 新幹線の路線が通過する集落における構造物の設計にあたっては、工学的条件及び経済性を 考慮しながら、景観についても可能な限り配慮したい。
7 雪対策
 北陸地方は他の積雪地帯に比べ、含水率が高いことをはじめ雪質に変化が多いことから、雪に関する 調査研究を進め、当該地域に適した雪対策を検討すること。
 また、路線の除排雪に際しては、路線周辺における住民の日常生活や農業に支障を生ずることのないよう 消雪などについて万全の対策を講ずること。
 なお、かつて福井市南部などの地域において過剰揚水により地盤沈下問題が発生したことがあり、 原則として地下水による消雪は行わないこと。
7.雪対策
 雪対策の詳細については検討中であるが、その基本となる路線沿線地域の積雪状況等の調査を含め、 今後とも研究に努めたい。
 また、路線の除排雪については、周辺の生活環境等に極力支障を及ぼさないよう配慮する。
 なお、消雪に地下水を採取する必要が生じた場合は、関係機関と協議し適切に対処する。
U 自然環境の保全対策
 沿線地域は、身近な環境としての緑豊かな自然が存在する地域であり、自然環境の保全に十分配慮する 必要がある。
 また、文殊山、三里山など地域住民に親しまれている景観が存在する地域であり、構造物の設計、 施工に当たっては、山岳、盆地、河川および集落等が形成する景観との調和を図ることが重要である。
U 自然環境の保全対策
 路線計画において、自然環境に及ぼす影響が極力少なくなるよう配慮しているが、工事の実施に あたっても自然環境の保全に努めたい。
1 現時点で予測できない土地の崩壊等自然環境の保全上重大な問題が生じたときは、 速やかに関係機関と協議し、最善の対策を講ずること。 1.工事の実施にあたり、現時点で予測できない自然環境保全上の問題が生じた場合には、関係機関と 協議の上対処する。
2 国指定の天然記念物である九頭竜川のアラレガコ生息地が路線と交差することに なるので、橋梁について適切な設計および施工法を採用し、その生息環境の保全に万全を期すこと。 2.路線計画において、アラレガコ生息地に及ぼす影響が極力少なくなるよう配慮しているが、 構造物の設計、施工にあたっても生息環境の保全に十分配慮したい。
3 トンネル掘削に伴う水脈の切断等により植生への影響が懸念されるので、 その実態について調査を行い、その結果を県および地元市町に報告すること。 3.トンネル工事に先立ち事前調査を行い、現状の水文状況を把握する。
 トンネル掘削に伴う植生への影響は少ないと考えられるが、工事に起因して明らかな影響があらわれた 場合には、関係機関にその調査結果を報告し、協議の上対処する。
4 盛土法面および切取面等については、周囲の景観や植生と調和するよう緑化に 努めること。 4 盛土及び切取法面の設計、施工にあたっては、必要に応じて周囲の景観や植生と調和するよう 配慮したい。
V 文化財の保護対策
 埋蔵文化財については、県および関係市町の教育委員会と十分協議のうえ、以下の対策を講ずる必要が ある。
V 文化財の保護対策
 路線に係る埋蔵文化財の取扱いについては、関係機関と協議して措置する。
 なお、新幹線の建設に先立つ優先的な発掘等に特段の配慮をお願いしたい。
1 路線周辺における埋蔵文化財については、工事実施計画認可後、さらに詳細な 現地調査を行い、その保護、保存に最新の配慮をすること。 1.埋蔵文化財の分布調査については、関係機関との打合せにより既に実施済みであるが、追加調査が 必要な場合は、協議の上実施したい。
2 特に、路線との交差が懸念される糞置荘跡については、景観の保持が最も必要な 遺跡であるので、路線に決定等際して極力改変を避けるよう万全の措置を講ずること。 2.路線については、技術的、経営的及び環境的な見地から総合的に判断して決定したものであり、 糞置荘跡の一部通過については止むを得ないものであるのでご理解を解いたい。
 また、一般に新幹線構造物が景観に与える影響は微少であると考えているが、構造物の設計に あたっては、景観の改変を最小限にとどめるよう努める。
W その他の環境保全対策
1 沿線の生活環境の保全を図るため側道、公園緑地その他の緩衝地帯等の空間の配置に十分配慮すること。
 また、高架橋下の利用については、周辺地域の環境改善に配慮して、地元関係者と協議のうえ、有効利用 に努めること。
W その他の環境保全対策
1.土地利用対策については、沿線の地方公共団体に、これを積極的に講ずるよう要請してきたところで あるが、生活環境の保全を図るため有効であるので、特段の配慮をお願いしたい。
 なお、高架橋下の利用については、周辺地域の環境改善に配慮し対応する。
2 列車の走行による低周波空気振動については、既設新幹線における調査結果等を 踏まえ、生活環境に対する影響を生じないよう適切な対策を講ずること。 2.トンネル坑口に発生の恐れのある低周波空気振動については、適切な対策を講ずる。
3 トンネル出口盛土部分の通風阻害、あるいは盛土法面の雑草等により病害虫の 発生が懸念されるので、適切な措置を講ずること。 3.開業後の沿線における環境管理については、西日本旅客鉄道株式会社において環境管理の窓口を 設置して対応することとなるが、明らかな影響が発生した場合は、関係者と協議することとなる。
4 沿線には牛舎等があり、騒音や振動による家畜の発育等への影響が懸念される ので、これらに対する影響について調査研究を行うこと。 4.既設新幹線の事例より、騒音や振動による沿線の畜産への影響は非常に少ないものと考えている が、必要に応じて調査研究を行いたい。
X 工事中の環境保全対策
 北陸新幹線建設工事は、その規模が大きく工事期間も長期間に及び、また関連する工事も多岐にわたる と考えられる。
 このため、これらの工事の実施にあたっては、周辺環境への影響について十分な注意を払うとともに県、 関係市町および地元関係者と工事方法等について十分協議を行うことが必要である。
X 工事中の環境保全対策
 工事の施工にあたっては、事前に工事説明会を開催して関係者の理解を得るとともに、関係機関、地元 関係者、公団及び請負業者の間で、工事中の環境保全及び安全確保について、十分連絡をとりながら進める。
1 トンネル工事等に伴う発生土の処理および盛土工事に必要な土砂の採取ならびに 工事用材料や土砂の運搬にあたっては、工事実施前に環境保全対策および安全対策を記載した工事実施 計画書を作成し、県、関係市町および地元関係者と協議すること。 1.トンネル工事等に伴う発生土の処理及び土砂の採取並びに工事用材料及び土砂の運搬にあたって は、工事着手に先立ち具体的な環境保全及び安全に十分配慮した対策を策定し、関係者と協議する。
2 工事に伴い発生する排水の放流先および放流水質については、工事実施前に、 県、関係市町および地元関係者と十分協議すること。
 特にアユなどの内水面漁業に影響を及ぼさないよう土砂の採取、処分および橋梁等の工事にあたっては 濁水の排出防止に万全を期すこと。
2.工事の実施にあたっては、必要に応じて排水の水質及び水量の調査を行い、適切な対策を講ずる とともに、排水の放流先については、詳細な施工計画が決定した時点で関係機関と協議する。
 また、工事に伴う濁水の流出防止については、内水面漁業に影響を及ぼさないよう十分配慮する。
3 高架橋の根掘およびトンネル掘削により地下水障害が生じないよう、ボーリング 等により十分な事前調査を行い、設計、施工等に細心の配慮をすること。
 地下水障害が懸念される場合には、県、関係市町および地元関係者と協議して適切な対策を講ずること。 特に、金津町高塚では上水道用井戸等が路線に近接して存在するため、工事にあたってはあらかじめ十分な 対策を講ずること。
3.水質源に与える影響については、水利用状況等の調査を今後とも必要に応じて継続し、設計、 施工法等についても十分検討したい。
 なお、工事に起因して水枯渇等の発生することが明らかになった場合は、「公共事業に係る工事の施行 に起因する水枯渇等により生ずる損害等に係る事務処理について」(昭和59年9月19日 中央用地 対策連絡協議会)に基づき対処する。
4 騒音規制法および振動規制法に定める特定建設作業の実施にあたっては、 指定地域において規制基準を遵守することはもとより、指定地域外においても騒音、振動の防止に努める こと。
 学校、保育所、病院、社会福祉施設その他特に静穏の保持を要する施設が存在する地域に近接した地域 での工事施工にあたっては、特段の配慮を講ずること。
4.工事の施工にあたっては、法令及び条例等を遵守するとともに、必要に応じて適切な対策を 講じて環境の保全に努める。
 学校、保育所、病院、社会福祉施設その他特に静穏の保持を要する施設が存在する地域に近接して工事を 施工する場合には、騒音及び振動の低減対策並びに適切な機種の選定等に十分配慮し、環境の保全に努める。
Y 管理体制
1 工事着手前に、工事内容や施工体制等について、県、関係市町および地元関係者と十分協議すること。
Y 管理体制
1.工事内容及び施工体制については、事前に工事説明会を開催して関係者の理解を得ることとする。
2 下請事業者および関連事業者に対し、環境保全および安全対策上必要な 事項について、積極的に指導または監督を行うこと。 2.工事中の環境保全及び安全確保については、これらの事柄が確実に実施されるよう、請負業者に 対する指導監督を十分に行う。
3 県、関係市町および地元関係者との申し合わせ事項については、新幹線施設を 西日本旅客鉄道株式会社に引き継いだ後も、誠意をもって対処すること。 3.開業後は、西日本旅客鉄道株式会社において環境管理の窓口を設置し、地元の協力の下に環境管理 を行うこととなるが、開業前から開業後にわたって引き続き処理すべき事柄については、当公団において 行う。
4 新幹線鉄道と在来線鉄道、高速自動車道等が近接する地域にあっては、新幹線 鉄道対策のみでは騒音、振動等の環境保全目標を達成できないことが懸念されるので、西日本旅客鉄道 株式会社および道路管理者等と十分連絡、調整を図り、必要な環境保全対策を講ずること。 4.環境庁告示の「新幹線鉄道騒音に係る環境基準について」(昭和50年7月29日)及び環境庁 長官勧告の「環境保全上緊急を要する新幹線鉄道振動対策について(勧告)」(昭和51年3月12日)は、 新幹線についての騒音及び振動を対象としている。
5 地域住民からの照会、要望等に適切に対応するため、窓口の一元化、明確化を 図ること。 5.工事中の環境保全及び安全管理の窓口は建設所に、また、開業後の沿線における環境管理の窓口は 西日本旅客鉄道株式会社において設置し、それぞれ地元の協力の下に対応することとなる。
Z 要望事項
1.新幹線建設のための、詳細な計画内容が明らかになっていないことから、関係住民は将来の生活設計、 農業経営、環境保全等について大きな不安をいだいているので、計画手続きの各段階において、関係住民の 理解が得られるよう住民の意向を尊重し、誠意をもって対処されたい。
2.新幹線建設計画の推進に当たっては、県および関係市町における地域の開発整備に関する諸計画、都市 計画等の土地利用計画、公共施設設置計画等との整合性を図るとともに、既存の公共施設との調和について 十分配慮されたい。
3.在来線鉄道、高速自動車道等に加え、新幹線の路線により、地域分断される地区については、環境保全 対策のほか地域対策に特段の配慮をされたい。
4.路線が農用地を通過する場合は、農業経営に及ぼす影響を極力少なくするよう農用地等の保全、用排水 路および農道等の確保ならびに機能保全に特段の配慮をされたい。
5.用地買収および物件移転にあたっては、適正な補償を行うとともに、代替地の提供等生活基盤の確保に 十分な配慮をされたい。
 また、路線が通過することにより、不整形残地が生じる場合は、補償を含め十分な対策を講じられたい。
6.駅舎の建設に当たっては、広域交通網および駅周辺の整備について、地元関係者と協議のうえ、都市 機能が十分に発揮されるよう配慮されたい。
 また、駅舎はアメニティに配慮し、地域のシンボルとしてふさわしいものとなるよう配慮されたい。
7.路線が横断する河川の多くは、典型的な低平地河川であり、氾濫等が発生するような事態においても、 新幹線の構造物により、災害の発生、被害の拡大等を生ずることのないよう、防災対策に万全を期されたい。
8.建設工事の発注に当たっては、地元企業の振興を図る観点から、地元建設業者への発注、建設資材の地元調達、雇用について配慮されたい。
9.沿線市町から特に要望のあった次の事項については、地域事情を踏まえ、なお、検討を重ねられたい。
(1) 福井市大町跨線橋附近の通過方式
(2) 芦原温泉駅の高架駅化

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