福井県環境影響評価技術指針

   目  次   第1章 一般的事項    第1 趣 旨    第2 調査等の実施手順     1 環境影響要因の抽出     2 地域の基本的特性の把握     3 調査を行う環境要素の設定     4 調査の実施     5 予測および評価を行う環境要素の設定     6 予測の実施     7 評価の実施     8 環境保全対策の検討     9 総合評価     10 環境影響評価準備書の作成   第2章 個別的事項    第1 公害の防止に係るもの     1  大気汚染     2  水質汚濁     3  土壌汚染     4 騒   音     5 振   動     6  地盤沈下     7 悪   臭    第2 自然環境の保全に係るもの     1 地形・地質     2 植   物     3 動   物     4 景   観     5 野外レクリエーション地
第1章 一般的事項 第1 趣 旨  この技術指針は、福井県環境影響評価要綱(平成4年福井県告示第 870号。以 下「要綱」という。)第9条第1項の規定に基づき、対象事業の実施が環境に及 ぼす影響を明らかにするために行う調査、予測および評価(以下「調査等」とい う。)に関する技術的方法等を定めたものである。  また、この技術指針は、要綱に定めるすべての対象事業に共通するものとして、 現在得られている科学的知見等を基礎に取りまとめたものである。  調査等の実施にあたっては、対象事業の内容や地域の特性等を考慮し、技術指 針の内容から適切なものを選定するものとする。  なお、この技術指針は、今後の事例の積み重ねおよび科学的知見の進展に応じ て適切な判断を加え、必要な改定を行うものとする。 第2 調査等の実施手順  調査等は、次の手順に従って実施する。(別図参照)   環境に影響を及ぼすおそれのある要因(以下「環境影響要因」という。)の  抽出   地域の基本的特性の把握   調査を行う環境要素の設定   調査の実施   予測および評価を行う環境要素の設定   予測の実施   評価の実施   環境保全対策の検討   環境影響評価準備書の作成 1 環境影響要因の抽出   対象事業の計画内容に基づき環境影響要因を抽出する。   この場合、環境影響要因の抽出は、次の観点から行う。   当該対象事業の実施に係る工事(以下「工事」という。)   当該工事が完了した後の土地または工作物の存在(以下「存在」という。)   当該土地または工作物において行われることが予定される事業活動その他の  人の活動(以下「活動」という。)   また、環境影響要因を可能な限り具体的に把握し、調査を行う環境要素の設  定が適切に行われるよう配慮する。        別図 環境影響評価に係る調査等の実施手順            ┏━━━━━━━━━┓      ┌────→┨ 事 業 計 画 ┃      |     ┗━━━━┯━━━━┛      |          ↓      |    ┏━━━━━┷━━━━━┓      |    ┃ 環境影響要因の抽出  ┃      |    ┗━━━━━┯━━━━━┛      |          ↓      |    ┏━━━━━┷━━━━━┓      |    ┃地域の基本的特性の把握┃      |    ┗━━━━━┯━━━━━┛      |          ↓      |     ┏━━━━┷━━━━┓      |     ┃ 調査を行う環境  ┃      |     ┃ 要素の設定    ┃      |     ┗━━━━┯━━━━┛      |          ↓      |       ┏━━┷━━┓      |       ┃ 調  査 ┠────────┐      |       ┗━━┯━━┛        │      |          ↓           │      |     ┏━━━━┷━━━━┓      │      |     ┃ 予測および評価を ┃      │      |     ┃行う環境要素の設定┃      │      |     ┗━━━━┯━━━━┛      │      |          ↓           ↓ ┏━━━━┷━━━━┓  ┏━━┷━━┓   ┏━━━━┷━━━━┓ ┃環境保全対策の検討┠─→┨ 予  測 ┃   ┃環境保全目標の設定┃ ┗━━━━┯━━━━┛  ┗━━┯━━┛   ┗━━━━┯━━━━┛      ↑          ↓           │      │       ┏━━┷━━┓        │      └───────┨ 評  価 ┠←───────┘              ┗━━┯━━┛                 ↓          ┏━━━━━━┷━━━━━━┓          ┃ 環境影響評価準備書の作成 ┃          ┗━━━━━━━━━━━━━┛ 2 地域の基本的特性の把握   対象事業の実施が予定されている地域およびその周辺地域の基本的特性を把  握するため、地域環境に係る基礎的項目に関し、表−1を参考として資料を収  集する。            表−1 地域環境に係る基礎的項目    -------------------------------------------------------------------    区        調査項目         内容    分    -------------------------------------------------------------------      地形・地質    地形分類、表層地質、特異な地形、水底地形、               堆積物の状況等    自  気象       風向、風速、気温、降水量等      水象(河川、湖沼、地理的分布、流域区分、流量、水質、地下水位等    然   海域、地下水)      植物、動物    天然記念物、特別天然記念物、現存植生、特定植    条           物群落等貴重な植物の分布、生息種の分布、貴重               な動物の分布等    件  景観       自然公園、名勝等すぐれた景観の分布等      野外レクリエーシ 野外レクリエーション地の分布等      ョン地      その他    -------------------------------------------------------------------      行政区画     市町村境界等      集落       集落の分布、戸数等    社  人口       人口分布、人口密度、人口動態、流域人口等      産業       産業構造、産業人口、生産額等    会  交通       道路交通状況、鉄道・空港・港湾の利用状況等      土地利用     土地利用の状況、用途地域等    条  水利用(水面、地 上水・工業用水・農業用水の利水状況、漁業区域・       下水を含む。)  港湾区域の設定状況、漁業権の設定状況等    件  文化財      史跡、名勝、天然記念物等の指定状況および埋蔵               文化財包蔵地の状況等      その他      上下水道計画、各種開発計画の策定状況等    -------------------------------------------------------------------   環法  関係法令による  環境基準の類型指定、公害防止に係る規制地域・   境令 指定、規制等   規制基準、自然環境保全に係る地域の指定状況等   関等 その他   係    ------------------------------------------------------------------- 3 調査を行う環境要素の設定   抽出された環境影響要因および地域の特性に応じて、表−2の中から調査を  行う環境要素を設定する。   設定にあたっては、環境影響要因と環境要素との関連を整理するとともに、  環境要素として設定する理由またはしない理由を明らかにする。               表−2 環境要素   --------------------------------------------------------------------      区分   |      環境要素   --------------------------------------------------------------------          |  大気汚染     水質汚濁     土壌汚染    公害の防止  |          |  騒   音    振   動     地盤沈下    に係るもの  |          |  悪   臭   --------------------------------------------------------------------   自然環境の保全|  地形・地質    植   物    動   物          |    に係るもの  |  景   観    野外レクリエーション地   -------------------------------------------------------------------- 4 調査の実施 (1) 調査は、対象事業の実施が環境に及ぼす影響を予測し、評価するために必   要な情報を把握することを目的として、既存資料の収集および必要に応じた   現地調査を行い、その結果を整理し、解析することにより行う。    この場合、予測および評価を行うために必要な水準が確保されるよう配慮   する。 (2) 調査地域は、原則として対象事業の実施により環境の状態が一定程度以上   変化するおそれのある範囲を含む地域、または環境が直接改変を受ける範囲   とその周辺区域等とする。 (3) 調査は、調査地域の特性に配慮して行う。 (4) 調査は、第2章に示す内容、方法等により行う。 5 予測および評価を行う環境要素の設定   調査結果に基づき、対象事業の内容および地域の特性に応じて、予測および  評価を行う環境要素を設定する。   設定にあたっては、予測および評価する環境要素として設定する理由または  しない理由を明らかにする。 6 予測の実施 (1) 予測は、対象事業の実施により生じる環境の状態の変化を明らかにするこ   とにより行う。 (2) 予測は、調査地域の特性に配慮して行う。 (3) 予測の対象時期は、工事、存在および活動のそれぞれについて、予測項目   ごとに、その環境に及ぼす影響が最大になると予想される時期とする。 (4) 予測は、事業者・県等が行う環境の保全のための措置または施策を踏まえ   て行うことができる。この場合には、その内容を明らかにしておく。 (5) 予測は、第2章に示す内容、方法等により行う。 7 評価の実施 (1) 評価は、調査および予測の結果を踏まえ、対象事業の実施が環境に及ぼす   影響について、環境保全目標に照らし事業者の見解を明らかにすることによ   り行う。 (2) 評価にあたっては、必要に応じ対象事業以外の事業活動等によりもたらさ   れる地域の将来の環境の状態(ただし、その推定が困難な場合は、現在の環   境の状態とする。)を考慮する。    この場合、県等が行う環境の保全のための措置または施策を踏まえて行う   ことができる。この場合には、その内容を明らかにしておく。 (3) 評価は、第2章に示す内容、方法等により行う。 8 環境保全対策の検討 (1) 評価の結果、必要がある場合には、環境保全対策について検討を行い、そ   の結果に応じて再度予測または評価を行うものとする。 (2) 環境保全対策についての検討は、工事実施計画の変更、公害防止施設の設   置、自然環境の復元、修景緑化、代償措置等について行う。 (3) 必要に応じ事業の実施中または完了後における環境監視方法について検討   する。 9 総合評価   総合評価は、調査等の結果および環境保全対策の検討結果を踏まえ、対象事  業が環境に及ぼす影響を総合的な見地から評価する。 10 環境影響評価準備書の作成 (1) 環境影響評価準備書は、原則として、次の構成で作成する。   ア 事業者の氏名および住所(法人にあっては、名称、代表者の氏名および    主たる事務所の所在地)   イ 事業の種類、目的および内容    (A) 事業の種類および名称    (B) 事業の目的(事業の必要性を含む。)    (C) 事業の内容(環境の保全のための措置を含む。)    (D) 事業の効果   ウ 地域の概況    (A) 自然条件    (B) 社会条件    (C) 環境関係法令等   エ 環境影響要因の抽出および環境要素の設定    (A) 環境影響要因の抽出    (B) 調査等の対象とする環境要素の設定(対象とする理由および対象とし     ない理由を含む。)   オ 調査等の結果(次の(A)、(B)、(C)、(D)について環境要素ごとに記載する。)    (A) 調査結果    (B) 予測結果(予測および評価の対象とする理由および対象としない理由     を含む。)    (C) 環境保全目標    (D) 評価結果   カ 環境保全対策の検討結果    (A) 環境保全対策の検討結果    (B) 環境監視方法の検討結果   キ 総合評価   ク その他 (2) 環境影響評価準備書作成上の留意事項    環境影響評価準備書の作成にあたっては、次の事項に留意すること。   ア 事業の内容は、表−3を参考に記載することとし、環境に及ぼす影響の    内容およびその程度が明らかとなるよう必要な水準を確保すること。   イ 調査にあたって既存資料を用いるときは、可能な限り最新、最適な資料    を用いること。   ウ 記述にあたっては、明快な文章表現とするよう努めるとともに、できる    限り視覚的な表現方法を用いて理解しやすい内容とすること。また、専門    用語等には必要に応じ解説を行うこと。   エ 調査等に使用した資料、文献等の出典および現地調査を行った場合の調    査日時、気象状況その他必要な事項を明示すること。   オ 必要に応じ、内容を適切に記述した要約版を作成するなど準備書につい    ての理解の補完に努めること。            表−3 事業内容の記載事項   -------------------------------------------------------------------     項  目         内       容   -------------------------------------------------------------------    事業予定地    位置    計画面積     全体面積、現況地目別面積    計画人口     利用者数、従業員数    事業予定     工事着手予定年月日、使用開始予定年月日    土地利用計画   施設用途別面積等    造成計画     伐採面積、切盛土面積・土量、切盛土施工計画等    施設計画     建築物、工作物等の位置、規格等    道路計画     工事用道路、アクセス道路の位置・構造、交通量等    取水計画     水源別取水量、用途別計画給水量等    雨水排水計画   集水区域、計画排水量、排水施設の種類、放流河川等    燃料等使用計画  使用燃料等の種類・使用量、使用燃料等の消費施設の            種類・規模等   文化財等保護計画 文化財の保護方法等    工事計画     工事工法、使用機材・資材、工事工程表等   環境の保全のため 大気汚染防止対策、水質汚濁防止対策(熱によるもの   の措置      ものを含む。)、騒音・振動防止対策、地盤沈下対策、            悪臭防止対策、産業廃棄物対策、自然環境保全対策、            緑化計画、工事中の環境保全対策   ------------------------------------------------------------------- 第2章 個別的事項 第1 公害の防止に係るもの 1 大気汚染 (1) 調査   ア 調査項目     調査は、次の項目の中から対象事業および地域の特性に応じて必要なも    のを選定する。    (A) 二酸化いおう    (B) 窒素酸化物(二酸化窒素、一酸化窒素)    (C) 一酸化炭素    (D) 浮遊粒子状物質    (E) 光化学オキシダント    (F) その他必要な項目   イ 調査地域     調査地域は、対象事業の実施により大気質が一定程度以上変化するおそ    れのある範囲を含む地域とし、既存の事例、簡易な拡散式による試算等に    よりその範囲を推定して設定する。     なお、現地調査を行う場合の測定地点は、対象事業の内容、気象の状況、    地形等を考慮し、調査地域の範囲内において、大気質の変化を的確に把握    できる地点とする。   ウ 調査方法     調査は、県等が設置する大気汚染常時監視測定局、気象台等における測    定資料や既存文献を収集、整理し、必要に応じて現地調査を行い、その結    果を解析する。    (A) 調査の期間および頻度      調査期間は、原則として1年以上にわたる大気質の状況を把握するこ     こととし、その頻度の設定にあたっては、年間を通じた変動に配慮する。    (B) 調査方法      測定方法は、「大気の汚染に係る環境基準について」(昭和48年環境     庁告示第25号)および「二酸化窒素に係る環境基準について」(昭和53     年環境庁告示第38号)に定める方法等とする。   エ 関連調査項目(予測、評価を行うにあたり必要な項目について行う。)    (A) 気象の状況     a 気象の調査は、風向、風速、気温、日射量、放射収支量等について      「気象年報」(気象庁)等既存資料の収集、整理または現地調査によ      り行う。     b 現地調査を実施する場合は、観測期間は大気質の調査期間に準じる      こととし、観測地点は地域の状況を考慮して、大気汚染の解析および      予測に必要な気象の状況を把握し得る地点とする。     c 観測方法は、「地上気象観測法」(気象庁)、「高層気象観測指針」      (気象庁)に定める方法等とする。    (B) 地形、地物の状況      地形、地物の調査は、地形図等既存資料の収集、整理または現地調査     により行う。    (C) 主要発生源の状況      発生源の調査は、工場・事業場、道路、港湾等主要な発生源について     既存資料の収集、整理または現地調査により行う。   オ 調査結果の整理および解析     調査結果は、環境基準の達成状況、年間の平均的状況等について整理す    ることとし、必要に応じて気象特性との関連について解析を行う。     なお、窒素酸化物については、窒素酸化物に占める二酸化窒素の割合に    ついても整理する。 (2) 予測   ア 予測項目     予測は、次の項目の中から対象事業および地域の特性に応じて選定し、    定量的に予測を行う。    (A) 二酸化いおう    (B) 二酸化窒素    (C) 一酸化炭素     その他の項目について環境への影響が懸念される場合には、必要に応じ    て定量的または定性的に予測を行う。   イ 予測地域     予測地域の範囲は、調査地域の範囲に準じる。   ウ 予測方法    (A) 定量的な予測は、年平均値で行うこととし、必要に応じて1時間値ま     たは日平均値についても併せて行う。    (B) 定量的な予測は、発生源および対象とする地域の特性等を考慮して、     次の予測方法またはこれらと同等以上の信頼性を有する方法の中から適     切なものを選定して行う。     a プルームモデル     b パフモデル     c JEAモデル     d 風洞模型実験    (C) 定性的な予測は、対象事業の実施により排出される負荷量を把握し、     他の発生源から排出される負荷量との比較検討、既存事例との対比等に     より行う。    (D) 将来のバックグラウンド濃度については、既存資料等を用いて把握す     ることとし、それが困難な場合には現況の環境濃度を用いることとする。   エ 留意事項     予測にあたっては、気象の調査結果、事業計画をもとに、汚染物質排出    量、稼働条件、煙源状況、交通量等予測の前提となる条件について、あら    かじめ整理しておく必要がある。 (3) 評価   ア 評価の方法     評価は、予測結果を環境保全目標に照らし、事業者の見解を述べること    により行う。   イ 環境保全目標    (A) 定量的に予測を行った項目のうち、環境基準の定めのある項目につい     ては、原則として環境基準とする。      また、環境基準の定めのない項目については、人の健康または生活環     境に及ぼす影響等に関する既存の科学的知見をもとに環境保全目標を設     定する。    (B) 定性的な予測を行った項目については、「排出される負荷量等が環境     に及ぼす影響が軽微であること」とする。 2 水質汚濁 (1) 調査   ア 調査項目     調査は、次の項目の中から公共用水域の水質、地下水の水質および底質    を対象として、対象事業および地域の特性に応じて必要なものを選定する。    (A) 公共用水域     a カドミウム     b シアン     c 有機燐     d 鉛     e クロム(六価)     f 砒素     g 総水銀     h アルキル水銀     i PCB     j トリクロロエチレン     k テトラクロロエチレン     l 水素イオン濃度     m 生物化学的酸素要求量     n 化学的酸素要求量     o 浮遊物質量     p 溶存酸素量     q 大腸菌群数     r 全窒素     s 全りん     t n−ヘキサン抽出物質     u 農薬成分     v 水温     w その他必要な項目    (B) 地下水     a カドミウム及びその化合物     b シアン化合物     c 有機燐化合物     d 鉛及びその化合物     e 六価クロム化合物     f 砒素及びその化合物     g 水銀及びアルキル水銀その他の水銀化合物     h アルキル水銀化合物     i PCB     j トリクロロエチレン     k テトラクロロエチレン     l 農薬成分     m その他必要な項目    (C) 底質     a アルキル水銀化合物     b 水銀又はその化合物     c カドミウム又はその化合物     d 鉛又はその化合物     e 有機燐化合物     f 六価クロム化合物     g 砒素又はその化合物     h シアン化合物     i PCB     j トリクロロエチレン     k テトラクロロエチレン     l 銅又はその化合物     m 亜鉛又はその化合物     n ふっ化物     o その他必要な項目   イ 調査地域     調査地域は、対象事業の実施により水質が一定程度以上変化するおそれ    のある範囲を含む地域とし、既存の事例または簡易な拡散式による試算等    によりその範囲を推定して設定する。     なお、現地調査を行う場合の測定地点は、対象事業の内容、水質汚濁に    係る環境基準点、利水地点(地下水の採取地点を含む。)等を考慮し、調    査地域の範囲内において水質等の変化を的確に把握できる地点とする。   ウ 調査方法     調査は、県等が行っている水質測定等に関する測定資料や既存文献を収    集、整理し、必要に応じて現地調査を行い、その結果を解析する。    (A) 調査の期間および頻度      調査期間は、原則として1年以上にわたる水質の状況を把握すること     とし、その頻度の設定にあたっては、年間を通じた変動に配慮する。      なお、底質については、水域の特性を把握できる程度とする。    (B) 調査方法      水質の測定方法は、「水質汚濁に係る環境基準について」(昭和46年     環境庁告示第59号)、「水質汚濁防止法施行規則第6条の2の規定に基     づき環境庁長官が定める検定方法」(平成元年環境庁告示第39号)およ     び「ゴルフ場で使用される農薬による水質汚濁の防止に係る暫定指導指     針について」(平成2年5月24日付け環水土第77号環境庁水質保全局長     通達)に定める方法等とし、採水方法等は、「水質調査方法」(昭和46     年9月30日付け環水管第30号環境庁水質保全局)および「地下水質調査     方法」(平成元年9月14日付け環水管第 189号環境庁水質保全局長通達     「水質汚濁防止法の一部を改正する法律の施行について」別紙)に定め     る方法等とする。      また、底質の測定方法および採泥方法は、「底質調査方法」(昭和63     年9月8日付け環水管第 127号環境庁水質保全局長通達「底質調査方法     の改定について」別添)および「海洋汚染及び海上災害の防止に関する     法律施行令第5条第1項に規定する埋立場所等に排出しようとする廃棄     物に含まれる金属等の検定方法」(昭和48年環境庁告示第14号)に定め     る方法等とする。   エ 関連調査項目(予測、評価を行うにあたり必要な項目について行う。)    (A) 水象等の状況     a 水象等の調査は、既存資料の収集、整理または現地調査により行う。      (a) 河川の流況(流量、流速等)        河川の形態(形状、流域面積等)      (b) 湖沼の流況(水位、貯水量、流入・流出水量、成層・循環等)        湖沼の形態(形状、水深、流域面積等)      (c) 海域の流況(潮位、潮流、淡水流入量、成層・循環等)        海岸の地形(形状、水深等)      (d) 地下水の状況等(地下水位、地質の状況、透水性等)     b 現地調査を実施する場合は、観測期間は水質等の調査期間に併せて      行うものとする。     c 調査地点は、水質汚濁の解析および予測に必要な水象の状況を把握      し得る地点とする。    (B) 利水の状況      利水の調査は、主要な水利用箇所の分布等について既存資料の収集、     整理または現地調査により行う。    (C) 主要発生源の状況      発生源の調査は、工場・事業場等主要な発生源について既存資料の収     集、整理または現地調査により行う。   オ 調査結果の整理および解析     調査結果は、環境基準の達成状況、年間の平均的状況等について整理す    ることとし、必要に応じて水理特性、水域の自然汚濁、人為汚濁の状況等    に着目して解析を行う。 (2) 予測   ア 予測項目     予測は、次の項目の中から対象事業および地域の特性に応じて選定し、    定量的に行う。    (A) 生物化学的酸素要求量    (B) 化学的酸素要求量    (C) 浮遊物質量    (D) 農薬成分     水温、流動等その他の項目について環境への影響が懸念される場合には、    必要に応じて定量的または定性的に予測を行う。   イ 予測地域     予測地域の範囲は、調査地域の範囲に準じる。   ウ 予測方法    (A) 定量的な予測は、排水量および排出先の水域の特性等を考慮して、次     の予測方法またはこれらと同等以上の信頼性を有する方法の中から適切     なものを選定して行う。     a ジョセフ・センドナー式     b ボックスモデル     c ストリーター・ヘルプス式     d 岩井・井上式     e 物質収支式     f 数理解析モデル     g 水理模型実験    (B) 定性的な予測は、対象事業の実施により排出される負荷量を把握し、     他の発生源から排出される負荷量との比較検討、既存事例との対比等に     より行う。    (C) 将来のバックグラウンド濃度については、既存資料等を用いて把握す     ることとし、それが困難な場合には現況の環境濃度を用いることとする。   エ 留意事項     予測にあたっては、水象等の調査結果、事業計画をもとに、流量、流速、    負荷量、排出条件等予測の前提となる条件について、あらかじめ整理して    おく必要がある。 (3) 評価   ア 評価方法     評価は、予測結果を環境保全目標に照らし、事業者の見解を述べること    により行う。   イ 環境保全目標    (A) 定量的に予測を行った項目のうち、環境基準の定めのある項目につい     ては、原則として環境基準とする。      この場合、環境基準の設定されていない水域については、現況水質、     利水目的等を考慮し、環境基準の類型あてはめを想定して行う。      また、環境基準の定めのない項目については、人の健康または生活環     境に及ぼす影響等に関する既存の科学的知見をもとに環境保全目標を設     定する。    (B) 定性的な予測を行った項目については、「排出される負荷量等が環境     に及ぼす影響が軽微であること」とする。 3 土壌汚染 (1) 調査   ア 調査項目     調査は、次の項目の中から対象事業の実施に伴い土壌を汚染するおそれ    のあるもの、および過去の土地利用等の経緯を考慮し、必要なものを選定    する。    (A) カドミウム    (B) シアン    (C) 有機燐    (D) 鉛    (E) 六価クロム    (F) 砒素    (G) 総水銀    (H) アルキル水銀    (I) PCB    (J) 銅    (K) その他必要な項目   イ 調査地域     調査地域は、対象事業の実施区域および当該事業の実施により影響を受    けるおそれのある範囲を含む地域とする。     なお、現地調査を行う場合の測定地点は、調査地域の範囲内において土    壌中の汚染物質の濃度およびその分布を的確に把握し得る地点とする。   ウ 調査方法     調査は、既存資料を収集、整理し、必要に応じて現地調査を行い、その    結果を整理する。    (A) 調査の期間および頻度      原則として1回とする。    (B) 調査方法      測定方法は、「土壌の汚染に係る環境基準について」(平成3年環境     庁告示第46号)に定める方法等とする。   エ 関連調査項目(予測、評価を行うにあたり必要な項目について行う。)    (A) 地形、地質の状況      地形、地質等の調査は、地形図、土壌図等既存資料の収集、整理また     は現地調査により行う。    (B) 利水の状況      利水の調査は、主要な水利用箇所の分布等既存資料の収集、整理また     は現地調査により行う。    (C) 土地利用の状況      土地利用の調査は、既存資料の収集、整理または現地調査により行う。      なお、過去の土地利用等の経緯についても併せて調査する。    (D) 主要発生源の状況      発生源の調査は、工場・事業場等主要な発生源について既存資料の収     集、整理または現地調査により行う。   オ 調査結果の整理および解析     調査結果は、土壌汚染物質の濃度およびその分布、環境基準の達成状況    等について整理し、必要に応じて発生源との関連等について解析を行う。 (2) 予測   ア 予測項目     予測は、調査項目の中から対象事業および調査結果をもとに選定したも    のについて行う。   イ 予測地域     予測地域の範囲は、対象事業の実施により影響を受けるおそれのある地    域とする。   ウ 予測方法     予測は、地域の特性等を考慮して、既存事例の引用または解析等により    行う。   エ 留意事項     予測にあたっては、土地の改変に伴う土壌の移動について考慮する。 (3) 評価   ア 評価の方法     評価は、予測結果を環境保全目標に照らし、事業者の見解を述べること    によりを行う。   イ 環境保全目標    (A) 環境基準の定めのある項目については、原則として環境基準とする。    (B) その他の項目については、「土壌汚染による被害を生じさせないこと」     とする。 4 騒音 (1) 調査   ア 調査項目     調査は、騒音レベルについて行う。   イ 調査地域     調査地域は、対象事業の実施により騒音レベルが一定程度以上変化する    おそれのある範囲を含む地域とし、地形、既存の発生源、住宅の密集度等    を考慮して設定する。     なお、現地調査を行う場合の測定地点は、対象事業の内容、地域の特性    等を考慮して、調査地域の範囲内において騒音の変化を的確に把握できる    地点とする。   ウ 調査方法     調査は、既存資料を収集、整理し、必要に応じて現地調査を行い、その    結果を解析する。    (A) 調査の期間および頻度      原則として年間の変動を把握することとし、その頻度の設定にあたっ     ては、発生源の特性、時間の区分、交通量の変動、季節等を考慮する。    (B) 調査方法      測定方法は、発生源の種類に応じて「騒音に係る環境基準について」     (昭和46年5月25日閣議決定)、「航空機騒音に係る環境基準について」     (昭和48年環境庁告示第 154号)、「新幹線鉄道騒音に係る環境基準に     ついて」(昭和50年環境庁告示第46号)、「特定工場等において発生す     る騒音の規制に関する基準」(昭和43年厚生省・農林省・通商産業省・     運輸省告示第1号)または「特定建設作業に伴って発生する騒音の規制     に関する基準」(昭和43年厚生省・建設省告示第1号)に定める方法等     とする。   エ 関連調査項目(予測、評価を行うにあたり必要な項目について行う。)    (A) 気象の状況     a 気象の調査は、風向、風速等について「気象年報」(気象庁)等既      存資料の収集、整理または現地調査により行う。     b 現地調査を行う場合は、観測期間は騒音の調査期間に準じることと      し、観測地点は地域の状況を考慮して、騒音の解析および予測に必要      な気象の状況を把握し得る地点とする。     c 観測方法は「地上気象観測方法」(気象庁)に定める方法等とする。    (B) 土地利用の状況      土地利用の調査は、学校、病院、住宅の密集地等の分布について既存     資料の収集、整理または現地調査により実施する。    (C) 地形、地物の状況      地形、地物の調査は、地形図等既存資料の収集、整理または現地調査     により行う。    (D) 主要発生源の状況      発生源の調査は、工場・事業場、道路、鉄道等主要な発生源について     既存資料の収集、整理または現地調査により行う。   オ 調査結果の整理および解析     調査結果は、騒音レベルの現状、環境基準の達成状況、地域の土地利用    状況等について整理し、必要に応じて発生源との関連等について解析を行    う。 (2) 予測   ア 予測項目     予測は、騒音レベルについて行う。   イ 予測地域     予測地域の範囲は、調査地域の範囲に準じる。     なお、予測地点は、住居の集合状況、学校、病院等の分布状況および将    来の土地利用計画等を考慮し、適切に設定する。   ウ 予測方法    (A) 予測は、対象となる環境影響要因の特性、地域環境条件等を考慮して、     騒音伝播モデルによる数値計算、既存事例の引用または解析等により行     う。    (B) 予測対象とする時間帯については、環境基準の時間区分に配慮して設     定する。   エ 留意事項     予測にあたっては、次の事項についてあらかじめ整理しておく必要があ    る。    (A) 交通関係      交通量、運行頻度、車種構成と速度、発生騒音特性、地形特性等    (B) 工場、建設工事関係      発生源の種類・構造、分布、発生時間帯、発生騒音特性、地形特性等 (3) 評価   ア 評価の方法     評価は、予測結果を環境保全目標に照らし、事業者の見解を述べること    により行う。   イ 環境保全目標    (A) 環境基準に係る地域指定が行われている地域については、原則として     環境基準とする。    (B) 環境基準に係る地域指定が行われていない地域については、将来の土     地利用の動向を考慮し、環境基準の類型あてはめを想定して行う。    (C) 建設作業騒音については、「大部分の地域住民が日常生活において支     障がない程度」とする。 5 振動 (1) 調査   ア 調査項目     調査は、振動レベルについて行う。   イ 調査地域     調査地域は、対象事業の実施により振動が一定程度以上変化するおそれ    のある範囲を含む地域とし、地形、既存の発生源、住宅の密集度等を考慮    して設定する。     なお、現地調査を行う場合の測定地点は、対象事業の内容、地域の特性    等を考慮して、調査地域の範囲内において振動の変化を的確に把握できる    地点とする。   ウ 調査方法     調査は、既存資料を収集、整理し、必要にて応じて現地調査を行い、そ    の結果を解析する。    (A) 調査の期間および頻度      原則として年間の変動を把握することとし、その頻度の設定にあたっ     ては、発生源の特性、時間の区分、交通量の変動、季節等を考慮する。    (B) 調査方法      測定方法は、発生源の種類に応じて「特定工場等において発生する振     動の規制に関する基準」(昭和51年環境庁告示第90号)、「振動規制法     施行規則」(昭和51年総理府令第58号)または「環境保全上緊急を要す     る新幹線鉄道振動対策について」(昭和51年3月12日付け環大特第32号     環境庁長官勧告)に定める方法等とする。   エ 関連調査項目(予測、評価を行うにあたり必要な項目について行う。)    (A) 地盤、地形の状況      地盤、地形の調査は、振動の伝搬に影響を及ぼすおそれのある地盤、     地形の状況について地質図、柱状図等既存資料の収集、整理または現地     調査により行う。    (B) 土地利用の状況      土地利用の調査は、学校、病院、住宅の密集地等の分布について既存     資料の収集、整理または現地調査により行う。    (C) 主要発生源の状況      発生源の調査は、工場・事業場、道路、鉄道等主要な発生源について     既存資料の収集、整理または現地調査により行う。 (2) 予測   ア 予測項目     予測は、振動レベルについて行う。   イ 予測地域     予測地域の範囲は、調査地域の範囲に準じる。     なお、予測地点は、住居の集合状況、学校、病院等の分布状況および将    来の土地利用計画等を考慮し、適切に設定する。   ウ 予測方法    (A) 予測は、対象となる環境影響要因の特性、地盤性状等を考慮して、波     動理論による数値計算、既存事例の引用または解析等により行う。    (B) 予測対象とする時間帯については、規制基準の時間区分に配慮して設     定する。   エ 留意事項     予測にあたっては、次の事項についてあらかじめ整理しておく必要があ    る。    (A) 交通関係      交通量、運行頻度、車種構成と速度、発生振動特性、地盤性状等    (B) 工場、建設工事関係      発生源の種類・構造、分布、発生時間帯、発生振動特性、地盤性状等 (3) 評価   ア 評価の方法     評価は、予測結果を環境保全目標に照らし、事業者の見解を述べること    により行う。   イ 環境保全目標     「大部分の地域住民が日常生活において支障がない程度」とする。 6 地盤沈下 (1) 調査   ア 調査項目     調査は、地盤沈下量および地下水位の状況等について行う。   イ 調査地域     調査地域は、対象事業の実施により地盤が沈下するおそれのある範囲お    よび地下水位が変化するおそれのある範囲とする。   ウ 調査方法     調査は、既存資料を収集、整理し、必要に応じて現地調査を行い、その    結果を解析する。    (A) 調査の期間および頻度      経年的な情報を把握することが重要であり、極力長期間にわたる資料     の収集に努める。    (B) 調査方法     a 地盤沈下量の調査は、原則として水準測量または沈下計を用いる方      法とする。     b 地下水位の調査は、ボーリング、物理探査等の方法とする。   エ 関連調査項目(予測、評価を行うにあたり必要な項目について行う。)    (A) 地盤の状況      地盤の調査は、地形図、地質図、ボーリング柱状図等既存資料の収集、     整理または現地調査(ボーリング調査、土質試験、物理探査等)により     行う。    (B) 土地利用の状況      土地利用の調査は、市街地、田畑、林野地等について、土地利用図等     既存資料の収集、整理または現地調査により行う。    (C) 地下水の利用状況      地下水の採取、利用状況の調査は、既存資料の収集、整理または現地     調査により行う。   オ 調査結果の整理および解析     調査結果は、地盤沈下量、地下水位の変動等について整理し、必要に応    じて地盤の性状、地下水の採取量との関連等について解析を行う。 (2) 予測   ア 予測項目     予測は、地盤沈下の程度について行う。   イ 予測地域     予測地域の範囲は、調査地域の範囲に準じる。   ウ 予測方法     予測は、次の予測方法または既存事例の引用もしくは解析等により行う。    (A) 数理モデルによるシミュレーション    (B) ダルシーの法則による安全揚水量計算    (C) 水位変動と揚水量から許容揚水量を求める方法    (D) 地形、地質の類似性に着目した地盤沈下発生の程度の推定(パターン     分析)   エ 留意事項     予測にあたっては、地盤条件、水文条件、土地利用状況等について、あ    らかじめ整理しておく必要がある。 (3) 評価   ア 評価の方法     評価は、予測結果を環境保全目標に照らし、事業者の見解を述べること    により行う。   イ 環境保全目標     「地盤沈下により被害を生じさせないこと」とする。 7 悪臭 (1) 調査   ア 調査項目     調査項目は、次の項目の中から対象事業および地域の特性に応じて必要    なものを選定する。    (A) アンモニア    (B) メチルメルカプタン    (C) 硫化水素    (D) 硫化メチル    (E) 二硫化メチル    (F) トリメチルアミン    (G) アセトアルデヒド    (H) スチレン    (I) プロピオン酸    (J) ノルマル酪酸    (K) ノルマル吉草酸    (L) イソ吉草酸    (M) その他必要な項目   イ 調査地域     調査地域は、対象事業の実施により悪臭の影響の及ぶおそれのある範囲    を含む地域とし、既存の事例、簡易な拡散式による試算等によりその範囲    を推定して設定する。     なお、現地調査を行う場合の測定地点は、対象事業の内容、気象の状況、    地形等を考慮し、調査地域の範囲内において悪臭物質の濃度の変化を的確    に把握できる地点とする。   ウ 調査方法     調査は、既存資料を収集、整理し、必要に応じて現地調査を行い、その    結果を解析する。    (A) 調査の期間および頻度      原則として年間の変動を把握することとし、その頻度の設定にあたっ     ては、発生源の特性、季節等を考慮する。    (B) 調査方法      「悪臭物質の測定の方法」(昭和47年環境庁告示第9号)に定める方     法等とする。   エ 関連調査項目(予測、評価を行うにあたり必要な項目について行う。)    (A) 気象の状況      大気汚染に準じる。    (B) 地形、地物の状況      大気汚染に準じる。    (C) 主要発生源の状況      大気汚染に準じる。   オ 調査結果の整理および解析     調査結果は、悪臭の状況、地域の土地利用の状況等について整理し、必    要に応じて気象特性、発生源との関連等について解析を行う。 (2) 予測   ア 予測項目     予測は、調査項目の中から対象事業の実施に伴って排出され、環境に影    響を及ぼすおそれのあるものについて行う。   イ 予測地域     予測地域の範囲は、調査地域の範囲に準じる。   ウ 予測方法    (A) 定量的な予測は、発生源および対象とする地域の特性等を考慮して、     次の予測方法またはこれらと同等以上の信頼性を有する方法の中から適     切なものを選定して行う。     a プルームモデル     b パフモデル    (B) 定性的な予測は、既存事例等を参考に、排出量と距離とを考慮するこ     となどにより行う。なお、この際、風向、風速等に十分配慮する。   エ 留意事項     予測にあたっては、排出物の臭気排出強度等を既存事例等により、あら    かじめ推定、整理しておく必要がある。 (3) 評価   ア 評価の方法     評価は、予測結果を環境保全目標に照らし、事業者の見解を述べること    により行う。   イ 環境保全目標     「大部分の地域住民が日常生活において感知しない程度」とする。 第2 自然環境の保全に係るもの 1 地形・地質 (1) 調査   ア 調査項目     調査は、次の項目について行う。    (A) 地形および地質の状況    (B) 特異な地形、地質および自然現象の分布ならびに特性   イ 調査地域     調査地域は、対象事業を実施する区域およびその周辺とし、影響の程度    について既存資料等を参考にあらかじめ想定して設定する。   ウ 調査方法     調査は、既存資料を収集、整理し、または既存資料により把握された概    況をもとに踏査等により行う。   エ 調査の期間および頻度     特異な自然現象についての調査の期間および頻度は、その変動特性を考    慮して設定する。   オ 関連調査項目(予測、評価を行うにあたり必要な項目について行う。)    (A) 気象の状況      気象の調査は、風向、風速、降水量等について、「気象年報」(気象     庁)等既存資料を収集、整理する。    (B) 水文、水象の状況      水文、水象の調査は、流域の状況、河川の流量、潮流等について既存     資料の収集、整理または現地調査により行う。    (C) 土地の安定性      従来の土地の安定性を既存の資料および現地調査などで調査するとと     もに、地形の改変などに伴う土地の安定性を検討するために必要な場合     は、さらに詳細な土質調査等を行う。   カ 調査結果の整理および解析     調査結果の整理および解析は、次のとおりとする。    (A) 地形、地質の状況の図示および特性の解析    (B) 特異な地形、地質および自然現象の分布状況の図示および特性の解析 (2) 予測   ア 予測項目     予測は、次の項目について行う。    (A) 地形、地質の物理的な改変の程度および内容    (B) 特異な地形、地質および自然現象の改変の程度および内容   イ 予測地域     予測地域の範囲は、調査地域の範囲に準じる。   ウ 予測方法     予測は、対象事業の計画の内容をもとに、消滅の有無および改変の程度    を把握することにより行う。     なお、地下水等の変動による影響など間接的影響については、既存の類    似事例、専門家の意見等を参考に定性的に予測する。   エ 留意事項     予測にあたっては、土地の安定性の変化および水文環境に及ぼす影響に    留意する。 (3) 評価   ア 評価の方法     評価は、予測の結果を環境保全目標に照らし、事業者の見解を述べるこ    とにより行う。     この場合、必要に応じて専門家の意見等を参考とする。   イ 環境保全目標    (A) 自然環境の重要さに応じて次のとおりとする。     a 全国的価値に該当するものは、当該自然環境の構成要素を可能な限      り保全する。     b 都道府県的価値に該当するものは、当該自然環境の構成要素を相当      程度保全する。     c 市町村的価値に該当するものは、当該自然環境の構成要素への影響      を可能な限り最小化する。    (B) 上記項目に分類されないもので地域と深いかかわりのあるものについ     ては、「努めて保全する」などの環境保全目標を設定する。 2 植物 (1) 調査   ア 調査項目     調査は、次の項目について行う。    (A) 種、群落および植生の状況    (B) 貴重な種、群落および植生の分布および特性   イ 調査地域     調査地域は、対象事業を実施する区域およびその周辺とし、影響の程度    について既存資料等を参考にあらかじめ想定して設定する。   ウ 調査方法     調査は、陸生植物および水生植物に関し既存資料を収集、整理または既    存資料により把握された概況をもとに聞き取りおよび踏査等により行う。   エ 調査の期間および頻度     調査期間は原則として1年間とし、植物の成育期等を考慮して調査時期    および頻度を設定する。   オ 調査結果の整理および解析     調査結果の整理および解析は、次のとおりとする。    (A) 生育種リストの作成    (B) 植生の図示および主要な群落の特性の解析    (C) 貴重な種、群落および植生の分布状況の図示および特性の解析 (2) 予測   ア 予測項目     予測は、次の項目について行う。    (A) 植生の改変の程度および内容    (B) 貴重な種、群落および植生の改変の程度ならびに内容   イ 予測地域     予測地域の範囲は、調査地域の範囲に準じる。   ウ 予測方法     予測は、対象事業の計画の内容をもとに、消滅の有無および改変の程度    を把握することにより行う。     なお、間接的影響については、既存の類似事例、専門家の意見等を参考    に定性的に予測する。   エ 留意事項     地域とかかわりのある植物への影響の程度について留意する。 (3) 評価    地形・地質に準じる。 3 動物 (1) 調査   ア 調査項目     調査は、次の項目について行う。    (A) 生息種、主要種の分布状況および生息環境特性    (B) 貴重種の分布状況および特性   イ 調査地域     調査地域は、対象事業を実施する区域およびその周辺とし、影響の程度    について、既存資料等を参考にあらかじめ想定して設定する。   ウ 調査方法     調査は、陸生動物および水生動物に関し既存資料を収集、整理または既    存資料により把握された概況をもとに聞き取りおよび踏査等により行う。   エ 調査の期間および頻度     調査期間は原則として1年間とし、動物の活動時期等を考慮して調査時    期および頻度を設定する。   オ 調査結果の整理および解析     調査結果の整理および解析は、次のとおりとする。    (A) 生息種リストの作成    (B) 主要種の生息状況    (C) 生息環境特性の解析    (D) 貴重種の分布状況および特性の解析 (2) 予測   ア 予測項目     予測は、次の項目について行う。    (A) 貴重種、主要種等の生息環境の改変の程度および内容    (B) 貴重種、主要種等の生息状況への影響   イ 予測地域     予測地域の範囲は、調査地域の範囲に準じる。   ウ 予測方法     予測は、対象事業の計画の内容をもとに、生息環境の消滅の有無および    改変の程度を把握するとともに、既存の類似事例、専門家の意見等を参考    に行う。   エ 留意事項     生息状況への影響については、生息する動物の種の構成の変化、生息域    および生息密度の変化ならびにこれらの変化に伴う間接的な影響について    も留意する。     また、地域とかかわりのある動物への影響の程度について留意する。 (3) 評価    地形・地質に準じる。 4 景観 (1) 調査   ア 調査項目     調査は、次の項目について行う。    (A) 景観の状況    (B) 主要景観地の分布および特性    (C) 主要展望地点の分布および眺望の特性   イ 調査地域     調査地域は、対象事業を実施する区域およびその周辺とし、影響の程度    について既存資料等を参考にあらかじめ想定して設定する。   ウ 調査方法     調査は、既存資料を収集、整理し、または既存資料により把握された概    況をもとに聞き取りおよび踏査等により行う。   エ 調査の期間および頻度     調査期間は、原則として1年間とし、景観の特性および利用状況を考慮    して調査時期および頻度を設定する。   オ 調査結果の整理および解析     調査結果の整理および解析は、次のとおりとする。    (A) 対象事業を実施する区域およびその周辺の景観の構成要素、雰囲気の     状況等を地形図、写真等をもとに解析    (B) 主要景観地の分布状況の図示および特性の解析    (C) 主要展望地点の分布状況の図示および眺望の特性の解析 (2) 予測   ア 予測項目     予測は、次の項目について行う。    (A) 主要景観地および主要展望地の改変の程度および内容    (B) 対象事業が、主要展望地点および周辺住民の日常の場からの眺望に与     える影響   イ 予測地域     予測地域の範囲は、調査地域の範囲に準じる。   ウ 予測方法    (A) 予測は、対象事業の計画の内容をもとに、主要景観地および主要展望     地点の消滅の有無および改変の程度を把握することにより行う。    (B) 主要展望地点および周辺住民の日常の場からの眺望に与える影響につ     いては、眺望の変化をできるかぎり視覚的に表現するモンタージュ写真、     完成予想図等により予測する。 (3) 評価   ア 評価の方法     地形・地質に準じる。   イ 環境保全目標     地形・地質に準じるほか、周辺の景観への影響を評価するにあたっては、    「周辺の景観との調和を保つ」などの環境保全目標を設定する。 5 野外レクリエーション地 (1) 調査   ア 調査項目     調査は、主要な野外レクリエーション地の分布および特性について行う。   イ 調査地域     調査地域は、対象事業を実施する区域およびその周辺とし、影響の程度    について既存資料等を参考にあらかじめ想定して設定する。   ウ 調査方法     調査は、既存資料を収集、整理し、または既存資料により把握された利    用地域の分布等をもとに聞き取りおよび踏査等により行う。   エ 調査の期間および頻度     調査期間は、原則として1年間とし、野外レクリエーション地の特性を    考慮して調査時期および頻度を設定する。     なお、既存資料のある場合には、過去5年間程度の利用状況を把握する。   オ 調査結果の整理および解析     調査結果の整理および解析は、次のとおりとする。    (A) 利用地域の分布状況の図示および利用状況の解析    (B) 地域の自然的特性の解析 (2) 予測   ア 予測項目     予測は、次の項目について行う。    (A) 野外レクリエーション利用地域の改変の程度および内容    (B) 利用地域の自然的特性および利用状況の変化の程度および内容   イ 予測方法    (A) 予測は、対象事業の計画の内容をもとに、利用地域の消滅の有無およ     び改変の程度を把握することにより行う。    (B) 自然的特性および利用状況の変化は、既存の類似事例、専門家の意見     等を参考に予測する。   ウ 予測地域     予測地域の範囲は、調査地域の範囲に準じる。 (3) 評価    地形・地質に準じる。 -------------------------------------------------------end----------------