池の大沢湿原は、大野市より南六呂師を経て、唐谷川の登山道を約3時間登った経ヶ岳の中腹(標高1,340m)にあり、周囲をブナの原生林やチシマザサで囲まれた面積約0.4haの湿原です。登山道は整備されていますが、かなりの急登で途中数箇所にロープがつけられています。そのため、比較的訪れる人も少なく、湿原の周辺は自然の状態で現在まで保存されてきました。
この湿原一帯は、約100万年前に経ヶ岳が噴火したときの火口原であり、その後、土砂や泥炭が積もって湿原に発達しました。以前は相当な沼が形成され、様々な湿原植物が繁茂していたと想像されます。しかし、残念なことに湿原の一部は、陸地化が著しく、湿原という感じはなくなってきています。
特に、登山道周辺は比較的乾燥し、草原へと変わりつつあります。ただ、湿原の中央付近には、小規模ながらミヤマホタルイ、ホソバミズゴケ群落が広がり、その西はヨシ群落となっています。さらに、県内では数少ないトクソウやシラヒゲソウが生育しており、湿原に花を添えています。また、ここは県内で初めてクロサンショウウオが確認されたところです。
所在地 | 大野市(経ヶ岳山頂下) |
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湿地タイプ | 低層湿原 |
面積 | 0.4ha |
標高 | 1,340m |
保護区指定 | 白山国立公園第3種特別地域 県指定鳥獣保護区 |