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赤兎山の湿原

あかうさぎやまのしつげん

赤兎山の湿原

県内ではただ一つの高層湿原として知られる赤池は、赤兎山(標高1,628m)の山頂より約1km東の高原(標高1,580m)にあります。夏になればニッコウキスゲは咲き乱れるこの高原からは、雄大な白山山系が一望でき年間を通して多くの登山客が訪れます。

高層湿原とは高地にある湿原という意味ではなく、湿原全体が周囲よりも高くなってドームのようになった状態の湿原です。赤沼のような標高の高いところでは、寒冷な環境のために植物の遺体が完全に分解せずに泥炭となります。この泥炭が堆積することによって、長い間にドーム状に盛り上がるのです。ドームの上にはオオミズゴケが一面に生育し、その中に食虫植物として有名なモウセンゴケ、白い可憐な花をつけるイワイチョウやイワショウブが生えています。ドームの周囲は、池塘と呼ばれる水深20cmほどの池になっていて、浅いところには、ミカヅキグサ、やや深いところにはミヤマホタルイの群落が形成され特有の自然景観となっています。

この湿原にはカオジロトンボ、ルリイトトンボ、ルリボシヤンマ、オオルリボシヤンマなどのトンボも生息しています。特に、ルリイトトンボとカオジロトンボは県内でも少ない高山性のトンボで、カオジロトンボは、ここが県内で唯一の生息地であるとともに国内の分布南西限にもなっているなど、赤池は学術的にも貴重な湿原です。


所在地大野市赤兎山
湿地タイプ高層湿原、雪田草原
面積1ha
標高1,580m
保護区指定白山国立公園第2種特別地域
県指定鳥獣保護区



本文出典 「ふるさと福井の自然−第6号−福井の湿原」(1992年3月 福井県自然保護センター)
湿地データ出典 「第5回自然環境保全基礎調査 湿地調査結果(1995年3月 環境省)」
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