アベサンショウウオの福井県内における生息確認について

 福井県では、自然環境の適切な保全、活用を図るため昭和60年度に作成した「みどりのデータバンク」の更新を主眼に自然環境管理計画策定事業を平成4年度から進めており、今般、同事業で実施してきた自然環境の基礎調査の結果の一部を取りまとめた「陸水生物及び両生類・爬虫類・陸産貝類目録」が作成されたところです。この中で、兵庫県及び京都府の一部のみに生息することが確認されていたアベサンショウウオが本県にも生息することが新たに確認されたのでお知らせします。
同種は、環境庁の作成したレッドリストで、絶滅危惧TA類に分類され「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」に基づく国内希少野生動植物種として指定されています。

1.アベサンショウウオについて
 本種は、これまでの調査により丹後半島を中心とする京都府及び兵庫県の一部のみに 生息することが確認されており、日本に生息するサンショウウオの中でも最も分布が狭 く個体数も少ないことから、環境庁の作成したレッドデータリストで、絶滅危惧TA類に掲載されている。このため、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」に基づく国内希少野生動植物種として指定され、保護されている。
体長8〜12cm、産卵は、冬季に湧水のある水たまりや溝で行われ、1月〜2月に 孵化した幼生は、えらをもち水中生活をするが、その後変態し肺呼吸をする成体となり 陸上生活を始める。成体は林中の落ち葉や倒木の下などで生活するため、人目に触れにくい。生態等についてはまだ未解明の部分が多い種と言われている。
2.確認の経緯等
 調査の委託先である福井県自然環境保全調査研究会両生・爬虫類等部会のメンバーにより、坂井郡内の丘陵地で県内産の既知の種とは異なる幼生、卵嚢が発見されたが、当初は種の特定に至らなかった。種同定のため昨年12月採取した成体を、同種に詳しい 京都大学松井教授に確認いただいた結果、最終的にアベサンショウウオであることが確認されたものである。  なお、本種は絶滅のおそれのある貴重種であり、違法採集等から本種を保護する必要があることから、生息確認箇所(1箇所)の詳細について明らかにすることは差し控えている。

平成10年9月8日
福井県県民生活部自然保護課

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