福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
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名   称 高浜町鎌倉の化石
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
高浜町:鎌倉(1175)
選定理由 古生物学的に重要な地点
区   分 A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの)
解   説  鎌倉は,新生代第三紀中新世の内浦層群(1,650 〜1,500 万年前)が分布し,極めて保存の良い化石を多産する.なかでも,Prototaria primigena は,アシカ科の新属新種として記載された珍しい化石である.また,産出する貝化石の中には色彩まで保存されている個体もあり,貝の微細な構造も観察できる.細粒砂岩中から68 種の貝化石が報告されている.中でも多産するのはミノイソシジミ(Hiatula minoensis ),Cyclinorbis lunulata ,イマボリアサリ(Nipponomarcia nakamuraiimaboriensis )などで潮下帯(潮間帯の下〜水深10m 程度)の浅い海で堆積したものと推定される.その他,サメの歯や甲殻類化石などを産出する.さらに,この細粒砂岩に整合に重なるシルト岩中からも保存の良い化石を多産する.代表的なものはオオキララガイモドキ(Acilasubmirabilis ),ワタナベアカガイ(Aradara watanabei ),ダイオウシラトリ(Macoma optiva )などで,浅海中部(水深50 〜100m )で堆積したものである.これだけ多くのかつ保存のよい化石を産出するのは日本でも数少なく,日本を代表する化石産地の一つである.
保護の現状
 と留意点
 鎌倉の貝化石の大部分は,1981 〜1983 年頃おこなわれた鎌倉の農道工事によって産出したもので,当時化石を産出した露頭の大部分は地層の風化が進み,現状ではほとんど化石を採集することができない.しかし,この化石産地は日本でも新第三系を代表する化石産地であり,将来にわたって保存管理していく必要がある.


 (図上のNO.203ポイント)


(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)