福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
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名   称 山中海岸の岩相変化と化石
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
高浜町:山中(1166)
選定理由 古生物学的に重要な地点
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  山中海岸においては新生代新第三紀中新世の内浦層群下(しも)累層の中部が連続的に分布している.海岸基部では,細礫混じりの細粒砂岩が発達し,ヤマトビカリヤ(Vicarya japonica )やカケハタアカガイ(Anadara (Hataiarca kakehataensis )などの内湾干潟に特徴的な貝化石を産出する.また,その上位に重なる頁岩との境界部付近には,カキの化石礁が存在する.ここからはムカシエンコウガニ(Carcinoplax antiqua )などの甲殻類化石も報告されている.さらに上位の頁岩からはキムライホタテ(Mizuhopecten kimurai ),オオハネガイ(Acesta goliath )などの二枚貝化石の他,キューバオオムガイ(Aturia cubaensis )や,サメの歯,単体サンゴなどの化石が産出する.近くでは,オオグソクムシ(Palaega undecimspinosa )も報告されている.このように,わずかな層準の違いで内湾干潟から浅海中・下部(水深100 〜200m )への環境の移り変わる様子が観察できる.このような1,600 〜1,550 万年前頃の海進は,日本各地で報告され,西黒沢海進と呼ばれている.山中海岸で記録されている環境変化もこのような海進の一つと考えられる.しかし,このような海進の様子を岩相と産出化石から連続的に観察できるところは少なく,重要である.
保護の現状
 と留意点
 若狭湾国定公園内である.本地点は海岸沿いであるので好露頭がみられる.このように西黒沢海進の様子を岩相と産出化石から連続的に観察できるところは,日本では数少なく大変貴重であり,今後とも残していくべき露頭である.


 (図上のNO.200ポイント)


(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)