福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
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名   称 高浜町神野海岸の十字岩脈
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
高浜町:神野(1166)
選定理由 その他地質学的に貴重な地点
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  高浜町の神野海岸には1,000 〜1,550 万年前の下(しも)累層神野浦頁岩層下部の黒色頁岩層が分布している.黒色頁岩層は,浅海下部から漸深海(水深100 〜400m )にかけて生息する貝化石を産出することから,中新世初期の海進(西黒沢海進初期)の堆積物と考えられる.この時代の黒色頁岩中にはしばしば砕屑岩脈が発達するが,これまであまり報告されていない.神野海岸に露出する十字岩脈も砕屑岩脈の一種である.問題の露頭では,交差する2 本の岩脈のうち一つは西に15 ゜〜20 ゜前後傾斜しており(A ),もう一つはほぼ垂直な砕屑岩脈(B )である.前者と同様な走向・傾斜を持つ岩脈はこの露頭の中にあと3 つ以上はあるが1 本のみが数十cm 以上の厚さをもつのに対して他の岩脈は数cm 前後と薄いので遠くからみると十字架の様にみえる.岩脈を構成している岩石はどちらも淘汰不良の砂岩で,中には礫や泥岩の偽礫なども含まれている.また実際の走向傾斜を測定してみると両者は傾斜は異なるが走向はほぼ同じである.自然界の偶然によってできた特異な岩脈で,大変珍しいものと考えられる.
保護の現状
 と留意点
 若狭湾国定公園内に位置する.前回のデータバンクの調査時期と比較すると露頭が全体に風化し,岩脈がはっきりしなくなってきている.


 (図上のNO.199ポイント)


(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)