福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
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名   称 名田庄村奥坂本・小松の層状チャート
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
名田庄村:奥坂本,小松(1145)
選定理由 特異な地質構造が見られる地点
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  丹波帯の含緑色岩相に挟まれる層状チャートで,放散虫年代が決まっている数少ない露頭である.奥坂本のチャートは,見かけの厚さが厚い灰青緑色(一部は黒色)層状チャートである.単層の厚さは5 〜6cm であり,チャート層とチャート層との間に薄く頁岩層を挟む.本チャートの北側や南側には“根無し異地性緑色岩体”すなわち周囲の地層の中に含まれる大きな緑色岩の礫が産出することから,本チャートの岩体も同じような“根無し異地性岩体”と考えられる.一般にこのような産状のチャートからは二畳紀や三畳紀からジュラ紀最前期にかけての放散虫化石を産することが多い.Nakae (1992 )によれば,チャートの周囲の頁岩や珪質頁岩からはジュラ紀中期の放散虫化石が含まれている.一方,小松のチャートは,淡い灰青緑色の層状チャートで,側方への連続性はよくない.Nakae (1992 )は,砂防ダム付近の露頭から,二畳紀の放散虫化石,そして周囲の頁岩や珪質頁岩からはジュラ紀中期の放散虫化石を見い出している.このことから,本チャート岩体も“根無し異地性岩体”と考えられる.この付近の地質は,千枚岩質な黒色頁岩の基質中に,チャート・砂岩・緑色岩・石灰岩など異なる時代に異なる環境で堆積した地層や岩石が雑多に集まっている.かつては,石灰岩に含まれる紡錘虫の示す年代により,古生層が分布しているとされてきた地域であるが,近年,チャート・珪質頁岩・頁岩からの放散虫化石の発見により,中生代ジュラ紀の地層が広く分布していることが明らかになっている.
保護の現状
 と留意点
 大きな人為的改変はないと思われる.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)