福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
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名   称 蘇洞門の断崖
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
小浜市:蘇洞門(1056,1057,1071,1072,1084)
選定理由 特異な地質構造が見られる地点,地形形成史から見て典型的な地形
区   分 A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの)
解   説  エンゼルライン(有料道路)からよく観察できるように,内外海半島の全体的地形は,半島の最高峰久須夜ケ岳から北側に向かって急激に高度が下がる.海岸部ではほぼ垂直な断崖が発達する.この急崖が発達する海岸部を蘇洞門(そとも)海岸という.奇岩・洞窟が多く,観光名所となっているが,陸路は整備されていない.蘇洞門は花崗岩が作る断崖であり,花崗岩中に発達する節理に沿って侵食が進み,蘇洞門の大門・小門として知られる大岩,七蛇鼻のような奇岩,白糸の滝のような断崖から流れ落ちる滝などができている.柱状節理に沿った侵食・崩壊の繰り返しによりできた海食洞やトンネルを持った門状の岩体も発達する.内外海半島に発達しているこの白い花崗岩は,岩石学的には黒雲母花崗岩に区分される.花崗岩は超丹波帯・丹波帯の中・古生代堆積岩に接触変成作用を与えているので,中生代(白亜紀)末期から新生代(古第三紀)初期に貫入したと考えられている,いわゆる“新期花崗岩類”であろう.蘇洞門では,溶融状態にあった花崗岩質マグマが貫入した際に,周りのマグマの壁の岩石を取り込んだ岩片(=ゼノリス,=捕獲岩)が含まれている.これらの岩片は黒色を呈している.
保護の現状
 と留意点
 若狭湾国定公園第1 種特別地域及び天然記念物に指定されている.現状では,保全状態は良好である.豪壮な景観をした海岸美はすばらしく,自然の芸術と言えるだけに今後も十分な保護管理が必要である.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)