福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
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名   称 美浜町佐田の海岸低位段丘の海食
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
美浜町:佐田(920,921)
選定理由 地形形成史から見て典型的な地形
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  美浜町佐田の海岸では,高さ5m 程の低い崖が海岸に平行に走っている.この崖は低位段丘が海食を受け,陸側へ後退して陸側に出現したもので,崖の麓(足下)に現海岸の砂や礫がたまっている.磯浜の幅は10m 程度である.この低位段丘は扇状地性の海成段丘であり,このことは,海成低位段丘形成後に海水面が変動し,段丘を削り始めたことを示す.この地域の地盤の沈降・隆起(リアス式海岸の形成とその後の変動)の証拠となる.佐田の低位段丘面は敦賀半島周辺では最大の面積を有し,海岸線にまで張り出して小段丘崖を形成し,北側の岩浜海岸と南側の砂浜海岸に囲まれた地形景観は素晴らしい.段丘は海岸に向かって全体的には緩やかな傾きをなしているが,耕地として人為的な地形面の改変が行われてきている.沖積扇状地の堆積物が山麓に近いところの平坦面上を被覆しているが,大半は海岸における旧扇状地性の低位段丘とみられ,扇状地砂礫層からなっている.この段丘面は敦賀平野の道の口層に対比される可能性がある.この海成低位段丘の背面(陸側)には湿地が形成されており,段丘と後背湿地の組み合わせが残っている数少ない例である.
保護の現状
 と留意点
 海岸線の後背地に広がる段丘面は,この地域では広い面積を有し,海からの眺望は素晴らしい.しかし,近年表層の侵食の進行や人為的な改変によって地形の変化も進展している.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)