福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
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名   称 立石岬の海食棚・海食崖・節理
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
敦賀市:立石,立石岬(888)
選定理由 地形形成史から見て典型的な地形
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  敦賀半島の先端立石岬から,立石集落を経て明神崎に至る若狭湾岸には,比高差10m 以上に達する急崖の海食崖と,その下部(崖麓)の岩石海岸の平坦な波食棚が広がっている.この波食棚は立石集落付近では,やや不明確となり,この辺たりでは花崗岩の石柱が海岸線に点在している.このように,一部には波食棚が不明確になる所もあるが,この東岸には波食棚がおよそ30m の幅を有して広がっている.この海食崖と岩石海岸の平坦面について,岡田(1978 )は,この両者の傾斜変換点は,縄文海進時の旧汀線と述べている.県内の海岸線に標高5 ないし6m 付近に海食洞や,波浪による侵食崖が存在し,敦賀半島の周囲にもこの現象はいたる所で見ることができる.立石岬は,日本海に突出する三角形の頂点を持つ独特の地形をなしているが,この地形の形成原因もおそらく若狭湾の沈降運動に関係するものと思われる.岬の頂点には花崗岩の方形節理に富む石柱や露岩が点在している.海岸線には巨大な転石が平坦な波食棚の上に散在している.岬の海岸は緩やか傾斜をなしていて,高度3 ないし5m に平坦な面が見られる.また,若狭湾に接する半島の陸域に段丘面が所々に存在する様子が展望できる.岬の節理群は,おおよそ南北の走向を示し高角度で西方に傾斜をなしている.海岸の後背地の山地は,花崗岩の露岩が表出し至る所で崩落した巨岩と,剥離された表層が見られる.しばしば,半花崗岩や花崗斑岩の岩脈が浦底湾に並行する状態で走っている.立石岬の灯台は明治14 年(1881 年)に建造され,標高120m のところに立つ日本最初の洋式灯台である.
保護の現状
 と留意点
 若狭湾に突き出た半島の先端には,小規模ながら侵食棚と節理の発達した岩柱が起立した海岸線となっている.地形的には,東西の合掌性の三角形をなし,後背地の山麓は,崩壊した斜面からなっているが,美しい景観をなしている.自然に満たされた所であり現状維持が大切である.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)