福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
[先頭ページ] [前のページ] [次のページ]
名   称 敦賀湾東岸の扇状地・扇状地様台地・後背湿地
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
敦賀市:横浜,杉津,阿曽,五幡(761,762,763,764,800,801,802)
選定理由 地形形成史から見て典型的な地形
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  甲楽城断層以西に広がる若狭湾は,沈降性のリアス式海岸であり,その副次湾である敦賀湾にも沈水した山地が特異な地形をつくっている.敦賀湾の周囲に残された溺れ谷や離れ島,さらには,後背湿地や扇状地も,この運動によって造られた地形である.気比の松原から,金ケ崎に至る浜堤群の背後に封じられた湿地や沼は現在改変されて,往時の地形を認めることはできないが,その一部は近年まで井の口川河口付近には存在した.かつてはこのような地形は敦賀湾の各地域に存在していた.五幡(いずはた)の湿地帯も,現湿地帯の前面に発達した浜堤砂によって封じられ,現在湿地帯となっているのである.ここには葦やガマが繁茂し,耕地としては使用されていない.湿地帯と海と通じる小川には,ウナギが産卵に遡上する.敦賀湾の東部海岸に発達する扇状地は,杉津,阿曽,五幡,そして田結(たい)であり,ほとんどが改変されて耕地となっている.なかでも杉津扇状地は規模も大きく,扇状地面には二傾斜段が認められ,新旧二つの扇状地形成時期が存在することを示す.一つは洪積扇状地であり,その上部を沖積扇状地堆積物が覆う.沖積・洪積両扇状地の堆積物は,氾濫原および崩壊性の様相を帯びている.旧扇状地は下位の扇端部分に分布し,沖積段丘と結合するような形態をとる.改変された扇状地面には,石垣積みの田畑が段状に連なって,扇状地特有の地形をなしている.このように,東岸の扇状地には扇頂部に巨大礫が集約する袋状の平坦面,さらに,扇状地を埋積する巨大礫群,個々の舌状地が集まって複合的な扇状地形を構成する特性がある.杉津扇状地堆積物の岩種は,花崗閃緑岩,礫岩,中・古生層の砂岩と頁岩,角閃石斑岩等で,その他の扇状地群は中・古生層の岩類である.
保護の現状
 と留意点
 敦賀湾東部の扇状地を一括して述べてきたが,扇状地の先端は,杉津を除いてほとんどが海岸線と接している.扇状地を耕地にするために石積みの田畑は,美しい幾何学模様となりこの地方の景観である.敦賀湾の背景と調和する海岸線の保護は重要である.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)