福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
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名   称 鉢伏山の花崗岩と元比田礫岩
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
敦賀市南越前町(旧今庄町):鉢伏山,元比田,大桐(722,723,724,761,762,763)
選定理由 希少な鉱物・岩石を産出する地点,その他地質学的に貴重な地点
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  敦賀湾東岸の鉢伏山周辺に分布する花崗(閃緑)岩類は,岩体の南側では周囲の中生層に接触変成作用を与えている.岩体の北側は山中断層により切断されている.1990 年以前には,この岩体の貫入時期は中生層に貫入する中部地方の花崗岩の年代と同じとみなされ,白亜紀〜古第三紀の新期花崗岩類と考えられてきた.しかし,脇田他(1992 )は20 万分の1 地質図「岐阜」を編纂するに当たり,地質調査所で測定した年代資料(未公表)を採用し,中新世に位置づけた.中新世の花崗岩類としては他に能郷白山の花崗閃緑岩,荒島岳の石英閃緑岩が知られている.いずれも閃緑岩質である.鉢伏山の西に位置する敦賀市元比田には扇状地性斜面が発達する.扇状地性堆積物には花崗岩礫や礫岩の礫が多量に含まれている(139 ).花崗岩礫の供給地としては鉢伏山の花崗岩が考えられるが,礫岩礫の供給地は不明であった.最近今庄町と敦賀市との境界の尾根に狭く礫岩層が露出していることが判明した.かつては,礫岩層はこのあたりに広く分布していたのであろう.元比田礫岩と名付けられたこの礫岩層は,弱く熱変成を受けており,このことは鉢伏山の花崗閃緑岩が熱源であったと考えられる.尾根筋のこの礫岩については今後研究を進めなければならないものであり,重要である.
保護の現状
 と留意点
 山中林道に沿って小規模に露出しているが,露頭の除去や吹き付け等はできるだけ避け,露頭として維持されることが望まれる.すでに一部の露頭はコンクリート吹き付けが進んでいる.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)