福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
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名   称 杉津の陸ケイ島・孤立丘陵地
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
敦賀市:杉津,岡崎(761,762,763,800,801)
選定理由 典型的な構造地形,地形形成史から見て典型的な地形
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  敦賀湾の東部海岸線(東浦海岸)には,敦賀湾に突出する崎がいくつか存在する.その中でも杉津の岡崎は,標高約80m の孤立した丘陵小島であり,敦賀湾東部海岸線の中でも突出している.過去には離れ島として存在し,陸側には内海があった.陸側と最も接近していた所が現在の杉津集落付近である.ここに湾岸の潮流により砂州が発達して陸と繋がれた.すなわち,火成岩からなる岡崎の孤立丘に向けて,大比田から横浜および杉津付近より,沿岸流によって土砂が運搬され,陸地と対岸の孤立丘とが連結された地形となっている.このような地形を一般に陸ケイ島と呼び,特異な地形を呈している.この砂州の形成時は不明であるが,洲は浜堤状の形態が推定できることから,湾内の浜堤形成時とおおよそ同時期と思われ,縄文中期以降の海退期と考えられる.すなわち,沖積世である.杉津の陸ケイ島形成の場合,砂・泥・粘土によって孤立丘と連結され,その後海岸線に沿って浜堤が形成されて,現在の地形が形成された.孤立丘陵地の地質は,陸側の海食崖に見られる火成岩の貫入によって変質された中生層起源の熱変成岩と,粗粒な結晶からなる石英角閃ヒン岩,これに同質なヒン岩類の岩脈,さらに,これらに貫入する安山岩およびその火山砕屑岩からなる.火成岩類の地質年代は中新世と思われる.孤立丘陵山地の海岸は,殆どが海食崖で,陸ケイ島の砂州とその南側の砂浜海岸は,美しい花崗岩質由来の石英砂からなっている.過去に開放型の内湾だった低地帯の前面に広がる海岸は,礫浜で径が10 〜20 pのヒン岩および中・古生層の砂岩,花崗岩の礫で構成され,見事に偏平な円礫が海岸を埋め尽くしている.これらの地形を高所から見ると,過去の離島と埋積湾,さらには,現在の陸ケイ島の全景と扇状地は共に絶景な地形として感動的である.
保護の現状
 と留意点
 県内における砂州の発達によって造られた陸ケイ島は数が少なく,貴重な地形と言える.砂州の砂浜と切り立つ海食崖,これらを構成する岩相は,第三紀初期の花崗岩と,花崗岩の貫入によって変成された中・古生層と貫入岩である.国道8 号線や北陸道から眺望できる景観は最高に素晴らしい.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)