福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
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名   称 甲楽断層に沿う平坦地形と風窓
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
南越前町(旧河野村):河内,菅谷,糠(758,759,760,797,798,799)
選定理由 典型的な構造地形,地形形成史から見て典型的な地形
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  南条山地西部には,過去の侵食輪廻に属する平坦面が残存する.その高度は100 〜300m ほどであり,周囲の山地より一段低くなっている.平坦面が東方への傾動・隆起運動したため,分水嶺は著しく海岸近くに位置し,そのため河川は分水嶺から一旦東方へ流れ,大きく廻って海に注いでいる.また傾動のため河川勾配が緩くなることにより形成された山間湿地も多数分布している.西方,海岸に臨むところには,甲楽城断層による見事な断層海岸が続いている(136 ).断層崖上には,断層によって上流部が奪われた旧谷底低地に相当するいくつかの風隙あるいは風窓(wind gap )がみられる.この断層崖の背後の山地には,糠川・河野川及びこれらの支流によってするどく侵食された新鮮な峡谷がみられる.これは断層運動によって南条山地の隆起し,「侵食の復活」が起こったためと考えられる.河野川は,その上流河内からさらに東方の菅谷(すげんたん)にかけて,南側に複数の支流を持っている.その支流はほぼ南北方向である.支流の勾配は大変緩く,上流の谷にしては川幅の割に奥深い.通常の河川は最上流部に刻頭川頂を持つのであるが,これらの支流にはそれがなく,そのまま敦賀湾に出てしまう(風窓という).すなわち支流はもっと南まで続いていたのであるが,ある時期に途中で切断され,上流部が,多分南東方向に,移動してしまったからであろう.この地域の尾根筋は大変緩やかで,尾根筋から判断される古地形面は大変平坦である.数10 万年前には大変平坦な地形があり,そこを緩やかに河野川の支流が流れていたが,ある時期に現在の大谷辺りの海岸に平行に巨大断層が発生し,上流部が失われたと,解釈される.
保護の現状
 と留意点
 この準平原地形はこの地域全体に及ぶ広い範囲の地形の特徴であり,大規模な地形改変を行わなければ保存については問題ない.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)