福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
[先頭ページ] [前のページ] [次のページ]
名   称 甲楽城断層
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
南越前町(旧河野村):河野海岸(757,758,759,760,796,797,798,799,832)
選定理由 典型的な構造地形,地形形成史から見て典型的な地形
区   分 A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの)
解   説  敦賀湾の北東側,越前町米ノから河野村大谷までの北西−
南東方向にのびる直線状の海岸線は,古くから日本における最も典型的な断層海岸として有名である.地形的には海岸沿いに急斜面が連続しており,断層崖の形状を示す.断層崖は,海面からの比高250〜350m の急崖となっており,上部はやや開析されているが,下部はきわめて新鮮な断層崖の形状を示している.断層崖上には,断層によって上流部が奪われた旧谷底低地に相当するいくつかの風隙(風窓)(wind gap )がみられる(138 ).この断層崖の背後の山地には,糠川・河野川及びこれらの支流によってするどく侵食された新鮮な峡谷がみられる.これは断層運動によって南条山地が隆起し,「侵食の復活」が起こったためと考えられる.甲楽城断層の活動は,海成中位段丘が数10m の高さに分布することから,1,000 年あたり0.6 〜0.7m という平均隆起速度が推定されている.断層の横ずれ成分についてはよく分かっていない.断層の活動時期は海成中位段丘から求められた隆起速度が過去においても一定であったとすると,断層崖の高さは250 〜350m 程度であるから,40 〜60 万年前から活動しているということになる.断層の長さは直線的な海岸線の長さから16km 程度とされているが,さらに北に伸びることが指摘されている.なお活断層研究会(1991 )は甲楽城断層を確実度U(活断層であると推定されるもの)活動度B (平均変位速度が0.1m/1,000 年以上,1m/1,000 年未満),長さ16km の東側隆起の活断層としている.
保護の現状
 と留意点
 断層地形はこの地域全体に及ぶものであり,失われる心配はない.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)