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名 称 |
越前海岸黒崎の礫岩と地形 | ||
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学 名 |
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分 類 1 |
地形地質 | ||
分 類 2 |
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位 置 (2kmメッシュ番号) |
越前町(旧越前町):黒崎(909) | ||
選定理由 |
その他地質学的に貴重な地点,地形形成史から見て典型的な地形 | ||
区 分 |
B(県レベルで重要なもの) | ||
解 説 |
越前岬から黒崎にかけての岩石海岸には,離水したノッチ,ベンチがいたるところに発達する.ノッチはおもに波の侵食によって海食崖の基部に作られる凹みである.またベンチは海食崖の基部に発達する露岩からなる平坦地であり,一般に潮間帯に形成される.この地域においては,現在,海面付近で形成されつつあるノッチ,ベンチもみられるが,離水したものも数多く認められる.特に黒崎付近の離水したノッチ,ベンチの組み合わせは見事であり,小樟港北側では,海面から5m ,12m ,18m 付近の3 段にわたって存在する.これらの離水したノッチ,ベンチは,かつてはこの高さに海面があったことを示しており,完新世においても越前海岸が隆起しているといえる.またこの付近の海成低位段丘の高度は5m 前後であり,約5m の高さのベンチ形成と段丘形成がほぼ同時期であるものと思われる.これらのノッチ,ベンチ,完新世段丘の正確な形成年代については,現在のところ,まだ分かっていない.次に地層について述べる.丹生山地の第三紀層は,最下部の安山岩とそれを被覆する砂岩,泥岩から構成される.安山岩は,多くの場所で,第三紀層の基盤である花崗岩や流紋岩,石英安山岩(西谷安山岩)を直接不整合に被覆している.しかし,黒崎では石英安山岩を直接被覆して礫岩層が分布する.巨礫や大礫からなる構成礫の多くは石英安山岩と安山岩であり,基盤の西谷流紋岩から直接供給されていると判断される.この礫岩の堆積構造はたいへん荒々しい地域,例えば,波浪による運搬,再堆積作用が著しい海岸に堆積したことを示す.丹生山地では特異な堆積環境であり,今後の研究に貴重である. | ||
保護の現状 と留意点 |
このような何段にも発達し,しかも保存状態の良い離水したノッチ,ベンチは全国的にみてもまれであり,ぜひとも現状のまま,保護していく必要がある.また,海岸露頭であり,大変地層の露出状態がよい.そのため,研究用のみならず,教育用に最適な露頭である.幸い当分の間,人為的な改変が行われることはないものと思われる.
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(C) 福井県自然保護課 出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行) |