福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
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名   称 越前海岸玉川地域の急崖斜面
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
越前町(旧越前町):玉川(931)
選定理由 その他地質学的に貴重な地点
区   分 A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの)
解   説  現在上昇中の越前海岸においても,越前岬と玉川地区はもっとも上昇速度が大きく,海成高位段丘が標高100m を越えるところまで上昇している.上昇しながら,海食を受けているため,高さ100m を越える急崖が海岸に沿って発達している.海食作用は急崖の麓を削剥するため,オーバハング(崖の根元より崖の上部が海に突き出すこと)になっている.玉川地区の海岸には,至る所でオーバハングが発達しており,地形的に大変興味深い.この地区における規模の大きいオーバハングは約5,000 年前の縄文海進により形成されたもので,現海面から約5m 〜10m 高いところに位置している.最近の研究により,この地域は現在も著しく上昇していることが判明している.玉川地区には中新世の凝灰岩質堆積岩(砂岩,泥岩,礫岩)が分布している.地質構造的には受け盤構造になっているが,岩石そのものがあまり堅固ではないことと,オーバハング構造のため,崩落がしばしば発生している.すなわち,海食,オーバハング,急崖形成,地盤上昇の4 つのプロセスが並行して進行している地域である.この地区の急崖は吹き付けがされているが,1989 年の崩落により出現した崖はそのまま残されている.
保護の現状
 と留意点
 急崖やオーバハングの観察に最適な地点である.また,崩落壁等の経年変化の研究にもすぐれた素材を提供する.むやみに手を加えないことが望まれる.


 (図上のNO.119ポイント)


(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)