福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
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名   称 越前海岸鳥糞岩と呼鳥門
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
越前町(旧越前町):左右(930)
選定理由 その他地質学的に貴重な地点,地形形成史から見て典型的な地形
区   分 A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの)
解   説  中新世の国見累層最下部の礫岩からなる巨崖であり,越前海岸の中でも景勝の地として有名である.礫岩は厚さ10m 程度の堆積セットの組合せからなる.円磨度の良い中礫ないし巨礫から構成されるクラストサポート礫岩(礫同士が接触し互いに支え合っている礫岩)である.堆積セットの上部に砂岩層を伴うこともあるが,多くは下位にあったと思われる砂岩層を削り込んで次のセットの礫岩が堆積している.そのため,セットとセットの境界は下位の礫岩層が級化してやや細粒になって,引き続き上位の粗礫が重なることで区別されることが多い.礫種としては,下位の糸生累層起源の安山岩および石英安山岩礫が圧倒的に多い.この礫岩にはしばしば安山岩が貫入している.呼鳥門は越前加賀海岸国定公園における観光の目玉である.呼鳥門を作っている岩石は中新世の左右(そう)礫岩と名付けられた礫岩である.すぐ南側の鳥糞岩も同じ礫岩で構成されており,高さ100m 程垂直に切り立った崖である.両方とも今にも崩れそうな様子が感じられる.岩石が火山性の礫岩(安山岩礫)であるが,礫と礫との接触状況や,礫とマトリックスとの接触状況がゆるく,さらに,岩石自体が風化に弱いため,崖の一部が固まりとなって,あるいは礫が個々に落下することがある.そのため,呼鳥門のトンネルの内側には落石防止のトンネルが設置されている.呼鳥門や鳥糞岩以外にも,付近一帯に多数の急崖や海食洞があり,越前海岸の代表的な景観を醸し出している.この地域の植生は急峻な斜面の上の,土壌がほとんどない特殊な環境で生育している.僅かな土壌地を選んで,越前水仙が栽培されているので,自然景観と併せて美しい植物を楽しむことができる.
保護の現状
 と留意点
 越前加賀海岸国定公園内で保護されている.観光名所としても重要であるが,落下災害を防ぐためには多少手を入れざるを得ないであろう.岩石が脆くなっているので,落盤事故等に厳重な注意が必要.


 (図上のNO.116ポイント)


(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)