福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
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名   称 織田の河岸段丘
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
越前町(旧織田町):織田(824,825,826,851,852,853)
選定理由 地形形成史から見て典型的な地形
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  織田から小曽原にかけての地域は,丹生山地でもっとも典型的に河岸段丘が発達している地域である.織田付近の段丘は高位よりD1 段丘,D2 段丘,D3 段丘およびD2 段丘を覆う旧扇状地に分けられている.D1 段丘は開析が進み,段丘面はほとんど残されていない.D1 段丘の離水年代は30 〜40 万年前と推定されている.D2 段丘はこの地域で最も広く分布する段丘であり,ほとんど開析されていない平坦な段丘面が広く残っている.離水年代は約5 万年前である.D3 段丘は天王川沿いに小規模に見られるもっとも低位の段丘である.織田の市街地がのっている段丘は,旧天王川の氾濫原が段丘化したもので,中位段丘である.段丘面の標高は120m で,かなり平坦な地形面である.また開析はあまり進んでおらず,段丘面は明瞭である.また低位段丘との間は明瞭な崖で境されているところが多い.堆積物は,チャート礫を主とし花崗岩・流紋岩からなり全体に新鮮な礫層からなる.礫層の厚さは,平均3 〜4m で比較的薄い.段丘の表土には広域テフラである大山倉吉テフラが含まれていることから,この段丘面は5 万年以前の地形であると考えられる.現在の河川系は,小曽原の南から北流してきた天王川に,織田付近から南流する小河川が合流し,東へと向きを変え,福武低地へと注いでいる.しかしD1 段丘,D2 段丘の分布はこの河川系では形成できない.段丘分布,段丘堆積物中に含まれているチャート礫の種類・分布,および礫の配列からすると,現在とはまったく異なる古河川系が復元される.織田地域ではD1 段丘,D2 段丘形成時は小曽原南方から北流してきた古天王川が織田を通り,さらに北へと流れているが,D3 段丘形成時には織田の南,下河原付近で東に流路を変えてしまい,現在の天王川の流路となった.そして織田付近では南に流れる小河川が古天王川の氾濫原を下刻し,現在の地形が形成されたと考えられている.宮崎村江波周辺に分布する段丘は低位段丘で,天王川流域に小規模に分布し,全体的に平坦で,しかもほとんど侵食されていない.段丘面の標高は約100m で,堆積物はチャ−ト礫や花崗岩礫が混じる砂礫層からなる.チャ−ト礫は,中位段丘から洗い出されて堆積したものである.この段丘は,現在の天王川によって形成された.段丘堆積物中に大山倉吉軽石テフラが挟まれていることから約5万年前の段丘である.
保護の現状
 と留意点
 河岸段丘はこの地域に広く分布しており,失われる心配は少ないが,大規模開発においては注意を要する.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)