福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
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名   称 村国山の花崗閃緑岩、岩脈、捕獲岩
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
武生市:村国山(635)
選定理由 希少な鉱物・岩石を産出する地点,その他地質学的に貴重な地点,地形形成史から見て典型的な地形
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  武生市村国山(標高239m )は福武低地に散在する孤立丘の中でも最も大規模な容積を有する.西方の山麓は日野川に接し,南方は低地を経て日野山麓に達する.村国山の周辺は,一部に低位段丘堆積物が残存するものの,山麓のほとんどは沖積低地からそびえ立っている.村国山の地質は,古期(船津型)花崗岩類と呼ばれるものが中心であり,村国山の北部周辺では,角閃石花崗岩,閃緑岩,角閃石石英閃緑岩,さらには岩脈状捕獲岩や角閃石花崗岩中に閃緑岩質岩類の角状のパッチを含んだ多様な岩種で構成された岩相である.風化が激しく進展したところでは,マサ土となっている.武生市村国山の土台部を構成する岩石は花崗閃緑岩であるが,それに貫入した岩脈として露出したり,局部的には花崗閃緑岩を被覆する安山岩も存在する.これとは別に,花崗閃緑岩中に捕獲されている閃緑岩も存在する.村国山の遊歩道やドライブウェイには所々これらの関係がよく観察できる露頭が存在する.村国山は飛騨帯がもっとも美濃帯の接近する所に位置しており,中部地方の地帯構造を解明するための研究のみならず教育用にも優れた素材を提供する.村国山周辺の地域には,さらにこの村国山花崗岩類を被覆し,かつ日野山や鬼ケ岳をはじめとして,鯖武盆地の南部孤立丘に分布する濃飛流紋岩類が広く発達している.村国山は,日野川とともに武生市民の憩いの場であり,山頂から眺望される鯖武盆地は,すばらしい.しかし,岩相の内部崩壊が激しいので,山道等の開発には注意を要する.
保護の現状
 と留意点
 吉野瀬川断層にそって分布する村国山の花崗岩は,いわゆる船津型花崗岩と呼ばれるもので,ある意味では,福井県の地質構成では重要な役割をはたしている岩体でもある.場所によっては風化が著しく,さらに節理の発達などもあり,岩石崩落などが予想されるので,注意が必要である.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)