福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
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名   称 糸生の活断層露頭
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
越前町(旧朝日町):糸生(786)
選定理由 特異な地質構造が見られる地点,地形形成史から見て典型的な地形
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  下糸生の西方には,ほぼ南北にのびる東落ちの活断層が通っている.この活断層は活断層研究会(1991 )では活断層の疑いのあるリニアメントとして記されているものであり,岡島・山本(1995 )はこの断層を境としてD2 段丘高度が西側で80 〜90m ,東側で60 〜70m と変化していることを明らかにしている.この断層沿いに活断層露頭が見出された.場所は朝日西小学校南側の工事現場であり,斜面保護のため,斜面を削った際に現れたものである.露頭では断層東側には段丘礫層が,西側には基盤を構成する凝灰角礫岩が露出しており,断層近傍では幅約1m にわたって破砕され,粘土化している.断層面の走向はN10 〜15 ゜W ,傾斜は45 〜50 ゜W であり,露頭では西側の基盤が東側の段丘礫層上へのし上げた逆断層となっている.断層による変位は,断層東側で基盤が確認できないこと,断層西側で基盤を覆う段丘礫層が確認できないことからはっきりしないが,露頭の高さが25m あり,少なくともこれだけ垂直方向に変位しているといえる.平均変位速度はD2 段丘の年代を約5 万年前,変位を25m とすると,0.5m/1,000 年となり,B 級の活断層となる.横ずれ成分については不明である.
保護の現状
 と留意点
 活断層露頭は斜面保護の工事の際現れた露頭である.またこの断層沿いの変位地形は地域全体に及ぶものであり,失われる心配は少ないが,大規模開発を行う際には注意が必要である.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)