福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
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名   称 鮎川の活断層露頭
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
福井市:鮎川(843)
選定理由 特異な地質構造が見られる地点
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  越前海岸沿いには海成段丘が断続的に発達している.段丘面は一般に平坦で緩く海側に傾斜しているが,断層運動により段丘面上に山側へ傾斜する小急崖や,海側で高くなる段丘面が形成されることもある.鮎川付近においては,所々で山側に傾斜する小急崖が段丘面上に認められ,海側の段丘面高度が小急崖を境に10m 以上高くなっている.また鞍部や谷の直線的な配置も認められる.このような地形的特徴から,太田(1973 )は2 つの活断層と4 つの活断層の疑いのあるリニアメントを示している.これらの活断層は活断層研究会(1991 )では鮎川断層群として紹介されており,確実度T,その活動度はB 〜C と示されている.活断層露頭が見られるのは,鮎川の北東約1km ,海成段丘基部の農道脇の切通しである.太田(1973 )は南北走向のリニアメント(推定断層)をこの露頭の西数10m のところを通している.この付近は海成段丘面が最も高くなっており,段丘面は林となっている.農道脇の露頭には基盤岩である国見累層上部のK9 凝灰岩層,およびこれを覆う円礫層,褐色土壌が観察される.断層面は西に傾斜しており,断層西側は凝灰岩層およびこれを覆う円礫層,断層東側は褐色土壌となっている.褐色土壌中には,多くの角閃石,輝石の斑晶,火山ガラスが含まれている.これらは海成段丘離水後,段丘上に降り積もった大山倉吉軽石層,姶良(あいら)Tn 火山灰等の火山灰が風化した土壌である.すなわちこの断層を境として西側がせりあがり,基盤岩である凝灰岩と段丘を覆う火山灰質土壌が接するようになったと考えられる.断層による変位は断層東側で基盤が確認できないためはっきりしないが,露頭の観察からすると少なくとも3m はあると考えられる.大山倉吉軽石層の噴出年代は約5 万年前とされており,断層による平均変位速度は,5 万年間に3m 変位したとして0.06m/1,000 年,すなわちC 級の活断層である.
保護の現状
 と留意点
 活断層露頭が観察されることは希であり,今後,ぜひとも保護していく必要があると思われる.


 (図上のNO.95ポイント)


(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)