福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
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名   称 福井市三本木の貝化石
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
福井市:国見町(816)
選定理由 古生物学的に重要な地点
区   分 A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの)
解   説  福井市三本木に分布する凝灰質な砂質泥岩からは多くの化石が産出する.この砂質泥岩の堆積構造は堆積後に生息していた生物による擾乱(バイオターベーション)により破壊され残っていない.潮間帯干潟に特徴的なヨコヤマビカリア(Vicarya yokoyamai )が生息の場所にそのまま埋没した状態で多産する.ヨコヤマビカリヤの殻の一部は溶食しており,当時の干潟が現在のマングローブ同様に酸性環境下にあったものと推定される.その他,ヤツオヘナタリ(Cerithideopsilla yatsuoensis )やホリナガミミエガイ(Striarca elongata ),イズモハシノシタ(Cultellus izumoensis )などが生息していた場所にそのまま埋没した状態で産出する.また,カケハタアカガイ(Anadara Hataiarca kakehataensis )やオキシジミ(Cyclina japonica )などの二枚貝を含まないことも大きな特徴の一つである.カケハタアカガイやオキシジミは干潟から潮下帯に生息する種でこれらが産出しないことは干潟の中でもやや陸に近い位置を占めていたことを示している.また,特筆すべき種としてマングローブ沼の特徴種であるマングローブシジミ(Geloina stachi )が準現地性(生息地から僅かに運ばれ埋没した状態)で産出する.これらのことからこの化石産地はマングローブ沼に近い潮間帯の砂質泥底の化石群集と考えられる.
保護の現状
 と留意点
 丹生山地においてマングローブ環境が存在したことを示す重要な露頭であり保護していくことが望まれる.しかし,1985 年の道路工事の時にできた露頭も現在では吹き付けが施され,観察できる露頭はごく僅かである.また,河床の露頭についても最近河川改修工事が施され,現在は観察ができなくなってしまった.


 (図上のNO.93ポイント)


(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)