福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
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名   称 丹生山地の中新世チャート
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
福井市:鮎川(780)
選定理由 希少な鉱物・岩石を産出する地点
区   分 A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの)
解   説  丹生山地に分布する中新統の上半部は凝灰岩質粗粒砂岩を主とし,稀に溶岩などを挟在する.これらの地層の堆積環境は一部陸上,一部海域であり,チャートのような岩石を含まないのが普通である.しかし,国見岳西南では,本邦ではたいへん珍しい中新世チャートが凝灰質粗粒砂岩・礫岩の中に発達する.露頭では,厚さ数10cm の地層として2 枚のチャート層,および,レンズ状の薄層や礫状のチャートが存在している.岩石顕微鏡と電子顕微鏡を用いた詳細な研究によれば,このチャートには長石などの火山性鉱物の仮像を含んでいる.この種のチャートの成因としては,通常念頭に置かれている遠洋性のチャートとは異なり,蒸発作用が活発な三角州(サブカ)のような環境に堆積したものであると考えられ,学術的にたいへん貴重である.また,電子顕微鏡観察に基づく考え方によれば,球状シリカが集積し,その後に結晶学的方位を同じくするように回転した.溶液から沈殿する球状シリカが,なぜ大きな結晶になるか,という疑問に答えるデータを提供した露頭でもある.
保護の現状
 と留意点
 貴重な露頭であるので,林道整備や吹付け等により露頭が失われないようにする必要がある.今のところ,この露頭は放置されているが,その両側はセメントが吹き付けられている.


 (図上のNO.92ポイント)


(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)