福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
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名   称 福井市高須北の貝化石
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
福井市:高須北(740)
選定理由 古生物学的に重要な地点
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  高須北からは,浅海(水深30- 100m )砂礫底を特徴づける貝化石が多く産出する.岩相は,新鮮な部分では淡緑色の凝灰質な礫混じり砂岩で,多くのニサタイクラミス(Chlamys nisataiensis )が密集して産出する.ニサタイクラミスは殻や破片で産出し,両殻の揃っているものは産出しない.また,片殻で産出する場合,地層面に平行な状態で産出するものもあるが,多くは地層面に対して斜交して産出する.このような化石の産状から判断すると異地性の貝化石群集である.本来,クラミスは砂礫底で生活していることから,生活場所からあまり運ばれていないものと考えられる.クラミスを含む凝灰質な砂礫底は,荒谷累層の堆積当時活動していた海底火山から多くの火山砕屑物が供給され形成されたものと考えられる.ニサタイクラミス以外にも多くの貝を含んでいるが殻の痕跡しか残っておらず,同定できるものは少ない.このように殻が保存され,他の貝殻が溶脱して残っていないという現象は珍しいことではない.これは,貝の中では,クラミスやカキはカルサイト質の丈夫な貝殻構造を持っているのに対して,他の貝がアラゴナイトの殻を持つことが原因と考えられる.
保護の現状
 と留意点
 丹生山地においては,西黒沢海進に伴う潮間帯化石群集はよく発達するがこのように浅海中〜上部の化石群集はあまり発達しない.したがってここの化石群集は大変貴重であり保護を必要とする.


 (図上のNO.86ポイント)


(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)