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名 称 |
福井市灯豊の貝化石 | ||
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学 名 |
− | ||
分 類 1 |
地形地質 | ||
分 類 2 |
− | ||
位 置 (2kmメッシュ番号) |
福井市:灯豊町(700) | ||
選定理由 |
古生物学的に重要な地点 | ||
区 分 |
B(県レベルで重要なもの) | ||
解 説 |
福井市北西部に位置する灯豊付近には荒谷累層と称される地層群の下部が分布する.荒谷累層は1,600〜1,550 万年前の短い期間に堆積した砂岩・泥岩・火砕岩を中心とした地層で一部では安山岩溶岩を伴う.灯豊付近ではピソライト(火山豆石)を含む凝灰岩の上位に礫混じりの細粒砂岩が発達し,その中から多くの貝化石がやや密集して産出する.産出する化石は二枚貝が多く,それらの片殻が地層面に平行に産出することから,異地性と考えられる.細粒砂岩部と礫混じりの部分ではやや産出する化石の種類が異なる.細粒砂岩部にはニサタイクラミス(Chlamys nisataiensis )やキムライホタテ(Mizuhopecten kimurai )などのイタヤガイ科の化石が多産する.現在,一般に大型のイタヤガイ類は水深30m 以浅の浅海上部に生息している.上記以外に,オガワアナダラ(Anadara ogawai ),ヨコヤマツノガイ(Fissidentaliumyokoyamai )が普通に産出する.ヨコヤマツノガイの仲間は100m 以深の海底に多く生息している種であるが中新世においてはそれより浅い場所にも比較的多く生息していたことが知られている.礫混じりの部分からは上記の化石に加えてDiodora minoensis , Acmaea sp., Chama sp.などの岩礁性の化石が産出する.礫混じりの部分は,トラフ型の斜交葉理を伴い級化構造を成すことから,岩礁に比較的近い浅海堆積物の可能性が高い.一方,細粒砂岩部は浅海上〜中部(10〜50m )の環境と考えられる.貝以外では底生有孔虫化石やフジツボ,サメの歯などの化石もする.産出する化石の中でオガワアナダラやニサタイクラミスは中期中新世の示準化石としても有用である. | ||
保護の現状 と留意点 |
研究や教育の目的以外にむやみに化石採取をしないよう啓発が必要である.
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(C) 福井県自然保護課 出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行) |